夢物語   作:痛み分け

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タイトル部分が示してるのは短い冒頭部分だけ。
これは詐欺かもしれない。
後、描写不足なところが多くて読みにくいです。
まぁ、クリックしちゃったのなら読んでくれたらありがたいです。


Fate、FGO群
その日、少女は運命と出会う(FGO)


めそめそと、幼い少女が泣いていた。

なぜ、泣いているのか?

その理由は至極当たり前な事だった。

誰にも認めてもらえなかったから。

それは彼女が誰よりも劣っていたからではない。むしろ、誰よりも優れていたといっても過言ではなかった。

ある一つの欠陥がその全てを台無しにしたといえよう。

その上、幼い割には聡かったがゆえに気付いてしまったのだ。

例え、どのような偉業を成し遂げようとも誰にも認めてはもらえないだろうことを。

彼女に残された道は生き地獄のみ。

死ぬことはできないし、許されない。

彼女には泣き、嘆くことしかできない。

もし、彼女がそのままであったならきっと歪んでいただろう。

だが、真実は小説よりも奇なり。

泣く彼女は違和感を覚えた。誰もいないはずのこの場所に、誰かがいるような。

伏せていた顔を上げると奇妙な男が一人立っていた。

黒色のコート、内側には白のシャツに黒のベスト、黒のスラックスを着た何処にでも居そうな平凡な顔をした男だ。

その表情は優しげで悪意を隠しているようには見えず、それどころか人の好さそうな人物に彼女は思えた。

だが、その存在感は平凡を逸脱していた。

改めて見れば見るほどに、奇妙というよりも歪で、気味が悪い。

ただ、不思議と嫌悪感は無かった。同時に恐怖も感じなかった。普段の彼女であれば悲鳴の一つや二つ上げていても可笑しくはないのに。

「失礼、名も知らぬお嬢さん。」

男は彼女の視線に気づくとそう言った。その声は低い割には良く透っていた。

「あなたは誰?」

彼女は男にそう問うた。何となく、この男が気になったから。

「誰、か。」

男は両腕を組みながら考えるようなそぶり見せて、こう言った。

「ジャバウォック、そう名乗っておこう。」

彼女は少し笑った。

「その口ぶりじゃあ偽名ですって、言っているようなものじゃない。

それに、人は誰しも恐ろしい一面があるのは普通の事だと思うけれど。」

人の悪意をモンスターに例えた彼女なりの指摘だった。

男は彼女の指摘に少し頬が緩んだ。

「君の指摘は実に正しい。

では、名前を教えてくれるかな、アリス?」

「オルガ、オルガマリーよ、ジャバウォック。」

「いい名前だ。」

彼女の顔から涙は消え、ジャバウォックとしばし談笑をした。

「そろそろ暇をするとしよう。」

談笑をして、時間がある程度経つと彼は言った。

「もう、帰ってしまうの?」

彼女は残念に思った。会話を心の底から楽しいと初めて思えたからだ。

その上、彼は自分を見て話をしてくれた。彼女を否定せず、一人の少女として。

誰にも認められないとそう思っていたからこそ、彼女は手放したくないと思った。

もう二度と会えないような、そんな気さえしていた。

「オルガ、君と話して君の求めていることは理解しているつもりだ。」

彼の言葉に苛立ちは感じなかった。より手放したくないという気持ちが増した。

「僕にはあまり時間が残されてはいない。」

その言葉を裏付けるように、最初に感じた時ほどの存在感を彼女は彼から感じられなかった。むしろ、弱まってさえいるように思った。

「もう会えないの?」

自然と彼女の声は震えていた。大事な物を喪失するかもしれない、恐怖に。

彼は少し考え、やがて何かに思い当たったのか、苦々しい顔になった。

「無い、わけじゃない。

だが、これあまりにも酷だ。」

「教えて。」

彼女は藁にも縋る思いだった。彼女にとって彼と自身を比べた時、天秤は彼に傾いていた。

「―――君の魂を対価にするとしても?」

「いいわ。

けど、会う事への対価が私の魂だというのなら―――」

