魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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はい、本編に戻ってきました~!!

番外編は溢れんばかりに書きまくったね~。


という訳で、ついにサーカスに潜入したホームズ達が動き出す所でスタートだ!!


いざ、反撃の時!!

 

 

 

 サーカス団を殲滅するため、壁際で縮こまって、小声で作戦を話し合うホームズ潜入組。

 

 

 お互いに作戦を理解した後、リテラは単身で敵の通信司令部へ行き、救援要請や監視カメラの無効化をするため、向かった。

 

 何回もここへ潜入しているリテラには既に9割ほどの本部棟に見取り図を頭に叩きいれていた。そのため、もし騒ぎを起こした場合、相手の通信手段等を遮断し、操作できたら、戦力等を有利な方向へと持って行ける。幸いにも、通信司令部には幹部はめったに訪れないし、下っ端の連中しかいない。

 リテラの得意な精神干渉系魔法を使えば、スピーティーに事が運ぶ。そこも見込んで、ホームズは頼んだのだ。しかし、作戦がうまくいくとは限らない。もしも、予想だにしない事態に遭遇した場合は、連絡するように伝えてある。

 

 通信司令部へと向かうリテラの後姿を見届けた後、リテラにもらった本部内の見取り図と地下都市の地図を見比べながら、思考を巡らせているホームズにるーじゅちゃんとし~ちゃんがそっとホームズに話しかける。

 

 その内容は、さっきのリテラの覚悟の事だった。

 

 

 「……やっぱり少し、言い過ぎたんじゃない? 」

 

 

 「…そうだね。まだあの年齢で、革命軍を引っ張ろうとしているんだもんね。怒りで我を忘れて、勝ち目がない無駄死にはよくないよ。でも、あそこまで覚悟を持たせる意味があったの?」

 

 

 ROSEのみんなは闇世界と関わってきたから、どれだけ危険で、どれだけ悲惨な戦いなのか…、身に染みるほどよく知っている。

 だから、その闇世界へまだ爪先一歩だけ踏み込んだだけのよく知らないリテラを放り込むのは…、ましてや命をかけらせるのは、酷ではないかと思ってしまったのだ。危険に飛び込むのは、自分達だけでいいと…。

 

 しかし、ホームズは首を横に振り、それを否定する。

 

 

 「確かに、選択を狭めて、リテラに将来のために、仲間を見捨てさせた…。

 

  それは、申し訳ないと思っている…。

 

  でも、おいらは間違ったことは言っていないと思っている。

  し~ちゃんは言ったね?『あそこまで覚悟を持たせる意味があるのか?』って。

  なくてはいけないんだよ…、リテラには。

 

  リテラは外で情報を集めてきたと言っても、まだ外の世界をよく知らない…。つまり、どこに闇が潜んで、手を伸ばしてくるか、”知らない”んだよ。

  おいら達なら、避ける事が出来る事でも、リテラは優しいから付け込まれる…。

  だから、リテラが考えているような甘い世界じゃない事を教えておかないと…。」

 

 

 「だから、”知らない”からこそ、”光”であるリテラを”闇”に落とされないように、前もって、止めておくべきだったんじゃ?ある程度の事だけ知れば、戦えるはず…。」

 

 

 「それは、ダメだ!!」

 

 

 ホームズの言葉に一理あると分かっていても、るーじゅちゃんはどうしても言っておきたかったのだ。リテラは純粋すぎる…。その純粋さが穢れる前に関わりを断ち切るべきだと…。しかし、ホームズはそれを認めなかった。

 

 

 「”知らない”って事は、それだけ”闇”に付け込まれる隙に繋がる…。それはおいら達が一番よくわかっているはずだぜ?

 

  …それに、リテラはただの普通の少女じゃないんだ。革命軍のリーダーでもあるが、この国の正統な王の末裔…。この国を変えようと動こうと、今、立ち上がっている次期国王候補だ…! 

  

  王の称号なら誰でもやろうと思えば、やれるもんさ!ただし、国を良くしようとするなら、話は別だ…。

 

  人に善悪があるように、国にも”光”と”闇”がある…。どんなに人柄が良く、民に愛されるものでも、”闇”を”知らない”と自分では気づかずに”闇”の政治を認知したり、合法化してしまう事に繋がらない訳じゃない。

 

  ”知らない”なんて言葉は人々を束ね、導こうとしている者にとっては、愚かな言葉だぜ…!?

