スバルのリスタートにより、暗闇に呑み込まれる。これまでの時間遡行とは少し違う。こんな暗闇、俺は初めて見た。
しかしそこは妙に俺の考えを整理させ、俺は集中して考えることが出来た。
時間遡行が行われたということはスバルが自殺、またはラムに殺されたのだろう。前者だとこのループに意味があるのだが、後者だとまた厄介なことになりかねない。とりあえず今は都合の良い方に考えることにした。
スバルが自殺していた場合、彼はもう正気に戻っているはずだ。これで俺もうまく動くことが出来る。呪術師があの犬っころだと判明した今、誰もあの犬に噛ませないことが一番重要になってくる。そうなるとこのループは終わりをつげ、新たなループへと突入するのだろうか…?
…違う。スバルが噛まれなかった場合レムはどうなった? つまり奴の標的は誰でもいいのだ。仮に俺がスバルとレムに噛ませないようにしたところで標的が変わるだけ。そうなると標的は誰になる? 村人の誰かか…はたまた全員か…。
もっと答えは単純だ、このループを終わらせるためには―
そこで俺の意識が戻ってきた。ふと顔を上げると、スバルとラムレムの三人にのぞき込まれている。あまりに驚いて後ろへ反り返り椅子から落ちてしまった。
「…何やってんだ比企谷…」
「うっせ、不可抗力だ」
顔をしかめながら俺は椅子に座りなおす。今の調子を見る限り、スバルはもう大丈夫みたいだ。しかし自殺して大丈夫とか…お前ほんとに大丈夫?
「…んでなんだ今の、俺は見世物じゃないぞ…」
「お客様がなかなか起きないからそのバカみたいな寝顔を嘲笑していたのよ、レムが」
「お客様がなかなか起きないからそのアホ面を拝ませていただきました、姉さまが」
久しぶりに聞いたそのジョークは自然と俺の心を落ち着かせる。スバルの死を前に不謹慎かもしれないが、良かったとそう思ってしまった。
スバルは何かを思い出したようにメイド達に告げた。
「悪いな、もっとその天使コスプレを拝んでいたいんだが、少し二人にしてもらっていいか?」
メイド達はうげーっという顔をしながら、スバルの部屋を出て行った。…君ら今何想像したん?
当然、そういうことではない。スバルは神妙な顔つきになり話し始めた。
「比企谷、悪かったな。あんなことさせちまって…」
「別に…お前のためじゃない。このループを抜け出すためだ」
「え…いやいやいやいや男のツンデレとか需要ねえって!! それともあれか、捻デレか」
「なんでお前がそれ知ってんだ…」
ついこないだ小町に言われた謎ステータスが明るみに出てしまった。あれ? そういや最近小町に会っていない気がする…やだ! お兄ちゃんちょっと寂しい! 恐らく小町もさぞ悲しんでいることだろう、早く帰ってあげないと! …まぁあいつのことだからあんまり悲しんでない気がするが…。
「んでだ比企谷。もうあんなことはさせない、今回は俺がなんとかしてみせる!! 好感度アップでうはうはハーレムを作り出してやるぜ!! 安心しろ、お前にもおこぼれぐらいなら分けてやるよ!!」
え、何こいつ更生するどころかむしろうざくなってない? ていうかお前からもらうおこぼれなぞ要らん、猫の餌の方が数倍マシだ。あぁ…カマクラにも会えてねぇ…。あいつ絶対俺のこと覚えてないだろこんちくしょー。
その後スバルはやってやるぜーなどとのたまいながら部屋を出て行った。…情報交換は…?