「私の全てをあげるわ。

この身に流れる血の一滴から髪の毛一本に至るまで。

全部、全部あげるわ。

その代わり、貴方の全てを貰うわ。」

彼女に迷いはない。彼女は今すぐに捧げてしまっても構わない、とすら思っていた。

彼は少し天井を見上げると視線を元に戻した。

その瞬間存在感が一気に増した。

彼女の体は泡立ち、本能が警鐘を鳴らした。人では無い、ただの人外でも無い。

黒い影に二つの赤い光が覗いている、まるで御伽話にできそうな怪物だと彼女は場違いにも思った。

それとジャバウォックという彼の名は、あながち偽りではなかったらしいとも思った。

「もう、後には引けんぞ。」

人を怯えさせることが役割の怪物が、人を心配してどうするのだろうかと彼女は思い、笑った。

「二言は無いわ、ジャバウォック。」

ジャバウォックの黒い影の至る所から鎖がのび、瞬く間に彼女の体を縛り上げ拘束した。

そして、朗々と声が響く。

―――ここに契約を為す

―――汝の全ては我が手にあり

―――その心、その血、その肉、総てに至るまで

―――なれば、我は慈悲を与えん

―――我が力を貸し与えよう

彼女は自分の意識が遠のいていくのを感じた。

だが、尚も声が響く。

―――だが、心せよ

―――我が契約は絶対にして不可侵

―――汝の魂は永劫の円環より外れ

―――我が糧とならん

彼女はこの言葉が忠告のように感じた。

彼なりの優しさのようにも感じ、気分が高揚した。

 

 

 

 

 

 

 

懐かしい夢を見た。

オルガマリー・アニムスフィアはそう思った。

ここ最近ゆっくりと眠ることが出来ず、久々に取れた休息時間を睡眠に充てた結果だった。

少し頬が緩んでいるのが分かった。彼とはあの時以来会えてはいない。けれど、魔術的なラインを感じる事から、いる事はわかるからいいのではあるが。出来れば、会いたいというのが本音である。

彼との契約をした後変わった事といえば、欠陥が欠陥では無くなっていたことだろう。ただ、それは彼が代替として補ってくれたからだと予想している。ただ、その欠陥も完全に消えたわけではなく緩和された、というのが正しい。

さて、いつまでも浸ってはいたいがそうとは言っていられない。今までの苦労は今日の為にあると言っても過言ではないことがあるからだ。

『所長、準備が整いました。』

目の前にホログラフィックが現れ、そこには一人の男が映っていた。

閉じたように細い目が特徴的な一昔前の紳士のような恰好をしている。

「ありがとう、ライノール教授。」

レフ・ライノール教授。私の部下であり才媛で彼の協力なくして、ここまで順調には運べなかっただろう。だが、あまり信用が置けない。ただの勘でしかないけれど。

「カルデア内の職員と魔術師に告げます。

至急中央管制室に集合しなさい。」

魔術を利用することで全館放送を行った。

では、私も中央管制室へ向かうとしよう。

中央管制室へ着くと、そこには職員が十数名と約50名もの魔術師がいた。ただ、少し魔術師の所には空席があった。どうやら、無視をした不届き者がいるようだった。

「何人か欠員がいるようですが、始めましょう。

こんにちは、マスター候補のみなさん。

カルデアにようこそ、とでも言っておきましょう。

まず、改めてカルデアとは何かについて話しておきましょう。」

空気が固まり、ピリピリとした緊張感が伝わってくる。

「カルデアとは―――」

ガチャ、と中央管制室の扉が開く音が聞こえ、三人の少女が入ってきた。どうやら今来たようだ。本来なら、小言の一つや二つあっても良いのだが、初犯は許すとしよう。

「遅刻者三名、今すぐ自分の席に着きなさい。」

は、はいという言葉とともにそそくさと席へと行ったが全員示し合わせたように最前列とは。少し笑いが出そうだった。

「では、仕切り直しまして。

カルデアとは人理継続保障機関のことを言います。

機関の主な目的は人類史の観測と保持です。

具体的に言えば、人類の発展を絶やす事を防ぐという事です。

では、どのようにそれを行うか?

