あのネタを少し…。
地底人達の世界にやってきたと思い込んだ4人は地底人との交流を図ろうと地面に降り立ち、カメラをセットし、良かったら、一緒に記念撮影してもらうんだ!!と意気込んでいた。ただ、彼らの表情が何やらおかしい事に気づいた火龍人は一番に地底人との記念撮影をしようと前に乗り出すホームズとるーじゅちゃん、し~ちゃんの首根っこを掴み、停止する。
「ぐえっ!! く、苦しい…!!」
「外して…、首が絞まる…!!」
「離してくれ~…!!おいらは成し遂げるんだ~!!目の前の夢を逃す訳には…!!げほっ!!」
停止されてもなお、止まる気がしないホームズだけは更に絞める力を強め、動きを封じる。ようやくギプアップした3人を放した火龍人の足元には息を荒く呼吸するるーじゅちゃんとし~ちゃん、屍と化したホームズが転がっていた。
そんな状態を完全無視し、地底人達を物陰で観察する火龍人。少し時間が経ってから、るーじゅちゃんとし~ちゃんが火龍人の後ろから覗きこむ。
火龍人達が視線を向ける先には、いかにも重そうな木箱を行列を作って運んでいる地底人達の姿だった。見た目は地上人とまったく同じだが、木箱を運んでいる者達は服や顔には汚れが付いていて、一歩歩くたびに身体が震えている者もいた。そんな彼らの周りを監視する者もいた。その者達は、罵声を浴びせながら、鞭を振り回し、倒れた者に容赦なく叩き始めた。
「許さない…!ちょっと行ってくる…!!」
ポンッ。
「ちょっと待って!るーじゅちゃんは目立ってしまうよ。私が行く!」
ポンッ。
「二人とも目立つから…。いつの間にか忍者コスからウエディングワンピースに着替えているし…。私が行くから、二人はここで待機・・・ボリボリ…。」
ポンッ。
「いやいや、痛めつけに行くのに、ポテチを食べながら行く訳にはいかないからな、火龍人。ここはおいらが行ってくるよ!みんなは女の子だから力勝負になったら、不利になっってしまうぜ!大丈夫!!あいつらに男を見せてくるぜ!!」
「わぁ!復活早っ!!」
突進しようとするみんなは肩に手を置いて制止させながら、自分が行くと宣言する。そして、今まで火龍人の首絞めで屍と化していたホームズが復活し、早くも状況を理解しつつあった。
「ホームズ!!助かるよっ!!ボッコボコにしてきて!!」
逞しく乗り込もうとするホームズに声援を送るるーじゅちゃんとし~ちゃん。その声援を受け、ホームズは決め台詞を口にする。
「おうよ!!あいつらに鞭の使い方を教えてくるぜ!!あんな使い方じゃ、感じられねぇ~。刺激を感じる所に淡い痛みを与え、縛りつけるのが調教プレイだぜ…!!」
「「おいおいおいおいおいおいおい~~~~~!!止まれ~~~!!」」
「ふごおおぉぉぉ~~~!!」
鞭のしごきを見て、Sの血が騒いだホームズが自分の鞭を持ち出して、調教しようとする様を見て、るーじゅちゃんとし~ちゃんは声援から一転ホームズに向かって突っ込んで、取り押さえ、持ってきていた縄できつく縛り上げて動きを完璧に封じにかかる。
そして縛られているホームズは若干どこか喜んでいる表情が見れる。
「何をしているんだ!!? そこはだめだ!! ここを通して…、交わらせて…、違う!!やるからには徹底して…」
「やかましいっ!!何をやらせようとしているのよ!!バシッバシッ!!」
「こんな時にS魂出してるんじゃないよ!!バシッバシッ!!」
反省の色が見られないホームズにるーじゅちゃんとし~ちゃんが縄とホームズの鞭を使って、ホームズを叩く。
「みんな~、静まれ~~。一応防音フィールドはしているけど、姿は丸見えだよ~?飛行魔法を解除した時に、『光学迷彩』も解除したから。ボリボリ…。」
物陰に隠れる事も出来たから『光学迷彩』を解除していたため、音は漏れなくても、姿は曝け出していたのだ。そうなると、バレるのも時間の問題の訳で…。
「…………あなた達、ここで何をしているの?」
案の定、地底人の女性に見つかってしまい、警戒心を持って、睨まれる。
((しまった!!ばれた!!もうおしまいだ~~!!))
「こ、これは…、その…」
「わ、私達は……………」
地底人に話せて嬉しいが、この状況をうまく説明できずに言い訳を考えていると、こうなった原因のホームズが縛られたまま、答える。
「オイラタチハ、ゴギブリセイメイタイダ。ニンゲンタチノギャクシュウカライノチカラガラココニニゲテキタ。……ブリ!」
(((何、片言で訳わからん事言ってんだ~~~!!!)))