***
二日目に入った。
…違和感を感じる。スバルはもちろんスバルなのでウザいのはこの際仕方がない。だが少し異様なのだ。使用人になり、いちいち無駄な仕事を増やしては自ら進んで処理し、無駄なボケを突っ込んではスベってもお構いなしで次々ボケをかましてくる。…非常に気持ち悪い。
彼はそれらをするたびに顔をひきつらせ、気づかれないように呼吸を整えていた。自分で言うのはなんだが、人間観察に長けている俺から見たら無理をしているのは火を見るよりも明らかだ。
スバルがどこまで考えているのかわからんが、少し自意識過剰になると、奴は今回俺の負担を少しでも軽減しようとして無理しているとも考えられる。そうなるとそれを俺が止めるのはとんだお門違いであり、ただのお節介だ。…まぁ向こうもただのお節介だが。
悩んだ時に向かう場所はもう決めている。いわばこの世界のベストプレイスだな。
「…で、また来たのかしら?」
「ま、色々あってな…」
「人間のクソくだらない一生に色々も何色もあるわけないのかしら」
「そういやお前人間じゃなかったな。一体何者だ?」
「作られた生物…みたいなものかしら?」
「いや知らねぇよ。まぁいいか。ところでちょっと聞きたいことがあるんだが…」
「見返りはあるのかしら?」
「スバルを連れてくる」
「要らないのよ」
…あれ? ちょっと優しくなってる? 良かったなスバル! 一応好感度アップは狙えてるみたいだぜ!
「術式を刻み込む犬とかって…いたりすんのか?」
「何の交渉も成立していないのよ! …どこで知ったのか知りたくもないけれど、いるかいないかと言われれば…いるのかしら。魔女の汚らわしい使いなのよ」
「魔女?」
「この世界で魔女と言って嫉妬の魔女以外誰を指すのかしら。…とは言っても奴らは一応嫉妬の魔女とは無関係なのかしら。いずれにせよ、呪術なんてもの使う時点で忌々しいことに変わりはないのよ」
はぁ…。さっぱりわからん。魔女を指すのは『嫉妬の魔女』だけど、その魔女の使いは嫉妬の魔女とは関係ないとな…?
しかしそれよりも注目すべきなのは嫉妬の魔女だ。良い感じにこの世界で有力そうな情報をそれとなく聞き出せるかもしれない。
「嫉妬の魔女?」
「呆れた。そんなことも知らないのかしら…。嫉妬の魔女サテラ、史上最悪最恐の魔女と言われているのかしら」
「そういや最初の…」
ループでエミリアが…と言おうとした時、ドクン…と心臓が妙な鼓動を刻んだ。
辺りは静寂に包まれ、不気味な色を放つ。カメラで切り抜かれたような世界の中で、一本の黒い腕がこちらに近づいてきていた。俺が動くことはできないが、それは確実にこちらに進んでいる。それが俺の胸の前まで来たとき、呼吸は荒れ、緊張感が絶頂を迎えていた。声をあげることすらできず、口をパクパクとしながら見守ることしか出来なかった。
数秒後、世界は元に戻り、俺の前にあった手は消え去った。
「最初の…なんなのよ?」
ベアトリスが唐突に口を開いた…いや、唐突に黙ったのはこちらの方だ。動揺を悟られないようにしながら俺は彼女に答える。
「…最初に…読んだほ…本に書いてあった…な」
ぜっんぜん隠せてねぇ。ベアトリスは疑問符を浮かべながら吐き捨てるように言った。
「まぁオマエのことなんて知らないのよ。ところで…急に臭いがきつくなったのかしら。さっさと出ていってほしいのかしら」
「臭い…?」
「臭いったらありゃしないのよ。ほら、面倒ならベティ―が送ってやるのかしら」
「送ってやるってどういう…うわ!」
突然俺の腹に何かか直撃して、背にしていた扉を突き破りそのまま廊下に転がりだされた。無茶させんな…。イタタ…と背中をさすりながらふと横を見るとエミリアがオロオロしながら立ちすくんでいた。
「えっと…ど、どうしたの?」
「いや…まぁ色々あってな」
説明するのもめんどくさかったのでさっきと同じ返しをした。困ったときはこの言葉、言えば空気が固まります。
案の定エミリアは訳が分からない様子で余計オロオロし始めた。
「え…っと…あ、そ、そういえば、私お礼言ってなかった。助けてくれて…ありがとう。スバルにはもう言ってあるのに、全く会えなかったから…ちょ、ちょっと遅くなっちゃったけど」
「いや別に気にせんでいいだろ…どういたしまして。ところでスバルの事なんだが…」
「すごーく頑張ってるみたいね、私も見習わなくちゃ」
気づいてないか…。まぁそりゃそうだ、俺だってあんなに何回も見てなきゃ眼中にも留めない。まさにOut of がんちゅ!(噛んだ)
ところでパックは少なからず人の心が読めたはずだが…休憩なうなの?
