魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ド派手にはド派手に返す!!




地獄への『レッツ・ショー・タイム!!』

 

 

 会場の天井が崩れ、大きな円状の穴ができた。

 

 

 そこから、落下してくる無数の人影…。

 

 

 そのうちの一人は見事な宙返りとひねりを入れた華麗なる動きで着地した。その者こそ、天井を壊した張本人…。

 

 

 「さすがの威力だね~!! 恐れ入るぜ!!」

 

 

 「…本当はこれを望んでいたんだろう?ホームズ…。」

 

 

 天井を壊した張本人…、暁彰にホームズが激励を投げる。

 

 

 何でこうなったかというと…

 

 

 

 

 通信を切った後、暁彰が飛行魔法で警報装置や相子探査機を回避するため、飛行魔法で遥か、上空に飛び上がり、地下の本部棟がある真上を『精霊の眼』で確認し、飛行魔法を解除して、真っ逆さまに急降下したのだ。そして、そのまま降下しながら、愛用のCADを地上のパフォーマーたちの宿テントに照準を向ける。…正確にはそのテントを通り過ぎ、地面の約50Mほどにあるほんの一滴分のの水分に照準を合わせ、タツヤ族しか使えない戦略級魔法奥義『マテリアル・バースト』を発動させた。地下内でエネルギー放出された威力で地下都市のある深さまで太陽の爆発は届き、それによって、土で覆われた地下都市への道ができ、爆発によって、砕けた天井の土が地下都市に降り注ぐ。

 

 警備員達は突如崩れた天井に動揺し、助けを叫びながら、落ちてくる土の塊を避けようと必死に逃げ惑う。

 ちなみに、奴隷達はオークションが開始されて、都市の端の奴隷達の収容所に入れられていたので、怪我は誰もしなかった。

 

 そして、本部棟には特にその土石流が酷く、流れ込んでいき、重みに耐えきれなくなった屋根が壊れ、更に下に落ちていき、一階の会場の天井まで破壊したのだった。

 

 

 そして、地下都市にも本部棟へも侵入経路ができたため、暁彰は落下をし続けたまま、地下都市へ…、そして本部棟の会場へと落下し、減速魔法と移動系魔法で落下の勢いを殺し、見事な着地を決めた。

 

ま、本当は『雲散霧消』で地面を分解すればよかったが、相当深い場所に地下都市があり、落下するだけでも10分ほどかかるまでだ。(確かにホームズ達も罠で落ちていった時、時間かかったもんね~。)

 

 時間がかかる上に、神経を使うため、手早くそして、”派手”に登場するには、『マテリアル・バースト』が都合がよかったのだ。

 

 

 地下での発動だから、帝都への被害は皆無。

 

 被害は最小限に留めて、相手の注意を向けさせた…

 

 …というわけだ。

 

 

 暁彰が開けたドデカい穴の侵入経路からROSEのみんなや警魔隊が次々と到着する。

 

 警魔隊精鋭も含めた5000人が地下都市にいる監視員や警備員、逃げ惑う闇オークションに参加していた闇商人や研究者等の観客を一切手加減なしで検挙していく。

 

 地上のテントも崩壊し、既に、団員全員の身柄を抑え、逃げようと飛行魔法で飛んでくる観客達を逃さないように『マテリアル・バースト』で緩んだ地盤が崩れた巨大な穴を警魔隊が警戒態勢を敷いて、上がってくる観客達を一人残らず、縄でぐるぐる巻きにして捕獲していった。

 

 

 その光景はまるで、湖で魚を釣り上げるマスタークラスの釣り人の集団のように見える…。

 

 

 

 一方、地下都市では、ROSEの面々がカバルレを逃がさないために取り囲み、手助けしようとレストレード警魔隊隊長が部下を十数人連れて、本部棟へ入ってきた。それをステージで確認したホームズは…

 

 

 「あ、レスちゃん!! どんどん御縄に縛ってあげてね!」

 

 

 「えっ!! 我々もご一緒に戦いますよ!!」

 

 

 「こっちはいいから、それよりも雑魚共の捕縛よろしく! 」

 

 

 「で、ですが…!」

 

 

 「…痛~いお仕置きと気持ちいいお仕置き…どっちがいい?」

 

 

 「快感の方で!!では、雑魚共の捕縛に行かせていただきます!!お前達、行くぞ!!」

 

 

 ホームズとレストレードのやり取りを呆れ顔で見送ったみんなの雰囲気にカバルレは怒りで体を小刻みに震えさせる。

 

 

 「貴様ら…。吾輩のショーをぶち壊しにしておきながら、呑気にSM会話しないでもらいたい…!」

 

 

 「あれ?カバルレ団長様…、一人称が”私”から”吾輩”って…。ぷぷぷ!!

  お人柄が変わりすぎですよ!!」

 

 

 「いよいよ、悪役に転じたってことなんだろ?」

 

 

 「いや~悪役じゃなかったら、こんな状況になっていないと思う…。」

 

 

 「「「「「確かに…。」」」」」

 

 

 お淑やかな優しい団長はどこへ行ったやら、もう見た目が若返っている団長にはその物陰は一切なくなっていて、悪い顔がくっきりと表情に表れていた。

 

 その顔の額には血管が浮かび上がるほど、爆発的怒りを出していて、年寄だったら、血管がブチ切れて死ぬんじゃないかってくらい。

 

 

 「……よくわかった。

 

  貴様らには甚振るだけではすまさねぇ…。死んだ方がまし…、いや…、死んでも一生終わらない地獄を味わらせてやるっ!!」

 

 

 怒号を吠えまくり、肩に乗っている相棒の鳥型CADロボットの口から黒みかがった紫の丸い宝石をつけたロッドを吐き出させると、そのロッドの先を地面に2回、コン、コンッと打ち付けた。

 

 その瞬間、本部棟が一瞬びくっと揺れたと思ったら、地震のように横揺れをし始めた。

 

 

 

 「なんだ!この揺れは!」

 

 

 「だめだ…。はきそう…。うぷっ!」

 

 

 カバルレを取り囲んでいたROSEのみんなは激しく揺れる床や壁に陣形が崩れていく。

 

 

 「カ~~~ハハハハハ!!! さあ、お前たちのその地獄を見せてやろう!!

 

  われわれ、”カバルレ・サマダ大サーカス”の地獄ショーをもって、全滅してやるっ!!」

 

 

 ドヤ顔で何かを企むような顔を見せるカバルレは耳にかけているマイクを二回指で突いた後、手を広げて、宣言するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『レッツ・ショー・タイム!!!』

 

 




サーカスならではに、カバボスを悪に、徹底的に悪にしよう!!

でも、サーカス感も入れよう!!

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