魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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どんどん仕掛けが出てくる危機をどう脱するんだろう?


罠は罠を呼ぶ…

 

 

 

 

 

 ゴゥゴゥと煮えたぎるマグマの上にある石橋で攻撃を仕掛けられているワイズさんの元に、火龍人が合流した。どうやら途中で道が合流したようだ。

 

 

 助っ人に来た事をマグマの部屋に入ってきた火龍人にワイズさんはぐっとタイミングだと思ったのは、ほんの一秒も満たない、一瞬だった…。

 

 

 助っ人の火龍人の姿を見て、頼もしいという概念が消えうせたのだ。

 

 …正確には、火龍人の後ろを転がってくる丸い物体…鉄球を見て…。

 

 

 「それは、”助けに来た~!!”じゃなくて、”助けて~~”だと思うけど!!」

 

 

 「…うん。ばれちゃった。 ワイズさん、たすけて。」

 

 

 「無理だ!!」

 

 

 ものすごい勢いで転がってくる鉄球に追われてくる火龍人に突っ込むと、ワイズさんは反対方向に逃げだした。もちろん、さっきまでワイズさんの毒舌に腹を立て、襲っていたカバルレの部下達も自分達に向かってくる特大鉄球から逃げるため、我先にと反対側の入り口に駆けだす。

 

 もしここで、鉄球にぶつかったら、跳ね飛ばされて、石橋から下のマグマの中に真っ逆さまで想像通りの”THE END”を迎える事になる。

 

 石橋の熱さなどはもう頭から忘れて、必死に逃げ出す。

 

 

 「待って…。ワイズさん、置いてかないで~。」

 

 

 「悪いが、待つ余裕はないっ!! 私は君みたいな若人ではないからな…。待っていたら、それこそ、一貫の終わりというものだよ。」

 

 

 マグマの熱気で温まったこの部屋と熱くなっている石橋の上を転がって迫ってくる鉄球はその熱さで鉄球の温度が上がり、表面には橙色に溶け出した鉄が石橋に落ちる。

 

 そして、火龍人が次々と部下達を抜いていく中、とうとう鉄球の餌食となって、マグマの底に落ちていったり、踏み付けられて、身体に溶けた鉄でコーディネートされたりと鉄球が過ぎ去った跡には地獄絵図が広がっていた。

 

 それを今も走り続けているワイズさんと火龍人には見れるわけがないが。

 

 

 しかし、ワイズさんたちは新たな危機を目の前にしていた。前方を走っていた部下達が突如降ってきた鋭い棘付の鉄球に下敷きにされ、そのまま橋の中心へと転がり出したのだ。…ワイズさんたちの方へ…。

 

 

 「なっ!! そんなの在りなのか!?」

 

 

 「実に追い込んでくるね…。どうする?ワイズさん?」

 

 

 「こうなったら、少し魔法を…」

 

 

 「残念だけど、ここでは魔法は使えないみたいだよ?壁一面にどうやら小さくしたアンティナイトが無数に組み込まれているみたいで、魔法妨害しているんだよね~。」

 

 

 「…え?」

 

 

 火龍人の話を聞いて、試しに前方の鉄球に狙いを定め、加重系魔法を発動する。

 

 …しかし、動きが鈍くなって動かなくならず、一向に迫ってくる。

 

 

 「これは………、困ったね。八方塞りの状況だよ…。いや、例えるなら、”背水の陣”?」

 

 

 「じゃ、ここは、マグマの部屋だから、”マグマの陣”?」

 

 

 余裕を扱いているように見える二人だが、内心は酷く焦っていた。徐々に縮む鉄球のとの距離に打開策を考える。その鉄球との距離はおよそ50Mほどまで来た。猶予はもう残っていない。

 

 

 「「…………………あ!!」」

 

 

 二人は同時に何かを閃いたようで、話し合いもなしに、すぐに行動に起こす。

 

 二人は石橋の横の柵を飛び越え、身体を外に投げ出す。そして、手はそのまま柵に掴まって、石橋にぶら下がった。

 

