魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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何が明かされるか…はお楽しみです。


闇を切り裂く者

 

 

 

 

 

 

 ギルドに緊急帰宅したみんなは誰にも聞かれないように、防音シールドを展開し、戸締りも厳重にチェックし、暁彰とショウリンは監視カメラや盗聴器、魔法妨害アイテム等がないかを『精霊の眼』で確認する。ショウリンは自分が役に立っている事に凄い喜びを感じながら、眼を拵えて注意深く見渡す。

 

 粘密に調べてみて、問題ない事を知ったROSEのみんなは早速持ち乗った情報をモニターにインプットしていく。

 そしてモニターに表示された情報を見ながら、話し合う。

 

 

 一番に乗り出したのはくろちゃんとちゃにゃんだった。

 

 

 二人は屋根裏部屋での情報をモニターに表示して、説明する。その内容には壁まで飛んでいきそうになるほどの威力を持った衝撃的な物だった。

 

 

 「私達がショウリンの家の屋根裏で隠し部屋を見つけてきた。そこには大量の未解決事件の詳細な記録や情報等が山のように積み上がっていたよ。」

 

 

 「しかも、その未解決事件はどれもこれも怪奇的な殺人事件や上級階級の魔法師による圧力で揉み消された隠ぺい事件まで、事細かく、調べてあった。もちろんここ最近噂になっている魔法師失踪?事件の情報もあったにゃ。」

 

 

 隠し部屋を撮ったビデオをモニターに表示し、積み重なっている書類をパラパラと廻って内容が見れるようにする。

 

 

 「…新聞やテレビで報じられている内容より細かい所までみっちりと調べているみたいだね。」

 

 

 「でも、それだと並大抵の調べでここまでの物を集めるなんてできないよね?」

 

 

 「そもそも何で未解決事件の情報を集める必要があるんだろう?確か、ショウリンのママって主婦だよね?」

 

 

 隠し部屋のビデオ映像を見て、疑問に思った事をホムラとhukaが次々と口にする。

 

 そして前にショウリンから聞かされた家族構成や仕事等を教えてもらった時、ママは専業主婦だって話していたのを覚えていたし~ちゃんは確認のため、ショウリンに聞いてみる。

 

 

 「う、うん…!!ママはいつも家で家事や買い物をして、僕に特訓してくれていたよ?」

 

 

 「だとすると、何でただの主婦がこの情報を集める必要があるのかって事になってくるよね?」

 

 

 「でも、この部屋を使っていた人がショウリンのママっていう確信は何?もしかしたら、パパだったかもしれないよ?」

 

 

 明らかにショウリンのママが隠し部屋を利用していたという話し合いに疑問を感じたミナホは説明するくろちゃんとちゃにゃんにぶつけてみた。

 

 すると、二人は顔を見合わせ、隠し部屋に残されていた日記を取り出す。

 

 

 「この日記、鍵がかかっていて、中は見てないけど、裏にショウリンへのメッセージがかかれていたんだ。」

 

 

 その日記をテーブルに置き、みんなが身を乗り出してみると、裏面に文章が書いてあった。

 

 

 ”愛するショウリンへこれを託すわ  ママより”

 

 

 それを見たショウリンは目を見開いて、慌てて胸元をこそこそ何かを探し出す。

 

 

 「これ!!ママの字だよ!!それに…ほら、この日記の鍵、僕…、ママからもらってたんだ!!」

 

 

 そういって、胸元から取り出したのは、ロングタイプの二丁拳銃を重なり合わせたシンボルのペンダントだった…。

 

 

 それを見て、暁彰が驚愕の表情をする。

 

 

 「それは…!!そうか、そういう事か…!!」

 

 

 一人で納得している暁彰に説明しろというみんなの視線が集まる。

 

 その視線を受けた暁彰は唾を呑みこみ、講義を始める。

 

 

 「みんなも隠れ闇ギルドの調査等をしている時に、聞いた事はあるはずだ。

  闇に潜み、悪事を徹底的に暴き、帝国やギルドにも話を通さずに自分達で処分する帝国から独立した諜報集団の事を。」

 

 

 「ああ…、それなら聞いた事あるよ。魔法師一人ずつ物凄い実力を持ち合わせていて、あっという間に暗殺してしまうっていう…。」

 

 

 「確か、闇世界では”SAMA(Secret Action Magic Agent)秘密実行魔法捜査官”って言われている奴だよね?」

 

 

 「ああ。SAMAは秘密裏に情報を掻き集め、処分対象だと判断すると、対象を抹殺する…。表世界で奴らを知る者からは救世主様だって言われていたりするらしいが。

  そんな奴らの正体は完全に秘匿扱いだ。身分や性別、本来の職業、得意魔法…それすらも完全に情報操作して街に溶け込んでいる奴らだ。その奴らのシンバルがまさにそれだ…。」

 

 

 暁彰が指を指した先はショウリンが持っていたペンダントだった。

 

 

 「そのペンダントはSAMAの諜報員の証みたいなもんだ。

  だから、そのペンダントのシンボルといい、くろちゃんとちゃにゃんが見つけてきた隠し部屋の状態といい…、間違いなく、ショウリンの母親はそのSAMAのメンバーだったに違いない。」

 

 

 暁彰の講義ですべて納得したみんなは帝国に蔓延る闇を切り裂く者達…、SAMAの存在を羨望と不安の入り混じった気持ちで受け止める。

 

 自分達とは同じ理念であるが、やり方がまったく真逆である彼らとこれからどう関わっていく事になるのか、考えさせられるものだった。

 

 




まさかのショウリンのママがいわゆるスパイだったとはね…!

でも、まだまだありますぜ!!

いずれ、ROSEとどうやって絡ませるか…?

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