夢物語   作:痛み分け

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ギルティギアのスレイヤーみたいなキャラ、FGOにも欲しい…欲しくない?

ダンディなキャラを書こうとした成れの果てがこれだよ!

ダンディ要素の欠片もねぇな…

じゃ、作者は感謝の血を吸うループをしてくるから……





バーサーカーが召喚されました

 ロッキングチェアに腰を掛けた、男が一人いた。

 奇麗に切りそろえられた髭に、所々にある皺から男が壮年であることが伺える。

ベストを内にスーツを着込み、右足を上に足を組む。そして、時折右手に持ったキセルを吸う。

 一昔前の映画に出てきそうな紳士然とした男だった。

 男の目は閉じられていた。それは遠いどこかに思いを馳せている様だった。

 男、ジャバウォックと名付けられた彼は、ただ座して時を過ごす。

 好奇心に満ち溢れていた頃、今から数百年も前ならば、このような生活は耐えられなかっただろう。が、好奇心が死に、落ち着きを身に着けると、今度はこの隠居生活が板についてきた。

 いつまでも、きっとこの世から去るその時まで、この生活を続けるものだと思っていた。何事もなければ。

 彼は、目をゆっくりと開き、大きくため息をついた。

 簡単な話だ。今の生活を捨てなければならなくなったからである。

 彼のような存在、人々の想像や空想を糧に生きる幻想種だからこそ、誰よりも早く知覚した。

―――人類が残らず焼却する、という未来を。

 人の幻想により生まれた故に、人が自ら滅びを選んだ結果により殺されるのならば、致し方ない事である。彼は素直に滅びを認めただろう。

 彼が抗うことを決めたということは、全く関係の無い他者、第三者により滅びを定められたということだ。

 それはたった一人で最後まで戦う少女を、その先に見たことが大きく影響しているだろう。何も特別な才能も能力も持たない、ただ人の良すぎるだけの少女に彼は惹かれたのだ。

 彼は座っていた椅子から立ち上がり、静かに歩み始めた。

 

 

「先輩、大丈夫でしょうか?」

 マシュの声色は不安に揺れていた。

 今よりも戦力が整っておらず、戦力の拡充を図っている頃だった。その頃は、今ほど資源に余裕がなく、何としてでも仲間を増やさなければならなかった。

「大丈夫だよ」

 私の声は、マシュの為に言ったのだろうか、それとも自分の不安を和らげるために言ったのだろうか。今、思うにどちらも半分半分と言った所だった。

「うふふふふ、マスターは心配性なのね!

でも、大丈夫よ!

きっと彼は来てくれるわ!」

 ゴシックロリータに身を包む、幼げな少女は満面の笑みを浮かべて言った。彼女はアリスと名付けられた童話集(ナーサリーライム)の化身。その時は、不安げな私を労わってくれているのだと思っていた。が、やけに確信めいた物言いを考えると、彼女には誰が来るかなど知っていたのだろう。

 不安に揺れる私とマシュを置き去りにして、カルデアに設置された召喚を行う機械は投入された資源をもとに起動する。

 甲高い音と眩いばかりの光を伴って、機械は正常に自らの仕事を果たした。

 光が晴れた先には、一人の男がいた。ベストを着込んだスーツ、右手にステッキを持ち、左手にはキセル。奇麗に整えられた髭に、顔の所々に皺がある。右目には小さなモノクルを掛け、非常に柔和な顔をしていた。それは、一昔前の英国紳士を連想させた。その佇まいには威厳が溢れていて、色物が多いサーヴァントたちの中では、極めて正統派だった。

 男はキセルを一つ吸うと、改めて口を開いた。

「ふむ、彼女を経由して召喚された、ということか」

 男の視線の先には、ニコニコと笑うアリスの姿があった。必然的に、彼女とはアリスのことを指しているのだろうということが分かった。それは彼の真名を聞けば当たり前の話だった。

「さて、自己紹介をした方が良さげだな。

クラスはバーサーカー。

宜しく頼むよ、マスター殿」

 人のよさそうな笑みを浮かべる姿に、私は見た目通りの人柄のようだと思った。

 そう、このときの私は気付いていなかったのだ。彼が何故バーサーカーの適性を持っているかということに。

――――彼は紛れもなく、バーサーカー(話聞かない)であるということに。

 

 

 

 

 

 

 

「これは簡単な物理の問題だよ。

大きな質量を持つ物体が高速で衝突すれば、圧倒的な力を伴って対象を粉微塵にする。

当たり前の話だろう?