あとさっきからかなり目線を外されているのが気になる。どうしてこうもあっちこっちしているのだろうか。あ、そういや最初のループでも俺の目に慣れるまで時間がかかってましたね…。二回目からほとんどエミリアに関わってなかったから忘れてたわ。
「頑張ってる…ね。エミリアから見ると、そう見えるのか」
「…違うの?」
エミリアはきょとんとした表情でこちらを見た。仕方ない、ここは俺がどうこうするよりあいつが恋わずらいしているエミリアにどうにかしてもらおう…。人に頼るなんて俺らしくもないが、これはケースバイケース、どうしようもないことだってある。
俺は彼女に背を向けた。これは彼のプライドを保つためであり、俺のためでもある。だから…これは独り言だ。誰も聞いていない、誰も俺の視界に入らない…そんな独り言。
「エミリアには今からあいつの部屋に行って、あいつを見て欲しい。それで…苦しんでいる時は傍にいてやってほしい…かもしれない」
「えっ…それってどういう…」
「単なる独り言だ、んじゃまた明日な」
俺は少し彼女を振り返ってそのまま自分の部屋へ向かった。
これであいつのフォローもようやく終わった。ここからは俺自身が直接かかわることへの対処だ。…とは言っても二日後まで特にすることはないな。ビバ! 紐ライフ!!
***
よく考えずともそうはならないですよね知ってました。あの後、ちょっとカッコよく自室に戻る途中でレムに捕まり説教タイム。はい…仕事中にベアトリスのとこ行ってました…んで色々考えてたら仕事のこと忘れてました! ひっでぇなぁ…。これ反省文にどう書いたらいいのかね? あれか、現実逃避してたら忘却してましたってか? 鉄拳不可避ですねそれ。
三日目の休憩時間。グデーっと芝生の上に横たわる。スバルとパックもいるのでさながら川のよう…じゃないな、ちょっと真ん中のパックが短すぎる。
エミリアが何かしらしてくれたようで今日のスバルはいつも通り通常運転のウザさだ。
微精霊との会話を終えたエミリアが近づいてきた。
「おっ、エミリアたん終わったー? よーしパック! 今日も俺にキャッキャウフフな魔法のご指導をお願いします!!」
「やだよースバル気合い入りすぎ。もっとリラックスして魔法を使わないと前回の繰り返しだよ?」
「そうだ比企谷! まだ言ってなかったな、俺ってば昨日? いやおとといか。魔法使ったんだぜ!!」
「へーそう」
「反応薄くね!? そうだパック、比企谷の魔法属性みたいなのも調べてくんないかな?」
「いや俺は別に…」
「よかろう。我が自ら調べてしんぜよう!」
ノリノリか! ていうかその喋り方どこぞやの厨二さんを思い出すから止めて、マジで。
俺がこの二人と距離をとる前に、パックに先手を許してしまう。パックはその長い尻尾を俺の額に当てミョンミョンなどという可愛らしい効果音と共に魔法適性を調べ始めたようだ。やだ何これ超気持ちいいんですけど。
数秒後、彼は心得顔で腕を組む。
「ずばる! 君の特性は…水だね!」
「お、おぅ、そうか…」
「スバルとズバリをかけてみたんだけどあんまり受けないのかな?」
いやかけるものがちょっと微妙すぎて俺の反応もマジリティー中途半端になりました。
「水ねぇ…ロズっちの話だと、生命と癒しを司る…ぶはっ!! マジか! ちょーウケルんですけど!!! 比企谷が癒しってwwwww」
うるせぇ。ほら俺だって癒し効果あるかもしれないよ!? マイナスイオンとかバリバリ出てるかもしれないよ!? バリバリ!