それはカルデアが発明した地球環境モデル・カルデアスと地球観測レンズ・シバを用いることで可能となります。

ライノール教授。」

「わかりました、所長。」

中央管制室にあった青い球体へ指を向ける。

「これがカルデアスです。

このカルデアスの原理については省きますが、地球そのものと捉えてもらって構いません。

そして、今カルデアスに投影されている白色の光は都市の光。つまりは、文明の光といえます。現在このカルデアスに映されているのは正常な状態です。この状態を絶やすことなく保持することが我々の使命です。

では、何故改めてこの事を話したのか、疑問があるでしょう。

ライノール教授。」

青と白で彩られたカルデアスが次の瞬間に黒と灰色に変わる。

「これはシバの偏向角度を変えるとこのように映るようになりました。

これが意味するのは文明の光の消失。つまり、文明が滅んだ、もしくは人類が死に絶えた可能性を示唆します。そして、これは2016年の7月以降からこの状態のまま。

我々カルデアはこの未来を認めません。

この状態になるという事は何かしらの因果関係があることに他なりません。

カルデアにおける究明の結果2004年の日本の地方都市に一つの特異点が発見されました。

さて、聡い皆様ならお分かりになるでしょうが、あなた方の役目はこの特異点に赴き、現地にて原因の究明を行っていただきます。

あなた方には拒否権は存在してはいます、がそれは標高6000メートルの高さに位置するここから裸で降りるという事と同義です。

では、5分後Aチームに配属された魔術師たちからレイシフト、霊子転移を行っていただきます。では、解散。」

そう締めくくり、一時的に退出をする事にした。

 

 体の至る所が痛い。思わず、うめき声が口から洩れた。何とか目を開けると、そこは完全な廃墟だった。痛む体に鞭を打ち、魔術回路を起動するがこちらは何の問題もない。治癒の簡易術式を組み上げ、痛みを緩和する。ほどなくして動けるまでに回復し、立ち上がる。

よりわかりやすい惨状が視界に入ってくる。建物は崩れ、火の手が上がる。まるで小さな地獄だ。とりあえず、カルデアと連絡を取ろう。何となく現状の予測はできるが、確定とはいい難し、何より確定にしたくない。

「こちらアニムスフィア。カルデラ職員、誰か聞こえていますか?」

帰ってくるのはザーという砂嵐の音。これはだいぶん深刻な事態だ。

何か、足音のようなものが聞こえ、その方向へ顔を向ける。

「冗談でしょう…」

思わず言葉が漏れる。それは出来の悪い剣を持った骸骨が数体、こちらに向かって歩いてきていた。魔物だ。何故あんなものがここにいる。たちの悪い夢を見ているようだ。とりあえず、逃げなければならない。幸い、あいつらはこちらに気付いていない。そう思い、足を動かした瞬間小石が瓦礫の上を跳ね、音が鳴った。一斉に骸骨たちがこちらを向く。まずい。魔術で脚部に簡易的な強化術式を付加。その場を駆け出す。骸骨たちはその姿に見合わないほど俊敏な速度で私を追いかけてきた。止まれば死ぬ。それを直感した。

 骸骨たちに追いかけまわされて10経過したが、未だに追いかけまわされていた。時々設置型の魔術を使い足止めを、あわよくば粉砕したいのだが上手くいかない。正直体力的に限界でいつ倒れてもおかしくない。そう思った瞬間、足がもつれた。何とか体勢を立て直すが、どうやら骸骨たちの方が早かったらしく囲まれてしまった。今ほどエーデルフェルトから格闘術を学んでおけばと後悔したことは無い。万事休す。そうは思ったがどうやら天は未だ見放してはいないようだ。

