魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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こいつらの言い分を書いてたら、なんだが、腹が立ってきた~!!

皆もそう思うよね!!?


身勝手な言い分

 

 

 

 

 

 

  オドリーは夢の中で、自分の犯した過ちに悔いていた…。

 

 

 オドリーは自分の男らしすぎる低い声がコンプレックスで、人前では決して話す事はなかった。本当は話してみたいけど、この声と自分の外見とのギャップから笑われたり、引かれたり、拒絶されたり…、という人生を歩んできた。

 辛い日々だったけど、オドリーはこの声を失いたくなかった。…オドリーにとっては大事な”声”だから。

  

 だから、話す事は止め、手振りで人とコミュニケーションを取るようにしてきたのだった。

 

 しかし、不意にも何年振りか、思わず声を出してしまった。

 

 

 敵であるROSEの自由さと楽しさに触れ、昔の事を思い出し、純粋に自分を見て、愛してくれるくろちゃんとホームズと話してみたいと引き付けられるようにそう思ったのが、今回の失態だった。

 

 

 

 

 オドリーを刺した男はホームズ達の悲痛の質問?(男にとっては痛い拷問)をうけ、あんなに崇拝していたオドリーに剣を突き刺した理由は本当にどうしようもない自分勝手な物だった。

 

 

 「俺のオドリーちゃんがこんな汚らわしい声を発する訳がないんだ!!

  こいつはオドリーちゃんの偽物だ!! オドリーちゃんに成り済ました奴なんだ!!」

 

 

 「そんな事を言うのか、お前は! オドリーちゃんの傍にずっといたお前なら、オドリーちゃんの魅力がわかるはずだよな!」

 

 

 「そうだにゃ。私達だってさっきオドリーちゃんに会って、一時だけ入った親衛隊だけども、オドリーちゃんの部下思いは素晴らしいものだにゃ!!」

 

 

 くろちゃんとホームズが男に反論し、オドリーへの愛を語りだす。しかし、男は縛られている中、大笑いして、くろちゃん達を伐倒する。

 

 

 「はっ!! お前達こそ、愚か者だぜ! 大体、あんな気持ち悪い声をした女なんて、もう俺達の愛したオドリーちゃんじゃない。実は腐ったリンゴだと知った以上は、さくっと切って処分した方がずっと腐ったリンゴを見ないで済むってもんだ!!

 

 な~~~!! そうだろ!! お前達!!

 

 わ~~~~はっはっはっは!! 」

 

 

 狂ったように笑い出す男と一緒に観衆達も乾いた笑いから徐々に人を蔑むような笑いへと変わっていく。

 

 

 「そうだ!! 俺達の純情を壊した女なんて、居なくなればいい!!」

 

 

 「お前は正しい事をした!! 何も責められる事はないぞ!!」

 

 

 闘技場中の自分の親衛隊たちが口裏合わせたようにオドリーを罵るのを、当の本人のオドリーは薄れゆく意識の中、耳にしていた。

 

 

 (やっぱり…、私の居場所はもうなかったのね…。

  信じていた部下達…は、”私”を見てくれていなかった…。)

 

 

 苦笑するオドリーの頬には涙が流れ落ちる。裏切られて悔しいとか、怒りを感じるような涙ではなかった。ただ、辛くて、悲しい…。そう感じさせる涙だった。

 

 その涙をROSEのみんなは無言で、目に焼き付ける。涙を流したオドリーは、そのまま意識を手放した。

 気を失ったオドリーを親衛隊たちは死んだと思い、喜びに舞い上がる。

 

 その後、観衆達が男の肩を持ち始め、武器を持って、立ち上がったその時、くろちゃんとホームズは拳を力強く握りしめ、額には血管が太く見えるほど怒りながら、腕を大きく振り上げ、男の顔面を思い切り殴り飛ばした!!

 

 

 男は後ろへと飛んでいき、闘技場の壁に激突し、なおも貫通し、姿を消した。…この後、男は地下都市の地面の壁に大きな穴を開けて、頭部以外は地面にすっぽり埋まっている状態で警魔隊に発見され、連行された。

 その男の顔には両頬に拳の痕がくっきりと残っていたそうだ。

 

 

 その男の末路の一片を目の前で見た観衆達は言葉を失くす…。

 

 

 くろちゃんとホームズは拳から煙を出して、静かに、だが心は激しく怒っていた…。

 

 

 

 「お………、お前ら!! よくもやってくれたな!!」

 

 

 

 

 

 

 親衛隊の一人が勇気を振り絞って、ROSEに喧嘩を売る。それに対し、ROSEはただ黙る。

 

 

 「ふん!! あいつら、ビビッてるぜ!!」

 

 

 嘲笑いを見せる観衆達だったが、御神がオドリーを突き刺した大剣を手にして、思い切り振りおろした地面に亀裂が入り、場内に広がっていく様を見た親衛隊たちはそれ以上は煽ってこなかった。

 

 

 凄まじい一撃を見せた御神もまた、静かな怒りに満ち溢れていた。

 

 

 そして、くろちゃん達は息の合ったタイミングで親衛隊たちに言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「……あんた達(お前たち)、ムカつく(わ/にゃ/ぜ/な~)!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 親衛隊たちを見つめるその瞳には呑み込まれそうに熱い炎が見えるようだった。

 




ホントは、オドリーのギャップな声を大笑いして、不意打ちで勝利するっていう流れを考えていたけど(オフレコで!!)、こっちの展開の方がいいと思って、してみた!!

うんうん!!やっぱりこっちの方がROSEらしい!!

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