魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

80 / 453
今日は七夕!!なので、それにちなんで、みんなに願い事を聞いて、それをネタにしてみました!!


番外編~星に願いを!!~

 

 

 

 

 寝苦しい暑さがここ数日続く帝都に、とある商人一行が夜遅くにかなり荷物を積んで山になった荷車を力いっぱいで押しながら、やってきた。その荷物の中には、聖遺物(レリック)と呼ばれる中でも貴重なものだった。そのレリックはたまたま目の前を通ったギルドの魔法師達の夢を繋げ、疑似体験させたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「みんな~~~!!おはよう!! 今日は涼しくなるって天気予報……が………

  みんな、どうしたの?」

 

 

 今日も元気に起きてきたミナホはホールに顔を出すと、ぎるどのみんながテーブルに頭を垂らしていたり、頭を抱えていたりとドンヨリ空気が漂っていた。

 

 

 「やっとシメシメとした湿気がなくなったのに、今度はみんなが発する湿気でギルド内が侵食されていく~…。」

 

 

 「お、おはよう…。ミナホ~。」

 

 

 「おはよう…! なんか飢えた人みたいになっているよ!御神っち!!しっかり!!」

 

 

 「いや~…今日はいつもと増して夢見が~わるくて~」

 

 

 「え?」

 

 

 「そうそう、何でかこことは違う世界で奔走させられる夢を見たよ。」

 

 

 「あんなお、恐ろしい所は見た事がない…!!」

 

 

 沈んでいたみんなの口から次々と語られる、みんなの”夢”がどういう訳が同じ世界でシンクロしていた。

 

 

 その世界というのは、魔法が一切使えず、高度な技術と経済で生活する世界で、みんなはその世界で学問を学ぶ者や上下関係が荒いギルドのメンバーとして働いていたみたい。

 

 その世界での体験が覚めた今でもはっきり覚えているほど、鮮明に記憶していた。その所為で、朝からみんなの気分が落ち込んでいたのだった。

 

 

 「まさか、みんなも同じ夢を見ていたなんて…!!」

 

 

 みんなの夢の話を聞くにつれて、呆気にとられていくミナホもまた、同じ夢を見て、寝汗を掻いて起きたのだった。

 

 

 「ミナホはよく平気だったね。」

 

 

 「いや、うちも平気って訳じゃ…。夢だし、こういう夢も見るんだな~って思って、明るくいようとしたっていうか…。」

 

 

 それでとうとう、みんなで合唱するかのように大きなため息を吐く。

 

 

 ドンヨリ空気はさらに増す。

 

 

 

 ミナホはこの流れを打開すべく、必死に脳みそをフル回転させる。そして、

 

 

 

 

 ピコ――――――ン!!!

 

 

 

 

 「そうだ!! みんな、”タナバタ”をやろう!!」

 

 

 「タナバタ?何だそれは?」

 

 

 「実は夢の世界で今日はその”タナバタ”って日らしくて、細長い色とりどりの紙に自分の願い事を書いて、ササの葉にくぐりつけると願いがかなうって言われているらしいんだよ!!

  折角だし、やってみない!?」

 

 

 ミナホがイベント実行委員長の魂に火をつけ、目をキラキラに演説する。

 

 

 それに押されたみんなもこの空気を払拭しようと動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし!ササの葉も紙もペンも揃ったね!!じゃ、みんな願い事を書いていって!!」

 

 

 帝都の出店通りに行って、買いに行ってきて、材料をゲットし、偶然にもササの葉が珍しく販売されていた。そのササの葉をホールの中央に飾り、みんなはササの葉に飾るため、”短冊”と言われる紙に願い事をかいていく。

 

 

 「みなっち!!書けたよ~~!!私の願い事!!」

 

 

 「なんて書いたの~!!?」

 

 

 真っ先に書き終わったくろちゃんが私に短冊を見せてくれて、願い事を見せてくれた。そこに書かれていたのは…

 

 

 『仕事する気がでますように』

 

 

 「・・・・・・・・・あの、くろちゃん、この願い事って?」

 

 

