魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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「よし!!おいらは運がいいぜ!!」

…あれは運がいいというよりも、な…フゴっ!

「おいらの勇姿をこの後、見せてやるぞ!!キラっ!!」←歯が光る

…分かった。その雄姿とやらを見せてやろう。たっぷりとね。
では、どうぞ!!


ツイている運?

 

 

 

 

 「お~~い!!みんな~~!!やったぜ!!ついにゲットした~~!!」

 

 

 ものすごい勢いで玄関のドアを開けて駆けこんで帰ってきたホームズは目をキラキラさせてステージに立ってマイクを握る。

 

 

 「どうしたんだ?そんなに目を輝かせて…。まさかとんでもない買い物したとかいうんじゃないのか?」

 

 

 「朝からそんな大声でマイクを通さないでほしいな~。」

 

 

 「そうだよね~。こっちは気分よく寝てたのに…。よほど命はいらないと見える…。くくくくく…!」

 

 

 「ちょ!!御神っち、落ち着いて…ね?寝起きなのはわかるけど、ほーちゃんの話聞こう?それから一発突進お見舞いしてからまた寝ればいいから。」

 

 

 「………なんか泣けてくるよ。おいらは凄い事してきたのに…!」

 

 

 ほろりと泣き顔を見せるホームズをみんなは宥めつつ、ホームズの話を聞く。ただし、さっきの言い分は謝らず。

 

 

 「みんな!!これを見てくれ!! なんと……!!あの今大人気の”カバルレ・サマダ大サーカス”の特別席鑑賞チケットを手に入れたんだ!!」

 

 

 てかてかと掲げられたホームズの手にはピカピカに光る金のチケットがあった。それを見たみんなは衝撃を受け、歓声を上げる。

 

 

 「うおおおお!!すげ~~!!ホームズ、どうしたんだよ、そのチケット!!それはなかなか手に入らないレアチケットだよ!!」

 

 

 興奮して鼻息をただ漏れするサガットが金のチケットをまじまじと凝視して聞く。

 

 

 「フフフ…。これはイベントクエスト限定購入アイテムルーレットで見事ゲットしたんだ。まさか当たるとは最初は全然思ってなかったんだ!!」

 

 

 イベント限定購入アイテムルーレットとはイベントクエストと連携してコラボされたもので、今開催されているイベントだけにしか使用できない魔法アイテムを金額を払う事でルーレットを回し、手に入れられるという企画だ。イベント限定アイテムをゲットすれば、かなりの好成績を援助してもらえるため、お金にゆとりのある人にはアイテムを確保するために大金を注ぎ込み、ランキングに反映している。しかし、一回回すにもそれなりの金額を使うため、時と場合と…、お金を考えなければいけない。

 

 そんな企画のルーレットだが、イベント限定アイテムだけが手に入る訳ではない。付属として抽選おみくじもしていて、一等から順々に豪華賞品がゲットできる。そして、一等はそう、ホームズが手に入れた”カバルレ・サマダ大サーカスのプレミア特別席鑑賞金のチケット”なのだ。一日一名しか当たらないもので、まさにプレミアだ。

 

 

 「いや~!!当たった時は嬉しかったな~!!なにせ、当たった瞬間、花火がぱぁ~って打ちあがって、紙ふぶきも舞って、みんなから拍手ももらってさ!!

  写真撮影も頼まれちゃって、テレビのインタビューもされちゃって~~!!もう~~!!有名人は大変だぜ!!」

 

 

 ポーズをとって照れて自慢するホームズにみんな沈黙し、耳打ちし合う。そして次の瞬間、ホームズの手に持っていたチケットが消えた。

 

 

 「あれ…?………ああああああ!!ない!!」

 

 

 「ホームズ、ありがとう!!これは私が頂いておく!!」

 

 

 そういったホムラの手には金のチケットが!!

 

 

 「ああ!!ずるい!!私も行きたい!!」

 

 

 「ホムホムだけで行かせるものか~~!!」

 

 

 ホムラがチケットを奪った事でみんなの我慢していた欲のスイッチがオンになり、チケットの取り合いになる。そしてこの取り合いが普通の拳での殴り合いの末でのゲットという訳ではなく、まぁ…、みんな、魔法師だから想像つくというか…。

 チケット争奪戦が魔法対戦となりギルド内で勃発した。

 

 

 「や、止めてくれ~~!! それとみんな聞いてくれ!!まだ肝心な事を…ぶへぇ!」

 

 