俺の意に反してスバルは大爆笑だ。知ってた。俺も実は内心爆笑であり、爆傷でもある。
しかしスバルは何かに気づいたようで急に顔を曇らせ険悪な顔つきになった。
「水って…エミリアたんと一緒じゃね!? それこそキャッキャウフフな講習がエミリアたん直々に受けれるんじゃね!? くっそ比企谷!! 代われ! その体俺が譲り受ける!!」
渡さんわ馬鹿が。俺はこの世界で別に魔法が使いたいわけでもないし…ほんとだよ? べべべ別にロズワールみたいに炎とか出せたらカッコいいとか思ってないアルよ?
エミリアは少し苦笑しながらスバルをフォローする。
「安心してスバル。実は私は水じゃなくて火の属性なの」
「…??? でもエミリアたん氷とかバンバン出してたくね?」
「あれは火の属性である温度調節で空気中の水分を一気に氷点下まで下げてるんだよ。そういう意味で言うと空気中の水分を使うヒキガヤの水属性とは相性最悪だね」
パックがニッコリしながらスバルの質問に答える。
ちょい待ち、確か魔法って体内のマナをゲートを通じて外に放出することで発動するんじゃなかったっけ? それなのに空気中の水分を使うとはどゆことさね? まぁ…でも、そういう細かい質問はまた今度にしよう。正直、あまり興味はない。
「そうなのか。いやー焦った、愛しのEが比企谷ごときに奪われるとこだったぜ…」
ふいーっと額を拭い、スバルは言った。
別に奪う気など毛頭ないんですが何この人ら…。こっちがやれやれだわ。
「でもスバルよりはるかに魔法適性が高いね、細心の注意を払って身が粉になるような努力で限界を突破した状態で何年も修行して器用に使えば一属性だけロズワールに続く大魔法使いになることも…夢じゃないかもねー?」
「ジーザス!! んでもロズっちに続くって言ってもぶっちゃけどんなもんなのよ? クッパ? それとも韓国料理?」
「どちらにせよ馬鹿にしてるね…。ロズワールはああ見えてすごいよ、王国一と言っても過言じゃないんじゃないかな?」
「MJK! 比企谷がそこまでの実力を発揮するとは…父さん嬉しいよ…」
スバルとパックは何やら勝手にうれし泣きをしている。エミリアももらい泣きしてしまう始末だ。…え、マジでナニコレ。
しかもお前あれな。今のパックの表現からしてほとんど可能性なしって言ってるようなもんだぞ…。スバルはともかくとして言った本人であるパックはもちろんそれを理解しているのでなおたちが悪い。意外とお茶目な性格してるのね君。
茶番はここまでと言わんばかりにパックは両手をパチンと叩くと、俺の目の前にふわふわ飛んできた。
「スバルと同様、ボクが比企谷のゲートを開く手伝いをして魔法を発動させるよ」
「いや待て、俺魔法とか言われてもだな…」
「大丈夫、魔法は想像力だよ! とにかく手の上に水の球を作ることをイメージするんだ。…リア、またあんなことが起こると怖いから離れててね?」
「うぅ…まったくスバルってば…」
エミリアが呆れたようにスバルを見た。するとスバルは慌てて弁解を始める。
「い、いや! あれはあれだって! 不可抗力だって!!」
「とにかく、二人とも離れててね。まぁ今回は水だからびしょびしょになるだけだろうけどね」
「エミリアたんが…ビショビショ…ゴクリ…」
この人らは一体何の話をしているのでしょうか。あれだな、いわゆる大失敗を想定しての対策だろう。まぁとにかくスバルが変な事考えてるのは分かった。うん。
え、俺とかどうやっても避けられないじゃん。これ俺のせいなの? マジで? 自業自得なのん?
