魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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なんだかんだで潜入した一行は無事なのか。


忍びます!!

 

 

 

 

 何とかホームズの策?で曲芸一座の中に潜入できた偵察チームだったけど、潜入してから早2週間ほどは経過していた。しかし、陰謀に絡んでいるような証拠は一切見つけられずじまいだった。

 

 …というのも探そうにもショーの準備やセッティング等で時間を取られてしまい、抜け出して調べるなんてとてもじゃないけど、困難を強いられていた。

 まぁ、リハーサルや練習中の出演者の曲芸魔法にうっとりし、目を輝かせて、感激して興奮状態に陥ったため、棒立ちで動けなかったという事もしばしば……、本当にしばしばあったが。

 

 それでも、曲芸一座の最後のナイトショーが終われば、後片付けしたら、ある程度時間が持てるから、こっそりと抜け出してテント内を探していければいいけど、ショーが終わった後のステージが入ったテントには立ち入り禁止となり、入り口も徹底的にロックされ、至る所に警備員が配置される。更に定期的に巡回する警備員もいる。何とか魔法で誤魔化して入るとしても、魔法探査機が設置されているから、もし魔法発動すれば、すぐに警報が鳴って、気付かれてしまう。

 

 

 こんな環境の中で、ホームズ達はどう情報を集めるか、頭を抱えて、必死に考える。

 

 

 「はぁ~…。今日もハードだったぁ~~!!もう腕がバンバン…。魔法が使えないっていうのは少し辛いな~。」

 

 

 「この国では、魔法で生活が成り立っているからね。魔法を使わないっていう考えで自分達の身の回りを整えるように計らう団長さんの考えは悪くはないとは思うけどね。」

 

 

 「魔法を使う分だけ、相子を消費する事になるからね。いざって時に使えるように相子を把握する事も修行の内と思ったらいいよ。」

 

 

 「ボリボリ…。お腹すいた…。疲れた…。もう寝る…。また明日…。」

 

 

 「待って!!ここで寝たらだめだよ!! 今日こそ、何とか情報をゲットしないと!!」

 

 

 「……どうやって?この宿舎テントからは出られないぜ?」

 

 

 もう瞼が閉じかかっている火龍人を必死に揺さぶって起こし続けるるーじゅちゃんとし~ちゃんだけど、ホームズから最もな突っ込みをされ、固まる。

 

 

 「え~と…、他の団員に聞いてみる…とか?」

 

 

 「それは、無理だな~。それをしようとして失敗してるじゃん。」

 

 

 「まだ…いけないかな?ほら、何度も話しかけたら、懐いてくれるとかあるし!」

 

 

 「……懐いてもらうって、それは言いすぎなんじゃ?」

 

 

 「あ、つい…。でも、あれならそう言いたくなるっていうか?」

 

 

 「何にしろ、収穫の見込みはないな。」

 

 

 ホームズ達が何で悩んでいるのかというと、今いるこの宿舎テントは曲芸一座で働く下っ端団員全員が就寝する場所だ。

 最初は、ラッキーと思って、みんなで手分けして、話しかけてみたが、団員全員がまったく話に乗らなかったのだ。全くの無視でるーじゅちゃんとし~ちゃんは『この可愛い私を無視するなんて~!!』と憤りを露わにし、ホームズが宥めて終わってしまった。

 

 その後も何度も試してみたが、団員達の反応は全く変わらず、懸命に話しかけても、虚ろな目で空を見つめたり、ボーとしたりを続ける。

 

 まるで意識がないみたいな反応にさすがのホームズ達もお手上げだった。

 

 精神支配されているならと火龍人が試みたものの、まったく効果がなく、万事休すの現状。

 

 

 こんな時に、暁彰がいれば~っと4人は今ここにはいない暁彰の顔を思い浮かべ、神頼みするみたいに、手を組んで祈る。

 

 

 そして時間厳守された就寝時間がやってきて、今夜も打つ手なしでいくのかとるーじゅとし~ちゃんが布団の中に入ろうとする。ちなみに火龍人は既に眠りの領域に突入している。

 

 

 「おい…。起きろ!誰が寝ていいって言ったんだよ…!行くぞ!準備しろ!!」

 

 

 小声で3人に一喝するホームズは既に準備し、目を輝かせていた。どんな準備かというと、背中に小刀と風呂敷を背負い、腰にはお手軽アイテムが入ったサイドバッグ、そして…、忍者コスをフル装備していた。

 

 

 「ほら、おいらが合図したら、すぐにこのテントを出るぞ!ダミーの設置も忘れずに!!」

 

 

 そう告げると、布団の中にそのまま団子になる。3人も同じく忍者コスに着替えて、布団で山を作る。

 

 

 

 

 

 (いや、見た目が悪いって。気付かれますよ~~!!)

 

 

 

 すると、巡回する警備員が現れ、宿舎の中の様子を見渡す。そして、外に出ようとする警備員が背中を向けた時、ホームズが3人に合図し、自分達の姿を『幻影投影』で隠し、警備員についていく。そして、外に出た4人に気づく事無く、警備員は宿舎テントのセキュリティーロックをオンにする。その間、もう一人の警備員は入り口で待機。

 

 

 「…異常はないか?」

 

 

 「ああ、今日も疲れてぐ~すら、イビキ掻いて寝てるぜ…。」

 

 

 「しっかり確認したか?」

 

 

 「ああもちろん。あいつらののんきな寝顔を見てきたぜ。あれは傑作だったな。お前にも見せてやりたかった!ふははっはははは!」

 

 

 「あまりふざけるな!俺達の仕事はあいつらの監視だ。気付かれたらどうする?」

 

 

 「大丈夫っすよ。あいつら、情報なんて手に入らないって身に染みてきてるんだぜ?そろそろ、ここをやめるのも時間の問題だ。」

 

 

 「…それならあともう一押しだ。気を抜かずに最後まで見張っておかないとな。ほら、次の場所を見回って、報告するぞ。」

 

 

 「へいへい。ROSEの実力魔法師達が何でこんな場所に来たんだがね~。」

 

 

 「見ている限りは、純粋に曲芸魔法を身に付けたいって顔しているがな。」

 

 

 「早くアイツら、去ってくれないですかね~。」

 

 

 次の巡回場所まで歩きながら、話す彼らの内容にホームズ達はというと、

 

 

 (ば、ばれていた~~!!なんで~~!!)

 

 

 (しかも目的がばれているっぽいけど~~!!)

 

 

 (……私達が誰かばれるのは当たり前だと思うけど?私達裏では敵が多いし、顔バレしているからね。ボリボリ…。)

 

 

 ((それってもう潜入捜査じゃなくない~~~~!!?))

 

 

 警備員の後ろで『幻影投影』を発動し、後を尾行しているホームズ達は彼らの内容に驚き、小声で話し、彼らに拳を突きつける。(無論、当てずに空振りだが。)

 

 

 (それにしても、この忍者っぽい動きにこのコス…。かっこよくない?)

 

 

 目をキラキラにさせて、聞いてくるホームズに今はそれどころじゃないって顔で睨みつけるるーじゅちゃんとし~ちゃん。


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