 慌てて乱戦勃発する戦いの中に飛び込むホームズは流れ魔法弾に直撃を受け、吹っ飛ばされ、壁に人型のアートを残す。打たれ強い身体でそれほどダメージはないが、何度も突っ込んでいく度にボロボロになっていくホームズは我を忘れているみんなを止めるのはもはや不可能かと途方に暮れかけたその時、1人だけみんなの争奪戦を端で観戦する火龍人を見つける。そして火龍人が得意とする魔法を思い出し、生気を復活させる。

 

 

 「火龍人!!ごめん!!力貸して!! 」

 

 

 「あれ?ホームズさん、何?」

 

 

 「あれをみんなにしてほしい!!今すぐ!!」

 

 

 「あれ…、ああ、うん。別にいいよ。ポテチ3袋分ね。」

 

 

 「う…。分かった。後で買ってくる。お願いします。」

 

 

 交渉成立した火龍人は食べていたポテチを平らげて、携帯型CADを操作する。そして発動したのは、『梓弓』。

 情動感情系の系統外魔法でみんなの昂った感情を鎮圧する。

 

 火龍人のお蔭で、みんなが記憶が途切れたみたいに落ち着いたところで、ステージでマイクを握ってホームズが語りかける。

 

 

 「みんな、最後まで話聞いてくれ。このチケットは一人だけ鑑賞する者ではないんだ。これは当選者が所属するギルド全員での鑑賞込の物なんだ!!だから、みんながサーカスを見に行ける!!

  分かったら、CADは仕舞って!!」

 

 

 いつの間に取り返したのか、ホームズの手には金のチケットが握られていた。そしてホームズの言いかけていた言葉を聞いて納得したみんなは笑い合って感動し、ホームズを称える。

 

 

 「なんだ~~!!それなら早く行ってくれればいいのに~。」

 

 

 「水臭いな~。」

 

 

 「………人の話を聞かずに、争奪戦仕掛けた人が良く言うな。」

 

 

 ばつが悪そうにホムラが乾き笑いをしたところで、るーじゅが恐る恐る手を挙手する。

 

 

 「どうしたの?るーじゅちゃん。顔が真っ青だけど。」

 

 

 代表でくろちゃんが尋ねてみると、るーじゅが更に唇を震えさせながら、みんなに言う。

 

 

 「あの~…、さっきの争奪戦でギルド内が…、大変な事になってますけど…。」

 

 

 るーじゅの話を聞いて、ギルド内を見渡すみんなは徐々にるーじゅと同じく顔を真っ青にする。

 魔法戦闘したため、テーブルは粉々、モニターも煙を上げている。しかも床は水浸し。壁や天井も焼け焦げや衝撃を受けてのヒビや破壊が見られ、早く元に戻さないと崩壊する危険があるほどの酷い有様だった。

 

 

 「これは……」

 

 

 「やばすだね…」

 

 

 「ハハハ………」

 

 

 この事態を見て、その張本人たちのみんなはもはや笑ってはいられなかった。

 

 

 「ねぇ…、ホームズ…。」

 

 

 「何…、かな?」

 

 

 「そのチケットって…、期限はいつ?」

 

 

 「今日のナイトステージ。当選したその日に使用しないといけないから…。」

 

 

 ホームズの衝撃的発言を聞いて、立ち尽くしていたみんなは一斉に片付け、掃除を開始する。

 

 

 「早くっ!!片付けるんだ!!」

 

 

 「せっかくのショーが台無しにっ!!」

 

 

 「それだけは絶対いや~~~!!」

 

 

 「なるべく再成出来るものはするから、持ってきてくれ!!」

 

 

 「うううぅぅ!!」

 

 

 こうして、大がかりな掃除をし、何とかナイトステージまでに間に合ったみんなは曲芸一座に着いた時、げっそりとした表情で並んで訪れ、他の観客を怖がらせたのだった。

 

 

 サーカスを見る事でその表情に元気を取り戻し、笑顔で楽しめるように祈っておこう。

 

 




獲物を目の前にした狼は理性がなくなると襲うのと一緒だね。

ホームズ「いやいや!!そんなのと例えてはだめだ!!そんなもんじゃ…ないから~~!!」

バタンっ!!

服も体もボロボロになったホームズはかなり巻き込まれた感を満載にして、倒れた。そして床にタイミングメッセージを残す。『ROSE』って…。

そして、私はそのダイイングメッセージを一部消し、書き直す。『LOSE』と。

 (ホームズが意識を手放した時、みんなは急いで掃除していましたとさ)

 ふむ?あ、ダイイングメッセージをタイミングメッセージにしちゃってる。…ま、ある意味間違ってないし、いっか!

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