そんな自問自答をしているうちにエミリアとスバルは俺から距離をとる。パックは俺の額に手を当て、咳ばらいをした。
「さっきも言った通り、魔法はイメージだよ。手のひらを出してその上に水球を作ることだけを考えてね」
もう逃げ場はない、俺は仕方なく手のひらを目の前に差し出した。そしてこの上に水球…え、水球って意味違うんじゃない? み、水の球を作るようなイメージをした。
水の球…水の球…水の球…。
すると俺の中から何かが湧き出るような感覚がして、手のひらにバレーボール大の水球が出来た。いやだから意味違うって。ん? 間違ってないのか? 自分でも混乱してきたわアホ。
「おぉー。うん、初めてにしては上出来なんじゃないかな」
「お、おぅ、そうか」
なんとも微妙な反応しかできない。手のひらを閉じると水の球は霧ほどの小さな粒となって周りに飛び散った。
…? なんか…違和感を感じる。この空間すべてが俺の感覚になったような妙な感じがした。
「もう大丈夫だからこっち来てもいいよー」
パックが二人を呼んだ。…分かる、俺の視界に彼らは見えないが、彼らがどう動いているかがはっきりと感じ取れる。なんとなくだが、さっきパックが言っていた言葉の意味が分かったような気がした。便利だな、魔法って。
もう明日が四日目…か。
このループで終わらせる、何が何でも、だ。レムやスバル達に何を思われようとも、彼らに見放されようとも、片を付ける。
スバルが欲したものをいつしか俺も欲しいと感じていた。限りなく不確かで、幻想的、空想的、そんな風に表現され、誰もが求めつつも、偽りの関係ほど簡単には築けない関係…。
そんな不明瞭な…本物を…俺も求めてしまっている。
***
「…調味料だけなので二人も付き添いさんは要らないのですが…」
レムは困ったように首をかしげた。二人というのはもちろん俺とスバルの事だ。結局、初日以来スバルと二人っきりになる機会はなく、未だ情報交換が出来ていないため、スバルがどう動くつもりなのかはよく分からん。
「いーじゃないの。ほら! 三人の方が楽しいしな!! 出来ればラムちーも来てくれたらなーなんて言ってみたり?」
「ロズワール様に留守を頼まれているのにおめおめ外出できる訳ないわ、バルス、レムをお願い」
「ほうほう、それは比企谷からレムりんを護れってことか? よし任せとけ! レムりんのしょ…」
スバルはちょっと気まずい様子で口をつぐむ。自粛しろ自粛。お前それ普通にセクハラになるからね…? 俺が軽蔑の目線を送ると彼はペロッと舌を出し上目遣いでこつんと自分の頭に拳を当てる。うっわなにそれ可愛くねぇな。あざとくもねぇ。
ていうかなんなの、俺全く信用されてなくね? もう慣れっこですけどねええ…。
こうして俺らはラムやエミリアに見守られながら屋敷を出る。スバルはいつになく気合いが入っており、相当ウザい。しばらく歩くと村が見えてくる。もう何度目だろうか、毎回俺は不審者扱いされているが…今回はマジな不審者にならざるをえなさそうだ。
今までと同様、村で買い物を済ませるとわらわらと子供たちが群がってきた。
「あっスバルだ―」「バルスだバルスだー」
そんな声が聞こえてくる。いくつもの声が混じった集団の中に、俺の標的である、黒い犬も確かに見えた。忌々し気にこちらを見つめるそいつからは、呪術師だと判明した今、ぼんやりとドス黒い感情が感じ取れるような気がした。
スバルは子供たちに寄っていき、ちょこまかと戯れる。そのスバルの右手に…犬が噛みつこうとしていた。俺は彼と犬の間に強引に割り込む。
「おっと足が滑ったーー」
自分でも驚くほど奇怪な声で俺は体ごと隙間に突っ込んだ。そして体勢を立て直しつつ、左手に隠していたナイフを忍ばせ、誰にもわからないほど自然な動きで銀色に怪しげに輝くそれを思いっきり子犬の喉元に当てる。
―これで…終わりだ。
お読みいただきありがとうございました。
さて、意外と早かったねびっくりだわ
ジャガーノート(ウルガルム)討伐戦開始といったところでしょうかね
ここから二回に分けようか一回でまとめてしまおうか試行中です
相も変わらず原作に沿って進めて行くと思います、オリジナルちょっと難しいわ…
まぁそんなこんなでのんびり続きを書いていきます
次回もよろしくお願いします。
※…ところでスバルが魔法使うシーンって原作のどこにありましたっけ? 読んだのは確かに覚えてるんですが、いざそれを参考にしようと思ったらどこ探しても見つからない…神隠しにあいました。
なんとなく暇なら情報提供をお願いします…。