魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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この場に来る人って絶対に金持ちが多いよね!!

そして、いつもと違ったチムメンが見られるかも!!


闇オークション!? 燃え滾る怒りの炎

 

 

 闇オークションに偶然にも遭遇したホームズ達一行。

 

 

 

 目の前の光景に呆気にとられ、入り口で立ち尽くす。

 

 

 「こんな事って…。」

 

 

 「こんなにたくさんの連中が闇に手を染めているなんてね~…。」

 

 

 「信じられないわ…。」

 

 

 るーじゅちゃん、し~ちゃん、リテラがなんとか今の心境を切々と語る…。

 

 

 その間、カバルレが主催するオークションは続き、怒りが爆発しそうになってくる。

 

 

 それもそのはず…。

 

 カバルレは商品として、新しく作り出した新薬や魔法アイテムを売り込むが、そのほとんどが法に触れる違法薬物やアイテムだ。

 口に含めば、即死するほどの毒薬で、警魔隊が捜査する頃には体内の毒は全て消え去り、痕跡が残らないというものや一定バリアを張り、その中に入った者は催眠を掛けられ、思いのままに操る事が出来るアイテムなどがあり、まさに闇に巣くう住民にとってはこの上ない最高の贈り物なのだ。

 

 しかも、その効果を披露するために、奴隷を連れてきて、実験体にし、毒薬やアイテムの有用性を証明する。

 

 奴隷達は命を乞い、涙を流し、悲鳴を上げる。

 

 それを観客達は同じく残虐だと悲鳴や中傷を言うのではなく、歓喜で受け入れ、更に惨い仕打ちを求め、煽っていた。

 

 そして、使い古された奴隷達の末路と言えば、息絶えた者は、ダストシュートへと。

 

 まだ息のある者は、次の実験体としてや度胸を買われ、商品へと。

 

 それ以外で大事に扱われ、衣装を身にまとった女性や子供は娼婦、使用人として美貌によって、高値が付けられていく。

 

 

 そんな人間を人間と思わないカバルレや観客達に怒りを隠しきれないリテラは暴れ、ステージに乗り込もうとする。それを必死にるーじゅちゃんとし~ちゃんが取り押さえ、落ち着くように説得し続ける。

 

 火龍人とホームズは相変わらず、ステージに目を向け、眉間に皺を作り、憤りを露わにする。

 

 

 「何をしているの!! と、とにかく、こんな闇オークションを止めないと!!カバルレを倒せば、全て片が付くわ!!」

 

 

 る-じゅたちを振り払い、リテラが剣を取り出し、ステージに降り立とうとするが、それをホームズが手で道を塞ぎ、リテラの動きを止める。

 

 

 「ちょっと!! ホームズさん!!どいて!! 」

 

 

 大声で怒鳴るリテラに近くの観客席に座っていたオークション参加者たちがホームズ達に視線を向け、何事かと不可解な雰囲気で見てくる。

 し~ちゃんは慌ててリテラの口を塞ぎ、るーじゅちゃんが頭を下げて、この場を収める。その間も、リテラはホームズに怒りを込めた視線をぶつける。

 

 ホームズ達は壁際に移動し、リテラに小声ではっきりとした口調で注意し出した。

 

 

 「”今、出ていけば!!矢継ぎ早に集中砲火を浴びて、無駄死にするだけだ!!もう少し、待て!!”」

 

 

 「”何で待たないといけないのよ!! ホームズさんだって見えているでしょ!?

  仲間が…、私の大事な仲間が…!あんな残忍で、卑劣な扱いを受けているのよ!!早く彼らを助けないと!! 今だって助けられる命を、あなた達の所為で助けられなかった!!私はあなた達を許さないからっ!!”」

 

 

 言いたい事は言ったと、リテラはステージへと向かうため、足を運ぶ。

 

 しかし、それを火龍人が遮って、有無を言わせない鋭い瞳でリテラを止める。これまで見た火龍人と雰囲気が違う印象を受けたリテラは反論しようとしたが、言葉が喉に詰まって、上手くいい返せず、また火龍人の発するオーラで威圧され、力を抜き、立ち止まる。