 

 

 ――――――それは一か八かの大勝負。

 

 

 

 

 もし、手が滑ってしまったら、真っ逆さまにマグマの底に落ちる危険がある。しかし、鉄球の衝突からは回避できる危険な方法だった。

 

 そこへ、とうとう二つの鉄球が引かれあうように、大きな金属音を鳴らして、激しく衝突した。そしてそれは鉄球同士の一撃勝負にもなった。

 

 一つは、鋭い棘が付いた鉄球。

 

 もう一つは、じょっかん熱さで熔けた鉄球。

 

 

 この鉄球達の衝突はまるで大将同士の激突そのもの。

 

 

 しかし、その勝負は苦しくも棘もち鉄球の勝利に終わる。

 

 棘のリーチで棘の先端がもう一つの鉄球に食い込む。表面が熔けだしていたためだ。そして、更にお互いが押し合いながらぶつかる。すると、更に棘が食い込み、熔けている鉄球の方に亀裂が広がっていく。そして弾き飛ばされた時、その力が加わって、無残にも砕けていき、残骸の一部はマグマの底へと沈んでいった…。

 

 

 その現場をものすごく近くで見ていたワイズさんと火龍人はなんだか、さっきまで追いかけられていた鉄球の無き姿を見て、涙を流す。

 

 

 「おおおおお~~~~~!!! なんという事だ! 球太郎が哀れな姿に……!!」

 

 

 「球太郎……! 君の勇敢な戦いっぷりは忘れないよ…!」

 

 

 「………ああ、いい生き様だった。お前はよく頑張った!!」

 

 

 

 ……………二人はまるで男の取っ組み合いを見て感動したように、砕けた鉄球になぜか”球太郎”と名付け、別れを嘆いた。

 

 そして、憎き敵を見るかのような鋭い視線を棘鉄球に向け、再び橋の上へとよじ登って、戻ると…

 

 

 「球太郎の仇!!取らせてもらう!!」

 

 

 背中にしていた大剣を鞘から抜き、大きくジャンプすると、棘鉄球の真上に大剣を突き刺す。

 

 そこから入った日々が亀裂を生み、徐々に広がった亀裂で棘鉄球がバキバキという音がしていく…。

 

 

 大剣を抜き、鞘に戻しながら、ワイズさんは亀裂が広がっていく棘鉄球に背中を向けながら、語るのだった。

 

 

 

 

 

 「………これがお前の犯した罪の報いだ。」

 

 

 

 

 そして完全に大剣を鞘に収めた時、棘鉄球は球太郎と同じ末路を辿って、粉々に砕けた。

 

 

 その棘鉄球の残骸を見下ろす火龍人の目にも憤りを感じられる。

 

 

 「球太郎を葬った事を地獄で後悔すればいい…。」

 

 

 そう一言吐き出すと、棘鉄球の残骸全てをマグマの底に投げ落とした。

 

 

 

 

 その間、ワイズさんは無き球太郎の姿に手を合わせ、黙とうをし、瓦礫を集め、何やらこそこそし出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……こうして、思わぬ感動ドラマ?のお蔭で、何とかマグマと鉄球地獄から抜け出したワイズさんと火龍人の二人は出口を潜り、また一本道を進み、先を歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その二人の胸には、銀色に輝く薔薇の彫刻がされたブレスレットが歩く振動でゆらゆらと揺れていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




………いやいや!! 終盤かなりのツッコミ満載だったよね!!?

さっきまで殺されかけていた鉄球に名前付けて、擬人化していたよ!!?

ワイズさんのかっこいい所書こうとしたのに!! 小説書いている間ずっと、ワイズさんが”ワイズマン”になってしまって、書き直す癖がついてしまうほど、カッコよく書きたかったのに!!

くそ!!明日は次の仲間のかっこいいシーンを書いてみせる!!

シャッターさん!今日の投稿は閉めるよ!…ガラガラ。

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