 「みなっち、聞いてよ!夢でね、私、仕事してたけど、私の特技を生かせられないし、上司?が厳しく当たってくるしでやめてさ~。その重荷があって、仕事やる気しないんだよね~。ああ、でも遊ぶ気はありありだけどねwww」

 

 

 くろちゃんは後頭部を手で掻きながら、冗談を言うかのように語る。その後、RDC、ホームズ、御神、ペンダゴン、tokoの順に願い事を見せに来た。

 

 

 『自分の行きたい企業(ギルド)に就職(メンバー加入)できますようにかな?』

 

 

 『マジメなのは、無事無事故で工事が完遂しますように。』

 

 

 『皆でもっとワイワイ楽しめますように。かな?(ーωー)』

 

 

 『歌が上手くなりますように』

 

 

 『穏やかに楽しく過ごしたい!』

 

 

 …と書かれていた。ま、理由を聞いてみると夢の世界での自分の境遇の影響を受けていた。tokoなんて、「このギルドでの願い事なら、面白楽しく元気に過ごす!」って泣けることを言ってくれたんだけど、夢の世界では「目立たずに行動する事をモットーにしていた」って話していた。

 

 ミナホは魔法が使えない世界で自分の姿を消すなんて、かなりの難度を要求されるのに、実践していたとはすごいなと感心したのだった。

 

 

 ちなみに流浪の旅魔法師だった新しく仲間に入ったワイズにも親睦も兼て、参加してもらって、書いてもらったら、

 

 

 『孤独でも安泰な生活ができる老後かな(@ーρー@)

  名前だけの中間管理職で社畜で終わりそうで…orz 』

 

 

 そして、どこからか情報が入ったのか、通信回線からマサユキから願い事が届く。

 

 

 『世界を征服したい』

 

 

 もう少し具体性はないかなって思って返信したら、帰ってきたメッセージには…

 

 

 『インフラを手中に収める』

 

 

 なんて書くもんだから、ミナホはなんて反応していいか分からなくなってきた。

 

 

 「みんな…、夢世界の影響を受けすぎだよ~。もっとこう…ど迫力な~…。

  ま、みんなの気持ちもわかるよ!?でも…」

 

 

 一人でみんなの書いてくれた短冊を手で広げて持ちながら、ブツブツ呟いていると、肩を突かれ、ミナホは振り向く。すると、にこにこと笑うさっちゃんが立っていた。

 

 

 「はい!!ミナホちゃん!!私の願い事だよ!!」

 

 

 「ありがとう…!!どれどれ…。」

 

 

 さっちゃんの願い事に我ながら期待を求め、見てみる。

 

 

 『宇宙旅行に行ってみたい(*^―^*)宇宙から地球を見てみたいです♪』

 

 

 さっちゃんの願い事に安堵と共に、癒されて、嬉しくて感動の涙を流し、さっちゃんに感謝を言う。

 

 

 「壮大で美しい願い事を頂きました!!ありがとう~~!!」

 

 

 「スケール大きすぎかなぁ?あと、猫の島とか…猫カフェとか猫に囲まれてみたい♡」

 

 

 「全然!!むしろ人間はさっちゃんみたいな夢を持つべきだよ!!」

 

 

 感動の涙が洪水のように流れて止まらないでいると、ちゃにゃんが仮装から帰ってくる。(仮装ギルドにお使いに行っていたのだ)そして、イベの事を話して願い事は何かと聞いてみると…

 

 

 「ROSEの皆でアスカ戦に勝ちに行きたい。のだにゃ。それが願い事だにゃ。」

 

 

 頬を赤らめ、照れながら語る願い事にそれを話してもらったミナホだけでなく、聞き耳を立てていたギルドみんなが一斉にちゃにゃんに抱きついて号泣する。

 

 

 「嬉しいお言葉頂きましたぁ!!ちゃにゃっち、大好きだ~~~~~!!!」

 

 

 「私もだ~~!!」

 

 

 「ちゃにゃん~~~!!どこにも行かないでくれ~~!!」

 

 

 「みんな~。うれしいにゃ。」

 

 

 ROSEの仲間の愛情を一身に受けるちゃにゃんのお蔭で盛り上がり、ホームズとくろちゃんがピシッと音がしたかと思うくらい勢いよく手を上げて願い事を大声で語る。

 

 

 「はい!!おいら、ホームズ!!願い事を付け足します!!

