魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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最高幹部と戦うのは、早すぎる~!!

という訳で、その道すがら、トラップに引っかかるROSEメンバーの話を~。


橋を渡る時は慎重に…!!

 

 

 

 

 カバルレの仕掛けたゲームショーによって、散り散りになり、参戦する事になったROSEのみんなは、ラスボスであるカバルレがいる最上階へと目指すため、それぞれのいる部屋の扉を開け、先に繋がる一本道を歩いていた…。

 

 今回は、そんなROSEのメンバーのワイズさんと火龍人のプチ冒険の話…。

 

 

 

 

 

 孤高の旅人だったワイズさんは、ROSEに入って間もないが、皆との会話にも積極的に参加し、旅の経験から得た様々な知識を惜しみなく提供してくれる自称、独身男の老人…!!

 

 しかし、自分を老人だと自虐するワイズさんをROSEのみんなはそうとは受け取らず、例え男でも、女でも、子供でも、老人でも関係なく接し、仲間を大事にする心を持っている…。それをROSEに加入したワイズさんは日々を過ごす内に胸の内を温かくしてくれるROSEに少しずつ心を通わせていった。

 

 だから、ROSEのみんなとまだ居たいと思う気持ちがワイズさんの身体を動かしていた。

 

 

 「…かなり歩いたけど、まだまだ先が長そうだよな~。早く終わらせるに越したことはないけど。」

 

 

 歩きながらも、壁の仕組みを分析したり、魔法的措置がされていないかなどを調べ、データを集めていく。

 

 すると、歩いてきた道の先に光が見えた。

 

 

 「…やっと出口か。さっさとカバルレの部下達を倒して進みますか。」

 

 

 やれやれという雰囲気で出口を向けたワイズさんは目の前の想像した物とは違った光景に口が開けて、沈黙する。

 

 

 ワイズさんが遭遇したのは、カバルレの部下との戦闘でも、それ以上の力を持った幹部との戦闘でもない…。ただの石橋が目の前にあるだけの広間に来てしまった…。

 

 

 もちろん橋の周りは穴が開き、下には渦を巻く水が張られていた。

 

 

 ワイズは人との戦闘ではなく、トラップに遭遇したことに残念がる。

 

 

 トラップに遭遇するという事は、すなわち、敵の数を減らせられず、他のメンバーの戦闘に駆り出される可能性があるからだ。

 しかし、自分の与えられた罠がこれだけで終わらないだろうと考えなおし、次の罠で戦闘になる事をなぜか期待して、石橋を渡ろうとした。

 

 

 石橋を渡ろうとしたが、何のトラップが設置されているかは分からないため、とにかく持っていた金づちを取り出し、石橋を少しずつ叩いて異常はないかを確認して進んでいく。

 

 

 遠い国のことわざでこんな言葉があると聞く…。

 

 

 『石橋をたたいて渡る』と…。

 

 

 

 (そのまんまに捉えてどうするんだっ!!)

 

 

 そうしていると、望んでいないのに、罠を発動させてしまう訳で…

 

 

 

 石橋を叩いていると、床部分の意志の一つがくぼみ、ガチャっと音を立て、機械的な音が響く。その音とともに、渦巻く水がどんどん熱湯に早変わっていき、湯気を発していく。その湯気が濃くなり、石橋をなおも叩いて渡っているワイズさんの視界を塞いていく。その視界の悪さで、ワイズさんがまたよからぬトラップを発動してしまい、熱湯が更に、熱くなったと思ったら、下はプクプクと音を立てて、完全にマグマの沼状態になっていた。温度も急上昇し、マグマの熱で熱せられた石橋の上で、ワイズさんは身体中を汗でびっしょりと濡らし、焼き石となった石橋の上で「あちあち!!」っと飛び上がる。

 

 

 「いつの間に、熱湯がマグマになったんだ?それに…熱っ!! 足の裏が、熱っ!!」

 

 

 あまりの暑さに干からびそうになるワイズさんは石橋の半分まで来ていた。

 

 さすがに後、半分も叩いて渡る事は困難だと思ったのか、確認しない事は悔しがっていたが、一気にわたってしまう事にした。

 

 

 そして、駆け足をしている今のリズムに乗って、走り出そうとした時、運が悪いのか、いいのか、天井が開き、防熱素材の酸素マスク付白全身タイツを着たカバルレの部下たち10人ほどが石橋の上に振ってきた。部下達は熱せられた石橋の熱さで立っていられないワイズさんの前後に立ち、マスクから漏れる不気味な笑いを出しながら、徐々に近づいてくる。

 橋の出入り口に部下達がいて、橋の下はマグマ…。

 

 逃げ場を失ったワイズは絶対絶命のピンチに遭遇する。

 

 

 しかしその状況でもワイズは冷静で…

 

 

 「……君たち、その服装は止めた方がいい。はっきり言って、似合っていない。寧ろ、気持ち悪い。悪すぎる。流行遅れとかそういう次元ではなくて。存在自体が許せないから。」

 

 

 冷静は冷静でも、かなりの毒舌をお見舞いした。

 

 

 

 部下達はそんな感じで存在を拒絶され、前方の部下達は石橋の上で体育座りをして、落ち込み、後方の部下達は一気にワイズさんに襲い掛かる。

 

 

 

 「あれ達だって、こんなかっこ悪いの、着たくないんじゃ~~~!!」

 

 

 「だったら、着なくてもいいと思うけど。 それを着なくても、この石橋を渡るくらいできるよね?」

 

 

 「安全装備して何が悪いんじゃ~~!! 馬鹿にしおって~~!!」

 

 

 「さっきから、語尾に”じゃ~~!!”って言ってますけど、流行ですか?その白タイツとセットで。」

 

 

 「違うわ!! 貴様ざぞ、マグマに落ちやがれ~~!!」

 

 

 金棒を振り遅す部下達の攻撃を最小限で避けているワイズさんの耳に、仲間の声が部下達の後ろから聞こえた。

 

 

 

 「ワイズさ~ん。助けに来たよ!!」

 

 

 そう、火龍人の声が聞こえたのだった。




明日は、火龍人を織り交ぜて…。


うん!!なんだか漫才になる予感!!

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