「所長!」

骸骨たちの包囲網の一点がこじ開けられた。そこには例の遅刻者三人組いた。彼女たちは瞬く間に骸骨たちを殲滅するとこちらに寄って来た。

「マシュ・キリエライト、岸波白野、藤村寅子で合っているかしら。」

彼女たちは神妙に頷いた。彼女たちが固まって行動しているという事は、誰かが指示をしたのだろう。

「カルデアの状況は?」

『それは僕から説明するよ。』

普段より解像度は悪いとはいえ、ホログラフィックが浮かび上がった。そこにはオレンジの髪を後ろで軽く括った優男風の青年が映っていた。

彼はロマニ・アーキマン。通称ロマンでカルデアには医者としていた。

「ロマン、貴方はカルデアにいたのね…。

説明をお願いするわ。」

『了解です。

現在カルデアは深刻なダメージを負っていて中央管制室や一部の個室を除いて全て使える状況じゃありません。その上、外部との連絡も途絶え救援を呼ぶこともできません。何より、深刻なのが魔術師の生き残りは僕と所長を除いて彼女たちしかいません。』

眩暈がしそうだった。更に悪いことが続く。

『その上、マシュ・キリエライトはデミ・サーヴァントと化しており、マスターとしては使えません。』

通りで体型に見合わない盾を振り回しても大丈夫なわけだ。

「現状の把握は何とか出来ました。

今いるところは2004年の日本の地方都市冬木で間違いないのね?」

『その通りです、所長。』

「本来であれば一旦そちらに戻って、カルデアの復旧を優先するべきなのでしょうけど、先に原因の究明を行いましょうか。」

『わかりました。』

「えっと、質問は良いですか?」

「許しましょう。

なんですか、岸波白野さん。」

岸波白野、カルデアの礼装に身を包んだふわふわとしていそうな長い茶色の髪を持った少女。

「どうして一度戻らないのですか?」

「私の記憶の飛び具合と叩きつけられたような痛みから推測するに、爆発でも起こったのではないかしら。

カルデアの所長として断言しますが、仮にレイシフトに失敗しても爆発は起こりません。

仮に爆発が起こるようなものだとしたら、私はクライン・コフィン、貴方たちのレイシフトに使った特殊な箱型の機械の事だけど個室で行うわ。

だから、あれは故意に誰かが仕出かしたことだと判断したわ。

なら、このまま引き下がるよりもここで少しでも情報を集めた方がいいのかもしれない。

そう判断したからよ。

他には何かあるかしら?」

彼女たちは首を横に振った。

「次はベースを立てましょうか。

…ここ、濃度が濃いわね。マロン、近くに龍脈はあるかしら?」

『えーと、すぐ近くにあります。』

「ならそこに向かいましょう。

行くわよ。」

私は三人を引き連れ龍脈探しに行った。

 歩いて五分しない地点に龍脈はあった。

「マシュ、お願い。」

「わかりました、所長。」

マシュは自身の大きな盾を地面に勢いよく突き刺し、固定した。

「マロン、近くに敵性反応は?」

『今のところは大丈夫です。』

なら、確認と戦力の増強はしなければならない。

「マロン、フェイトは起動できるかしら?」

『たぶん、大丈夫だと思います。』

「そう、なら岸波、まだサーヴァントと契約をしていなかったわね。

本当は触媒の一つでも用意してあげたかったのだけれど、我慢してちょうだい。

今から貴方にはサーヴァントと契約をしてもらいます。」

 

 




えらく中途半端にぶった切りました。
なんでぶった切ったか、だって?
圧倒的な描写不足による手直しの嵐を防ぐ・・・げふん、げふん
つ、続きが思いつかなかったんだよ。

主人公の名前は原作の先生の名前から一部拝借しました。
髪の毛の色似てるから、へーきへーき。
はくのんはイラストとキャラに入れ込んで作者の好きなキャラだからです。
いつか、はくのんを題材に一品仕上げるかもしれません。


夢で見たならば、ね
感想とか、こんな夢を見たんだ、と言っていただければ
稚拙な腕なりに書くかもしれません。
お待ちしております。

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