でも、それじゃ、おもしろくないか。
『レッツ・ショー・タイム!!』
鼻に突くような大げさな発音と口調で決戦の幕を言い放ったカバルレの言葉に反応し、先程からの揺れが強まり、床や壁、壊れた天井も動き出した。
「危ないっ!!」
「おっと!!」
「ほれほれ!! 避けなければ、潰れるぞ?」
「さっきからアイツ、むかつくな~。」
「もう、団長さん、大好きだったのに~!!」
「諦めよう…!? 化けの皮を被ってたんだし、優しい団長さんはいなかったんだよ~!!うわ~~ん!!」
「コラっ、今、嘆くなよ!!」
「「ごめんなさい!」」
所々の床がせり上がって、その床と新しくできた天井に挟まれるのを回避しながらも、るーじゅちゃんとし~ちゃんはいまだにカバルレ団長(老紳士の方)の面影を探して、嘆いていたので、御神が戦いに集中するように告げる。
しかし、みんなを心配するような余裕がないほど、床がせり上がって、壁になり、皆を視界に入れる事が困難になってきたのだ。何とか壁を蹴って上がっても、すぐに壁が横に伸びてきて、行く手を塞いでくる。
攻撃魔法で砕いたり、消したり、錆びつかせたりと反撃するが、またすぐに新しく出てきたりとするものだから、きりがない。まだ敵との交戦もある中、なるべく魔法は使わないようにしないと…。
だから、すっかりせり上がった床や伸びる壁、動き回る天井に右往左往に避けた結果、カバルレの姿を見逃しただけでなく、ROSEの面々の陣形も完全に崩れ、ROSEのみんなは仲間達とはぐれてしまった。
そして、壁も床も天井も動きがやっと止まり、一息はいた後、自分がいる場所の周りを見渡したROSEのみんなは驚愕した。
なんと、自分がいる場所には既に部屋ができていたからだ。
家具等は一切ないが、目の前には扉があり、天井にはちゃんと灯りがあった。
ちなみに、ROSEのみんなは一人ずつ、別々に部屋割りされている。ホテルの部屋わりかっ!!と突っ込みを入れたいが、それをまだ知らないROSEのみんながそんな突込みができる訳もない…。
自分がどこにいるか把握できないみんなは、とりあえず、部屋を探索し、自分以外は誰も部屋にいない事を確認しようと、連絡無線を取り出し、連絡を取り合おうとするが、通信が妨害されているらしく、繋がらない。
暁彰に繋がれば、『精霊の眼』でこの事態を探る事が出来るし、その情報をみんなに中継役となって伝える事もできる。しかし、無線どころか、電子メールも使用不能になってしまっている。
どうしたものかとみんなは思考を凝らしていると、部屋の壁に突如として映像が流れ始める。そこには、カバルレの姿があった…。
「よう!! どうかね? この本部棟の秘密カラクリを味わった感想は?
…………ふむふむ…、大変気に入ってくれた者がいるようだな!!
そうだろう、そうだろう!! この本部棟は私の意志であらゆる内装に作り替える事が可能なのだよ!!
大浴場を作りたいと思えば簡単に作れるしね?」
この時、カバルレの説明を同じく別々に見ているくろちゃんとホームズ、御神、剣崎兵庫etc…は”大浴場”と聞いて、鼻血を流し、ヘムタイな事を考えていた。…その他の一部は悪寒を感じ、ヘムタイ反応を見せたり、その妄想の餌食になっている人は言葉にならない直感を受け、壁にパンチをお見舞いしていた。
「…という訳で、今この本部棟を誰が支配しているか分かってくれたと思う…。
そこで、ショーの内容を説明しよう。
いま、お前達は一人ずつ我が作り上げた部屋に配置しておいた。
そしてそれぞれの部屋には扉がある。その扉を出れば外には出られる…が、一方通行の一本道!!
その道を進めば、階段やステージがあるぞ!!
それらを進みながら、上へと進んでいき、最上階にいる我の元へと来いっ!!
だが、我に辿り着くには、幹部や部下達を全員倒さなければ無理だがな!!
貴様らの持つ命運が試される『運試しあみだレースショー!!』を用意した…!!
さあ、ゲームショーの用意は整えてやった…。
我を倒せば、全て終わる…。しかし、そう簡単にはいかないからな!!ゼイゼイもがけ、苦しめ!!
か~~~~ははははははははは!!!」
ブチっ!!
カバルレの高笑いの後、映像は消え、沈黙が流れる。
カバルレの言っていた『ショー』という意味がやっと理解でき、憤怒の思いを胸に秘め、ROSEのみんなは合図もなしに、同時に扉を開け、カバルレが仕組んだショーにいま、参戦する…。
消さない代わりにゲーム大戦にしてみた…。
あみだのように進んでいき、途中で仕掛けられている罠や敵との遭遇戦を掻い潜って、ラスボスまでたどり着き、倒すってゲーム…。
…こんなゲーム、イベントでしてくれないかな~!!?