魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

96 / 453
そう、ポロリ、ポロリ~~~!!




まさかの!!(ポロリ)

 

 

 親衛隊の過半数が接近してきて、囲まれそうになるROSEチーム。

 

 

 しかし、ROSEチームの笑みは依然、綻ばない。秘策があるからだ。

 

 

 

 どんな秘策なんだろう…?

 

 

 

 そしてその秘策が放たれる時が来た。

 

 十分に親衛隊を引き付けた後、ROSEチームは先程まで曲芸の人間転がしとなっていた突撃部隊を片手で抱えると…

 (もちろん、片手で持てるように重力制御で軽くしているけど)

 

 

 「さ~~~て!! ここからは勝負だからね!!」

 

 

 「一番多かった人が褒美をもらえるって事で!!」

 

 

 「わかった!!」

 

 

 「ご褒美…、何をしようかな~~!!」

 

 

 「「「「いっせ~~~~の!!」」」」

 

 

 褒美を得た時の楽しみを想像しながら、ROSEチームは片手で待つ突撃部隊の人達をまたもやボールのように、大きく振りかぶって、転がした。

 

 その先には、仲間を取り返そうと接近してきていた親衛隊の大群…。

 

 突如、仲間が物凄い勢いで転がってきたことで、先頭にいた親衛隊隊員たちは急には避けられず、動揺し、後ろから続く親衛隊メンバーに止まるように指示するが、間に合わず、勢いに乗った仲間の人間玉に突撃され、見事に八方に弾き飛ばされていった。

 

 この状況…、いわゆる”人間ボーリング”と言えるだろう…。

 

 

 だから、ROSEチームが次々と突撃部隊を人間玉に変えて、ボーリングの要領で転がしていく。そして弾き飛ばされ、挟み撃ちして、取り囲むというオドリ―親衛隊の作戦の陣形はあっけなく崩れた。

 

 弾き飛ばされた親衛隊は地面に無残にも屍になったり、闘技場の壁に突き刺さったり、弾き飛ばされた連中がなぜか同じ場所に溜まって、屍の山積みになっていたりしていた。

 

 …転がしたというよりは、大砲で撃ったのかと言わんばかりの威力だったからな~。

 

 まぁ、そんな状況を観衆は驚喜的になって、歓声をあげまくっているが。

 

 ……親衛隊の仲間が人間凶器として倒されたんだけどね~。

 

 

 

 …という訳で、親衛隊の過半数を倒し切り、残りはオドリ―を入れて、わずか7人となった。

 

 

 …ああ。あと、人間ボーリングでの賭けは誰が買ったのかというと…

 

 

 「フフフ!! 合計で22人の人間ピンを倒したぜ!!」

 

 

 「く!!後もう少しだったのに~~!!ホームズに負けた~~!!」

 

 

 「でも、僅差だったから、いいんじゃないかにゃ?」

 

 

 「そうだよね~。ここまで結果的に、有利にできたんだからいいんじゃない?」

 

 

 …と、御神とちゃにゃんが20人、くろちゃんが21人、ホームズが22人という事で、ホームズの勝利で賭けは成立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、話は闘いに戻してと。

 

 

 

 結局、相手の罠にはまってしまったと察したオドリ―は残った親衛隊6人に徹底的に防御するように手振りで指示する。その指示に答え、お互いの腕をからませ、絶対にオドリ―に触れさせないという決意を露わに、周囲を固める。

 

 

 『おおおおおお~~~~~~~!!

 

  出た~~~~!! オドリーちゃあんを守る全体防御魔法!!

 

を  防御部隊が防御陣形を取る事で、半径5M程の障壁魔法が展開される~~!!

  これは、例え空中や地中から攻撃しても、絶対に中に通さないまさに、絶対防御!!

 

  これを破った敵はこれまでの闘技場の歴史上~~~!!存在しな~~~~~~い!!

 

  これはもう~~、我がオドリーちゃあんの勝利で間違いナシ!!

 

 なぜなら~~~~~!これを解く唯一の方法を知らないからだ~~~~~!』

 

 

 実況のアックルが鼻で笑いながら、ROSEの敗北が決まったも当然と告げる。それに観衆たちも同じくオドリーの勝利を確信していた。しかし、彼らはある見落としをしていたことに気付くのは、闘いが終わった後になる…。

 

 

 闘技場の流れがオドリーの親衛隊一色に染まる中、ホームズとくろちゃんがオドリー達の方へ歩いていく。

 

 どうせ、何もできないと思っている防御部隊は守りを続けたまま、見守る。

 

 そして、障壁魔法が張られている手前で止まり、深呼吸をする。

 

 

 

 すると、次の瞬間、大声で障壁に向かって語り出した。

 

 

 『我らのアイドル、オドリーに忠誠を誓う者!!

 

  神聖なる我らの愛するオドリーを守らんため、今こそ我らは一つになるべし!!

 

  そして、その思いを裏切ることなく、生涯を捧げるべし!!』

 

 

 

 

 

 くろちゃんとホームズがそう言うと、絶対防御を誇る障壁魔法が解除され、親衛隊の動揺する姿を捉えた。

 

 そしてその親衛隊たちにすかさず、後衛で機会を待っていたちゃにゃんと御神が遠距離精密魔法の『魔弾の射手』で次々と倒していく。

 

 

 

 障壁を破られたショックも重なり、とうとう防御部隊も崩れ倒れていく中…、

 

 

 

 

 「お、おのれ~~~…。」

 

 

 「申し訳ありません…。オドリーちゃあ~~~~ん!!」

 

 

 …と悔しそうに倒れながら、防御部隊6人は親衛隊公式Tシャツを引きちぎり、どんな攻撃でも耐えるためなのだろうか、鍛えられた腹筋を見せて、地面に沈んでいった。

 

 

 それを傍から見ていたちゃにゃんと御神は無言で『なぜ、Tシャツを破く必要があったンだろう…? 』と謎のポロリを冷めた視線で親衛隊の最後を見届けた。

 

 

 

 そして、くろちゃんとホームズは…

 

 

 

 「これくらい言えて当然でしょ?」

 

 

 「ああ…、おいらたちは同じオドリーを愛する仲間じゃないか…。」

 

 

 と渋みのあるドヤ顔で防御部隊の屍を見下ろすのだった…。




いやいや!!

そんなポロリは…!! 

それに、それはドヤ顔するところじゃないからね~~!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。