ホームズは縛られながらも体を左右に這って動きながら、ゴギブリのすばしっこい動きを表現する。
「………さすが、ホームズ。臨機応変な対応力だね。じゃ、私も…。ブリブリ…。」
傍観していた火龍人はホームズを褒めると、一緒にゴギブリダンスを始める。
(そんな臨機応変対応なんかいらないからっ!!)
(しかも何でゴギブリっ!! ) ←理由はあとがきにて
((それに…
何で語尾に”ブリ”!!!?))
もう心の中のツッコミで精神的に疲れたるーじゅちゃんとし~ちゃん。さすがにこんな『ゴギブリんなんです』作戦が通じる訳がないっ!!…と肩をガクッと落とし、涙を流して地底人の様子を見ると…。
「キャ~~~~~~~!!!!!ゴギブリ~~~!!しかもあんなに大きい!!何を食べたらあんなに大きくなるの~~~!!?
あっちに行って~~~!!」
「「…って!!信じるんか~~~~~~~い!!」」
どんだけ純粋なんだ!って突っ込みたいほど、受け入れている地底人にこの状況を収拾したいるーじゅちゃんとし~ちゃんは嘆いて、外で待機しているROSEのみんなに助けを求める。…求めたとしても、余計に騒ぎになりそうな気がするけど。
「ブリブリっ!!オイラタチモナカマニイレテ~、ブリっ!!」
友好を築こうとホームズが大丈夫、怖くないって感じで地底人に接触しようとするが、傍から観察しているるーじゅちゃんとし~ちゃんは同じ事を思った…。
((ゴギブリコスを着ているヘムタイが飛びかかってきたら、友好を築こうなんて思わないから…!!))
二人が思った事は正しく的中し、地底人の女性は恐怖で悲鳴を上げ、飛びかかってくるホームズを平手打ちで思い切り叩き、近くの建物の壁まで叩き飛ばす。
(ほら、言わんこっちゃない。 やっぱり地上人と地底人の女性はゴギブリが苦手なんだな~~)
(わかるわかる!! 年頃の女性にはあれは耐えられないよねっっ!!)
ホームズを叩き飛ばした地底人の女性に深く共感した二人はその女性に近づき、親睦を深める。女性は素手でゴギブリを撃退したと思い、激しく動揺していた。
壁に突き刺さり、頭隠して尻隠さずといった状態のホームズをつんつんと突く火龍人をよそに、地底人の女性と仲良くなる。どうやら、この女性は監視していた者達の仲間ではない感じだ。
そして、自分達が地上人だと説明すると、女性はかなり驚いて絶句したかと思うと、るーじゅちゃんの手を掴んで、必死に懇願する。
「あなた達、上から来たのね!?本当なのね!!?よかった~~!!あなた達はあいつらの仲間じゃない感じだし、助かったわ!!
ねぇ!!お願い!!私をここから出して!!」
「え?ここから出す?なんで?ここは地底人の発展都市でしょ?」
女性の言葉の意味が理解できず、首を傾げ、問い返するーじゅちゃん。女性は大声で悲鳴を上げたり、叫んだことをいまさらのように思い出し、辺りを見回す。その動きは誰かに聞かれてはまずいっていう風に。
「大丈夫。あなたが来てから、また『光学迷彩』を発動させたし、私達の会話も聞かれないよ。」
近くで会話を聞いていたし~ちゃんが女性を安心させる。し~ちゃんの言葉に安堵した女性は緊張感を持って、理由を告げる。女性の口から発せられた内容はるーじゅちゃん達に衝撃を与える。
「ここは地底人の都市なんかじゃないわ…!
ここはサーカス団の奴隷収容所兼研究実験所よ。私を含め、あそこで木箱を運ばされている人達はみんな、あのサーカスのショーを見に来て、ここに連れてこられた誘拐事件の被害者たちよ…!!」
「「「「何だって~~~~~~~!!!!」」」」
目ん玉が飛び出すほど、衝撃的事実に驚くるーじゅちゃん、し~ちゃん、火龍人、ホームズ。
(いつの間に復活したんだ…?ホームズ。)
あまりにも驚愕な事実に顎が外れかかる。しかし、彼らの目には洪水のような涙が溢れだす。そして唇を噛み締め、こう叫ぶ。
「「「「夢の地底人大発見が~~~~~!!!!」」」」
…そっちかよっ!!
ホームズ達はものすごい悔し顔で落ち込むのだった。
ゴギブリネタを使ったぜ!!
えっ、理由?
それは…
今、ROSEではゴギブリネタが流行中だからさ!!
しかも、今うちの家はゴギブリ退治の真っ最中!!
ゴギブリバスターに退治を要求しているからさ!
ホント、この季節やだね~。