つまり、種も仕掛けもない。誰にでもできる事なのだよ」

いや、粛正騎士を一撃で鎧ごと粉微塵にはできないと思うんですよ。

そもそも一瞬パンツ姿になったような…

「私のような紳士がそんなはしたない恰好をするわけがないだろう」

ですよね。

「そうだとも。

もしかすると、私のあまりの速さに服が一瞬で消し飛ぶも、一瞬で服を再構成した。

なんてことがあるかもしれないが、気のせいだとも。

そして、この技の名前がマッパパンチだったとしても、そんなことは微塵もない」

もう隠す気がないな…!

 

 

 

「ほう!君がかの有名なホームズ君かね。

噂はかねがね伺っているよ。

何、用件は言わなくとも分かる。

私と共に紳士道(ダンディズム)の探求をしようというのだろう!

大丈夫だとも。如何に君が若い姿で現界していようと、その心には穢れ無きダンディズムがあることは、このジャバウォック見抜いているとも。

時は金なり、時間は有限なり!

ダンディズムは奥深く、険しい道…

ホームズ君、何処に行こうというのかね。

ふむ、分かって居ると思うが…君に一つ言っておくとしようか」

―――ダンディからは逃れられない。

 

 

 

「失礼。紳士ともあろう者がよもや人様の前でげっぷとは…

恥ずかしい限りだ」

あの、辺り一面が火の海なんですが。

「何を驚いているのかね?

ああ、こちらでは息吹(ブレス)などと洒落た言い方をするのだったな。

なんとも嘆かわしい事だ。

高々呼吸程度で火を吹くなぞ、ありえない!

後世に少しでも見栄えを良くしようとして嘘を言った結果だよ。

本当に身内の恥だ!」

なら、あの大口を開けて今にも放出しそうなアレは?

「あれはゲ…ゲフン。吐瀉物だ。

優雅さも気品もない奴だ!

マスター、私は教育もとい調教をしに行くとしよう」

いってらっしゃい。

―――髭面が突っ込んできたぞ!

―――ああ!ファフニールの心臓が消し飛んだ!

―――ジャンヌ、おおジャンヌ!失神している場合ではありませんぞ!

 

 

 

「戦いにおいて、武器を使うなどダンディズムの片隅にも置けんな!」

ミスターの拳は既に武器のレベルなのでは?

「何を言うかね、レディ・マシュ。

私が振るうのは教育の鞭を振るっているので在って、拳を振るっているわけではない」

教…育……?

「そうだとも。

私は一先人として、講義を行っているのだ。

殴用物理学(おうようぶつりがく)という名の授業をね。

何!興味があるのかね?」

いや、そういうのは…

「本来なら、君のような可憐な婦女子には講義をしないことにしているのだが…。

喜びたまえ。君には特別に受ける許可を与えよう。

講義内容は鍛え上げられた己の肉体を如何に効率よく、運用するかを物理的に学ぶことだ。

この講義には一々持ってくるのが煩雑な鉛筆もノートも必要ない。

何故なら、使用言語は肉体言語だから。

健康な肉体があれば誰でも受講でき、教科書すらもいらない。

苦学生にも良心的な授業だ。

どうだね、受講しないかね?」

結構です。

 

 

 

「よかろう!

その心意気、確かに受け取った。

せめてもの手向けだ。

我が奥義にて葬ろう」

「む!あれはまさか!」

ネロ、知っているのか!

「あれは伝説の拳奴ダッドリーにより生み出されたフィニッシュブロー!

全身の筋肉を上手く連動させることにより、何十倍にも増幅させた力を、ひねりを加えた拳から打ち出すことで暴風を生み出す一撃目のコークスクリュー!

