魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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まずは敵の懐へ潜り込まないとな~。

まったく、リテラもよく頑張ったけど、それが裏目に出ている現状・・・。

ホームズ達はどうするかな~。


本部への道険し…!?

 

 

 

 

 支配者の顔を見て、驚いたホームズ達。

 

 

 

 それもそのはずで…

 

 

 「あいつ…、”カバルレ・サマダ”よ…!! 地上ではこの真上にサーカスなんて真似をしている団長よ! ホント、いつ見ても憎たらしいわ!!」

 

 

 物陰に隠れながら説明するリテラの目はどんどん細まっていき、爪を立てて、隠れ蓑になっている木箱の山の一つに傷がつく。

 

 

 リテラの説明を受け、更に驚いたホームズ達はパクパク口を動かす。

 

 

 「いやいや、確かに格好とかはよく似ているけど!」

 

 

 「そうそう、あれは別人だよね!?」

 

 

 「う~~~ん・・・。今までが変装だったとか?」

 

 

 「ううん、変装であそこまでにはならないよ…。でも、凄いね~、ボリボリ…。

  若返っている…。」

 

 

 ようやく話せるようになっても驚きが隠せないホームズ達がカバルレだと言われた支配者を改めて見ると、火龍人が言うように私達が見た団長はより断然若返っていたのだ!

 

 

 「もしかして、息子とか?」

 

 

 「う~~~ん、でも感じる魔法力の強さはカバルレ団長の魔法力と同じなんだよね~。」

 

 

 「だめだ~!!一杯色んな事が頭に入ってきて、追いつかない!!」

 

 

 るーじゅちゃんとし~ちゃんがのたまっていると、本部棟から人がまた大勢でてきた。そして、鎖でつながれた奴隷達を本部棟に入れるように指示したり、本部周辺の巡回や監視の強化を指示したりしだした。

 

 その人物たちもまた見覚えがありすぎる者達だった。

 

 

 「…炎獣遣いのドレーナに、水バルーンのウォンとターン双子…、他にも曲芸一座の看板パフォーマーたちだ…!」

 

 

 「どうやら、団長だけというよりはサーカス全体が悪に染まっているみたいだね。」

 

 

 「それに、あの若くなった団長さん、本物っぽいよ!?くすん、ウォン様が団長さんに「ボス」って言ってるし、平伏しているし~…!!」

 

 

 「し~ちゃん…、ウォンの事、好きだったんだ…。ボリボリ…。ポテチ、食べる?」

 

 

 「うん、ありがとう…。ボリボリ…。くすん…。」

 

 

 ROSE世界が広がり、楽しんでいる?ホームズ達にリテラは呆れてしまう。

 

 

 「あれは、幹部たちよ。カバルレの忠実な部下。特に、ドレーナ、ウォン・ターン双子は最高幹部としてカバルレの双璧を担っているのよ。」

 

 

 「…三人いるのに、”双璧”になるの?」

 

 

 火龍人が指摘した言葉の矢にリテラが突かれ、ホームズが慌てて口を塞ぐ。

 

 

 「双子は一心同体って事だよ!」

 

 

 るーじゅちゃんが火龍人にこそっと耳打ちし、火龍人は納得する。

 

 

 

 

 「幹部が出てきたって事は、そろそろ始まる時間ね。」

 

 

 気分を取り戻し、カバルレ達の様子を探るリテラが呟く。

 

 

 「何が始まるの?」

 

 

 「さぁ?内容は分からないんだけど、ああして、カバルレ達がここに現れる時は、本部で何か大きな事がある予兆みたいなものなのよ。一気に、木箱の荷物が減ったりするしね。…そういえば、その度にカバルレが若返っているように感じる…。」

 

 

 「…つまりこの後、カバルレ達にとって、大事なビッグイベントがあるって事だな…。よし!!乗り込むか!!」

 

 

 「「「うん!!!」」」

 

 

 「!!ちょっと待って!!動いてはだめ!!」

 

 

 ホームズの掛け声に返事するるーじゅちゃん、し~ちゃん、火龍人は早速、ある者を調達するためにこの場を離れようとした。しかし、それをリテラが血相を変えて止める。リテラの視線が固定されている方へホームズ達は振り向くと、炎獣使いのドレーナがこっちを凝視していた。

 

 

 「もしかしてばれたの…!?」

 

 