 

 火龍人はなおをそのままの状態で、リテラに問う。

 

 

 「リテラ、乗り込んで、カバルレを倒してそれからどうするの…?」

 

 

 「カバルレを倒して…、それから…? も、もちろん、彼らの悪事を帝国に広めるため、外に出るわよっ!!」

 

 

 火龍人に問われて、冷静になりきれていないリテラは自棄になって反抗する。

 

 

 「……甘いよ。甘すぎるよ…。リテラ…。

  どれだけ、甘い菓子を食べれば、それだけの甘い考えになるんだろう…?」

 

 

 「な、なんて言ったの…?い、今…、私をバカにしたわね…!」

 

 

 「事実を言っただけだよ…。それとも何?違うって言いたい?それなら、言ってみたら?でも、言い返せない…。なぜなら、リテラは先の事が全然頭に入っていない…。それが理解できていたら、怒りのまま、乗り込もうなんてしないよ…!」

 

 

 火龍人の怒りと心配とが入り混じる強い眼差しと言葉にリテラは言い返せなくなった。黙りこくったリテラを心配そうに見つめるるーじゅちゃんとし~ちゃん。同じく黙って火龍人とリテラを見守るホームズ…。

 

 リテラは少しずつ落ち着き始める。

 

 そして、火龍人は閉ざしていた口を開く…。

 

 

 「もし、リテラが乗り込んで、カバルレを倒したとしても、この観客達が何もせずにリテラを見逃すなんて御人好しな連中ではないのは、このオークションを見て、分かったはすだよ…?

  相手がリテラだけだと知れば、当然彼らはリテラを血祭りにあげようとする…。大事な取引が邪魔されるだけでなく、今後の商売に多大な悪影響を与えられるから…!

  商売が滞ったら、その責任をカバルレを倒したリテラに全て向けられる…!そうなれば、外に出ても、命を狙われ続ける。

  そうなれば、リテラは望んでいない戦場へと叩き落される事になるんだよ…!

 

  リテラだけじゃない…。リテラを慕い、共に戦おうとしている革命軍のみんなだって、その戦いに巻き込む事になる…。革命軍のみんなは戦いを覚悟しているから、『時期が早まってだけだ!』『リテラと共に戦うって言っただろ!?』って一緒に戦うかもしれないけど、私が見た限り…、殆どが一般人だよね?ここに集まっている連中の多くは残忍な方法で人を殺めたり、甚振ってきた奴らがほとんど…。

  戦いとなれば、圧倒的に不利な状況を強いられ、命を落とすよ…。

 

  リテラ…。優しいリテラなら、革命軍のみんなを守りたいって思っているリテラなら、自分から火に飛び込んで、仲間の命を縮める理由を作るなんてしないよね…?

  

  …わかっていたら、こんな真似、できないよね…?」

 

 

 火龍人の言葉でリテラは自分がカバルレに戦いを挑んだ際の起きていたであろう未来を知り、絶句した。そして、後悔と違う怒りがリテラの心をかき乱す…。

 

 

 

 カバルレや観客達への怒りで我を忘れ、

自分が最も大事にしたがっていた物を自分の未熟な行動で危険にするところだった…。

 

 

 その事に、激しく後悔する…。

 

 

 そして、何よりも愚かだった自分に一番、怒りを覚える…。

 

 

 悔しくて、涙が止まらない…。

 

 

 唇を噛み、血が滲みだし、口の中に血の味がジワリとしてくる…。

 

 

 大事な人達の命を、ホームズ達に止めてもらわなかったら、今頃…。

 

 

 そう思うだけで、もう自分が嫌になる…。

 

 

 私はご先祖様の話を幼い頃に聞いた時から、いつかご先祖様が夢見ていた…、望んでいた国を天国から見せてやりたいと思って、今までその一心で生きてきた…。

 

 それが、こんな結果なんて…

 

 何が、”国を取り戻したい”よ!!

 

 

 守るべき人を守るどころか、危険に晒して…!!