  おちゃらけは、ハァハァ

  ●REC(0_0) wwwww」

 

 

 カメラを取り出し、ちゃにゃんに固定して撮影を始める。そして、

 

 

 「ちゃにゃん隊長への覗きが…期待するなり~」

 

 

 もうはしゃいでいるホームズと一緒にくろちゃんも乗り込んできて、

 

 

 「おふざけモードなら、ヘムタイ王になりたいwww」

 

 

 と言い出したので、二人は目をキラッとして、NSTの出動号令を掛けようとした。しかし…

 

 

 

 ぼがああああああ~~~~~~ん、どどどおおお~~~~~~んんんん!!!

 

 

 

 ものすごい打撃音とともにホームズはギルドの屋根に穴を空け、空へと飛んでいき、星となった。

 

 

 「次はくろちゃんかにゃ?」

 

 

 眉間に皺を軽く作りながら、笑っているちゃにゃんの拳は強く握られており、煙が立ち上がっていた。

 

 その状況にくろちゃんは体全部を震えさせ、横に首を振り続ける。そして全く同じ、動きをギルドみんなが反射的にしていた。

 

くろちゃんがヘムタイ王になるのはまだまだ先のようだね…。

 

 

 身体が震えながらも、さっちゃんは屋根に空いた穴から空を見て、口を尖らせる。

 

 

 「いいな~。ホームズさん。

  私より先に宇宙旅行に行っちゃって、ずるい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、空まで飛ばされたホームズは宇宙にまで飛ばされ、星が密集する中をぐったりとして漂っていた。

 

 

 「あら?ねぇ、彦星様。あそこに人が流されてきますわ。」

 

 

 「本当だね。流れてくるね~。」

 

 

 ホームズは”タナバタ”で有名な織姫と彦星の年に一度の出会いの場に天の川に流されて居合わせたが、その決定的瞬間を気絶して見過ごした。

 

 

 そして、織姫と彦星は一年逢えなかった分の愛を育むように二人だけのピンクの世界を作り出し、入り浸っていたので、目の前を流れるホームズには全く興味を持ちませんでした。

 

 

 

 めでたし、めでたし。

 

 

 

 

 

 

 「ちょっと!!ここでめでたしにしないで~~~!!

  ちゃにゃんの覗きが~~!!          」

 

 

 

 涙を流し、何で宇宙にいるか、分からないままホームズは叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 追記

 

 

 

 その”タナバタ”の夜…。

 

 

 みんなの願い事を綴った短冊を潜りつけて飾られて、ギルドのホールの中央に置かれたササの葉が誰もいないホールで淡くもやさしい光を放ち、屋根の穴から入り込む風で葉が揺れ動く。

 

 その風に乗って、ササの葉から放たれた光がまた外に出て、空へと旅立っていった。

 

 

 ギルドみんなの願いを乗せて…。

 

 

 

 こうして、その夜、ギルドのみんなは自分達が願った願い事が叶った夢を見ていた。その寝顔にはみんな、微笑みがあった。

 ただ一人は除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 「ここはどこなんだ~~!! …一人で宇宙旅行ってこんなにさびしいんだな~~。うう…。」

 

 宇宙まで飛ばされたホームズはまだ宇宙空間を彷徨っていたのだった。

 

カエル泳ぎをしながら、天の川の流れに逆らい、地球へ帰ろうとするが、流れが激しい上に、流されてくる星々に激突され、身体中が腫れ上がり、頭や顔にはたんこぶが何個もできて、頭の瘤なんかはツインアイスクリームのようになっていた。

 

 そんなホームズの必死な泳ぎの近くでは、織姫と彦星のアツアツの愛の契りが行われていたのだった。

 

 

 

 ホントのめでたし、めでたし~~!! ジャン、ジャン!!




ほーちゃん、ごめんね。

ちゃにゃんの覗きはまた今度に…。期待させといてごめんね~!!

「ミナホちゃん?」


やべ!逃げろ~~!!シュたっ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。