そして、その風により浮足立ち体勢が崩れた瞬間を狙い、突貫して叩き込まれる、一撃目よりも更に重く速い二撃目のコークスクリュー!

その名も、コークスクリュークロス!」

えっ…人間の打ち出せる技ではないんですが、それは…。

「うむ!

この皇帝たる余ですら出来なかった絶技!

まさか、ここで目にかかろうとは……マスター、あの拳奴をくれ!」

アレでも家の大事な戦力だからダメ。

 

 

 

「さぁ始まりました!第一回カルデアアンリミテッドコード!

実況は、生きる芸術レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんだゾ!」

なんかはっちゃけ過ぎじゃない?

「アンリミテッドコードの続編が出ないからね仕方ないね」

メタァ

「さて出場選手の紹介だよ!

一人目はジャンクフードファイター、アルトリア・オルタ!

聖杯に願うはハンバーガーの山だそうだ。

二人目は溢れるカリスマ零れる小者臭AUO!

覚えておれ、雑種ぅぅぅだそうだ。

ゴメンね、ダ・ヴィンチちゃん天才だから忘れるのも簡単にできちゃうの。テヘペロ!

三人目は圧政粉砕大喝采、スパルタクス!

コロッセオと聞いて、とのことだ。

四人目は謎々おじさん、アラフィフだ!

一体何アーティー教授なんだ…。

今回はこの四人で争うよて……

おっと、ここで飛び入り参加だよ、やったね!

五人目はダンディズムの求道者、髭…ジャバウォック!

己の意地と威信をかけて、今激突する…!」

続かない!

 

 

 

「タスケテ!酒呑―――!」

「君に一つ教授してあげよう!

振り子をご存知かね。

そう、一定の周期で行ったり来たりするアレの事だ。

洒落た言い方をするならば、ペンデュラムの事だよ、君。

あの動きを戦闘に取り入れたのならば、どうなるか分かるかね。

何分からなくとも良い。

今からその身をもって思い知るのだからな。

存分に味わいたまえ」

これから起こる惨劇に合掌。

「あの立香さん、止めなくていいのですか…?」

気にしない方が良いよ、ジャンヌ。

「いや、でも…」

たとえ!相手が泣いていようとも!その姿が可憐な少女であっても!

悪いことをしたらお仕置きをする。

「あの、お仕置きってレベルじゃ…」

何言っているの?お仕置きって言ったらお尻ぺんぺん。古き良き日本の文化、風習だよ?

「完全にお顔ばんばん何ですが…」

家のシマじゃ、あれがお尻ぺんぺんだから。

「え、でも…」

お尻いっ…

「許してください、何でもしますから!」

ん?今なんでもするって

「…あっ」

じゃぁ、ジャバウォックとコンビを組もうか。

「いやぁぁぁぁ!」

ジャンヌちゃんは気迫の入った叫びをあげて、やる気一杯だなぁ!

 

―――さぁ逝こうか。

 






続かない


主人公の設定

幻想種 個体名 ジャバウォック
英国紳士然とした中にベストを着込んだスーツを身にまとい、小さなモノクルを掛け、キセルとステッキが似合うナイスミドル。
年齢は一般的にアラフィフとしている。
正確にはもっともっと昔から存在しているため、実年齢は数百歳。
姿を消していく幻想種の中で、マザーグースなどの普及により、存在を維持できている唯一の生き残り。
本来であれば、人理の焼却が起こった時点で消える存在であるが、ナーサリーライムが英霊の座にいる関係から引きずられるように存在するオマケ。
徒手格闘に始まり、ステッキによる棒術殺法も使う、独自格闘技「殴用物理学」。
奥義はデンプシーロールとコークスクリュー。なお並の英霊なら一瞬で粉微塵にされる模様。
奥の手、ドラゴンブレス(げっぷ)を持つ。

モデルはGGのスレイヤー、通称髭。
技はウル4のダッドリーから。
肉付けの一部に黒鎖姫のフローリカをたしている。

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