 

 

 私の馬鹿………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 罪悪感に打ちひしがれそうになるリテラに優しく肩や頭、手に触れて、撫でる温かな感触を感じたリテラは俯いていた顔を上げる。

 そこには、ホームズ、るーじゅちゃん、し~ちゃん、火龍人が申し訳なさそうにしながら優しい微笑みをして見つめていた。

 

 

 「…ごめんね。リテラを追い詰めたくて、言ったわけじゃないんだ…。ただ、理解してもらいたかっただけ…。」

 

 

 「私達だって、あんなの目の前で魅せられて、怒っていない訳ないじゃないっ!!むしろ、真っ先に飛び出して、一発殴り飛ばしたいくらいだよ!!」

 

 

 「理性を抑える自信が減るくらいだね。」

 

 

 リテラに謝罪しながら、宥める4人。それから、ホームズは今もなお、行われているオークションに目を向け、リテラに話す。

 

 

 「怒りを全てぶつけられれば、おいら達もどんなに楽だろうと思うよ…。

 

  でも、おいら達は闇の世界で、その身で悲惨な経験をしてたりするし、闇に精通する者やギルドと戦ってきたから、苦しくも連中の考えが分かるんだよな…。

 

 戦いには犠牲が不可欠…なんて言葉があるけど、その通りなんだ。助けようとして、助けられなかった事もしょっちゅうある事なんだ。この世界では…。

 

 こういった世界では、無力や弱者は生きていけない…。

 

 常に、支配する者のご機嫌を伺い、行動する…。

 

 一人なら、それで生きていけるけど、仲間ができてくると、それを実行するには困難な場所さ。

 

 でも…おいら達は仲間がいてくれる喜びを知った。仲間の命を守れるように、強くなりたいって特訓して強くなっていった…。みんなと一緒にいつまでも笑っていたいから…!

 

 

 だから、リテラの今まで大事にしてきた…、受け継いできたその想いは間違っていないよ。」 

 

 

 リテラに思いを語るホームズはここではないどこか遠くに目を向いて話しているようだった。

 

 それはるーじゅちゃん達も同じで…。

 

 

 そして、ホームズは目を閉じ、しばらく深呼吸をしてから、真剣な表情でリテラに真っ直ぐ見据え、話し出す。

 

 

 「この闇オークションを見て、おいら達は心底、驚いた。

  

  今まで戦って、殲滅させてきた闇ギルドや隠れ闇ギルドたちが扱っていた商品や薬物がここでオークションに掛けられている物ばかりだったからだ…!

 

  つまり、ここは闇に巣食う者達の心臓部と言っても過言ではない!!

 

  ここを叩けば、確かに、一掃できるかもしれない!!叩くなら、オークションが終わった瞬間!!

 

  でも、それには相手の情報とこちらの戦力が圧倒的に足りない!!だから、それまでに急いで準備しないといけない!!

 

  その間、奴隷の仲間たちが傷つき、苦しむ場面に遭遇する…。

 

  それでも、耐えて、より奴隷達を救うために、動く事ができるか?」

 

 

 ホームズは敵の規模の大きさを知る限り話し、リテラに戦う覚悟が…、秦の覚悟があるか、問いかける。

 

 それを聞き、リテラはしばらく沈黙すると、流していた悔し涙を拭い、強い意志を持った表情でホームズと正面で向かい合う。

 

 

 「当たり前だわっ!! 

 

  私は偉大なるこの国の正統な国王であるご先祖様の血を引く者…!!

 

  リテラ・ピュアンよっ!!

 

  私は愛する民を守るため、立ち上がって、戦うの!!」

 

 

 リテラの決意を強く感じさせる言葉と伝わってくる気高きオーラにホームズは強く頷く。

 

 

 「…分かった!! では、連中の息の根を止め、一掃するとしますか!!」

 

 

 「「「そう来なくっちゃ!!」」」

 

 

 こうして、リテラとホームズ達の意志が固まって、更に高まり、敵の掃討準備が始まったのだ…。




経験の差ってやつか~。それにしても火龍人もほーちゃんもいつもと違ってかっこよかったんですけど!!

久しぶりに腕がなりすぎて、興奮したわ~~!!

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