 

  ”知らない”って事で、間違った判断をしてほしくないんだ…。おいらは…。

 

  おいらもリテラが誇りに持って、夢見る国を見てみたい…。

 

 

  …だから、”光”だけでなく、”闇”も知って、国をどう導けば、民が笑顔になるか…、リテラのその眼で見て、聞いて、感じて、正直な思いで考えてほしいんだよ…!!」

 

 

 熱い思いを胸に秘めながら、力説するホームズにるーじゅちゃんとし~ちゃんは感動のあまり、感涙する。

 

 火龍人は涙を必死に堪えながら、大きくうんうんと頷く。

 

 もう三人は、ホームズに意見を言うつもりもなかった…。ホームズの気持ちが痛いほど伝わったし、何より自分達もリテラが治める国を見てみたい…!!

 

 

 そう思うと、力が沸いてきた。

 

 

 みんなの瞳に迷いが消えたのを感じたホームズは打ち合わせ通り、作戦を開始した。

 

 

 ホームズが地上で曲芸一座の動きを監視しているみんなと連絡を繋ぐ。

 

 

 「…こちら、暁彰。どうした?ホームズ?」

 

 

 「ごめん、今からこの地下で大暴れする事になったから、早速助っ人としてきてくれないかな~!!」

 

 

 「……その、気楽な感じでさらっと大逸れた事言うの、止めてくれないか?準備ってもんが必要なんだけど?」

 

 

 「大丈夫!!暁彰ならいけるっ!!」

 

 

 「……はぁ~…。で、どうしろと?」

 

 

 「さっきまでの会話、聞いていたと思うけど?」

 

 

 「…聞いていたけどな、まさか地下で闇オークションが行われていたとは、思わなかったよ。確かに、この機を逃せば、連中のしっぽをつかむ事すらできなくなる。」

 

 

 「うんうん!!だからさ、派手にぶっ飛ばすんで、来て?」

 

 

 「わかった…。すぐに行くが、曲芸一座のテントの周りには、警報装置つきの策で覆われていて、入るのは難しい。何か、入る手段がないか…。」

 

 

 声色からして、曲芸一座の敷地の周りを調べたみたいだけど、抜け穴らしい場所は見つからなかったようだ。

 

 

 「ははは。だろうな~。リテラに教えてもらったけど、いくつもの抜け穴があったんだけど、連中に支配された時に、徹底的に塞がれて、今じゃ、本部棟から伸びている筒状の50人乗りエレベーターしか、ここに来る手段はないっぽいよ?」

 

 

 「……その通りらしいな。今、視てみたが、ホームズ達がいる中心の建物から地上へ伸びているエレベーターしかないみたいだな…。しかも、その出入り口には監視員が50人も配置されている。」

 

 

 「…どうしようか?」

 

 

 監視員は入るだろうと思っていたが、そんなにいるとは思わなかったホームズは他の手段を考える事にした。しかし、それを暁彰は不要と告げる。

 

 

 「…大丈夫だ。合図をくれたら、こっちでホームズがいう、”派手にぶっ飛ばして”みせるから。るーじゅちゃん達にもその事は伝えといて。」

 

 

 「…ああ!!なるほど、わかった。後、それからこの事を警魔隊にも連絡して…」

 

 

 「既に警魔隊に連絡して、いつでも踏み込めるように配置完了済み。彼らの士気も高まっている…。」

 

 

 「さすが!暁彰!!やること早い!仕事ができる大人だな~!!」

 

 

 感心しいると、暁彰は用は終わったと言わんばかりに、通信を切った。

 

 

 無視されたことに拗ねるホームズだけど、準備しているるーじゅちゃん達に暁彰の伝言を伝え、ついに、表舞台に飛び出した。

 

 

 「ハロー――!!

 

  闇商売を生業としている馬鹿さん達?」

 

 

 最後の商品のオークションが終わり、後は幕引きという所で、ステージにホームズがスポットライトを浴びて、出てきた。

 

 

 いきなり、偉そうに出てきたホームズに驚きながら、観客達は野次を投げる。

 

 観客達の反応を見て、急いで、カバルレはステージ横で控えていた監視員を呼び出し、つまみ出すように命じる。

 

 

 しかし、取り押さえる前に、ホームズは腕を高く上げ、指を鳴らした。

 

 

 その指を鳴らした音が会場中に大音響で響き渡り、観客達を黙らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして…

 

 

 

 

 突然、会場の天井から地響きがしたと思ったら、天井にひびが入り、次の瞬間には、天井が壊れ、瓦礫が観客達の頭上に落ちてきた!!

 

 

 「「「うわわあああああああ~~~~!!!」」」

 

 

 悲鳴を上げる観客達に向かって、呆気になっているカバルレからマイクを奪い、観客達に指を指して、宣言した。

 

 

 「さあ!!闇をぶち壊す反撃の時間だっ!!」

 

 

 そのホームズの目には、心からの強い思いが込められていた…。

 

 

 




はい~!!

今日のほーちゃん、かっこいい~~!!ヒューヒュー!!

こうして、カバルレサーカス団対ROSE&革命軍の火蓋が落とされました!!

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