 「そんなはずはない。今も防音フィールドは張っているし、『光学迷彩』も発動し続けているから。な?火龍人?」

 

 

 「うん…、少しきつくなってきたけど、解除は一切していないよ…。」

 

 

 リテラが見つかったと思い、焦りが見れる。それをホームズが否定する。

 

 

 ホームズ達が嘘をついている風には見えない。

 

 リテラは頷いて信じてみる事にした。しかし…

 

 

 「でも…、こっちをかなり凝視しているわよ…。」

 

 

 「おいら達を見ている訳ではないと思うけどな~。よし、あれをしてみよう。みんな集まって!!」

 

 

 リテラの疑いを晴らそうとホームズがるーじゅちゃん達を呼び集め、何かを話し合った後、4人でなぜか組体操を始める。

 

 

 「何しているのよ~~!!」

 

 

 「いや、俺達の芸でも見れたら、反応するだろ?だから、無反応なら見てないって事で証明になる!!」

 

 

 「なるほど~!!…ってそんな場合ではないわ!!」

 

 

 リテラが突っ込みを入れるが、ホームズ達の組体操は止まらず、ドレーナの凝視も終わらない。

 

 ホームズは次の作戦に仕掛ける。

 

 

 

 

 

 ―――――それは、ゴギブリの真似~。

 

 

 

 

 

 ガサガサと動き出すホームズにるーじゅちゃんやリテラが悲鳴を上げる。そして逃げ回りながら、ドレーナの様子を見ると、なんとドレーナもものすごく嫌そうで怯えた表情をしていたのだ。それを火龍人が伝えると、ホームズはそのままドレーナに近づく。すると、若干呻き声を漏らして、数歩、後退りする。

 

 

 そこで、今度はホームズが玉乗りをはじめ、その上で、身体を丸めたるーじゅちゃん、し~ちゃん、火龍人を華麗にジャグリングし始めた。

 

 

 「人間ジャグリング!!?」

 

 

 三人をジャグリングしているホームズも凄いけど、てっぺんに来たら、るーじゅちゃん達が身体を広げてポーズしたり、一瞬の芸を見せたりしているから、リテラも突っ込む事を忘れ、魅入るくらい曲芸を見た。

 

 フィニッシュを迎え、これまた華麗に着地した四人に玉乗り用の玉が破裂し、白い紙吹雪が舞う。いや違う…。雪が舞った。

 

 

 曲芸が終わり、思わず拍手するリテラ。

 

 

 「四人とも、素晴らしかったよ!! 思わず見惚れちゃった!!」

 

 

 はしゃいで感想を言うリテラ。でもふと何かを忘れているように感じ、周りを見渡すと、今までリテラ達がいる場所を凝視していたドレーナが顔を横に逸らし、必死に笑いを堪えようとして、顔が真っ赤になっていた。

 

 

 その表情を見続けるリテラとホームズ達。

 

 

 「おい、ドレーナ。何をしている!? 中へ戻るぞ!!」

 

 

 若返ったカバルレ団長に呼ばれ、ドレーナは本部の中へと戻っていく。その際もこらえきれなかった笑いが口から零れ、身体は震えていた。

 

 

 カバルレや幹部たちが本部棟に姿を消したのを見送ったホームズ達はその場に立ち尽くす。

 

 

 

 

 

 「検証結果を報告…。」

 

 

 「ドレーナの反応からして、私達の曲芸が影響していたと分かったね~。」

 

 

 「でも、防音フィールドも『光学迷彩』も万全…。普通なら見えないし、聞こえない…。」

 

 

 「以上の状況と反応からして…、私たちの姿が見えていたって事だね…。」

 

 

 「そうか…。でも、おいら達の曲芸が通用したって事だな!!やったぜ!!wwww」

 

 

 

 「……………よくないわよ~~~~~~~!!」

 

 

 

 

 曲芸の成功に喜び笑っているホームズ達にリテラが絶叫し、ホームズの胸蔵を掴み、ぶんぶんと揺らす。

 

 

 「どうしてくれるのよ~~!!私達の動きがあいつらにばれてしまったじゃないの~~~~!!うわ~~~~ん!!」

 

 

 




隠密行動は難しいって事だね…。うんうん…。


 はい!!みんなにご報告!!


ROSEが魔法試合での500戦勝達成いたしました!!

おめでとう!!そしてよっしゃ~~~!!

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