魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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悩んでもいいんだ、泣いてもいいんだ。

それでもっと大きくなるから!!


時計台での約束

 

 

 

 

 

 くろちゃんが「仲間だからっ!!」と言って去った後、ちゃにゃんはずっと悩んでいた。でも、全然解決しなくて心が落ち着かずに夕食も食べれなかった。

 だから気晴らしに外に出て、気分転換する事にした。

 

 

 そして辿り着いたのが帝都の外れにある廃れた時計塔。くろちゃんとの秘密の場所。

 

 今でもここにきて夜の空気を吸って、星空を眺める。

 

 

 ROSEにまだいた時のくろちゃんと一緒に二人で登って色んな事を話した事を思い出しながらちゃにゃんは時計台の展望を目指して登る。

 

 

 展望に着き、星空と帝都の夜の街並みがよく見える窓まで向かう。しかしそこには既に先客がいた。

 

 

 「…くろちゃん?」

 

 

 「あれ? ちゃにゃん。どうしてここに…って考える事は一緒か。」

 

 

 振り向いてちゃにゃんを見つめるくろちゃんは苦笑交じりで疑問を撤回する。つまりくろちゃんもちゃにゃんと同じで何か悩みがあってここに来たのだ。

 

 

 「くろちゃんも悩み事?私は…。」

 

 

 なるべく笑顔を作って答えようとするが、いざとなると口が重くなる。

 

 

 「まぁ、まずは一緒にこの夜景見ない? この前と違って華やかさがあるんだ!」

 

 

 くろちゃんはちゃにゃんの表情から察して窓枠の端へと座り直し、ちゃにゃんに座るように促す。ちゃにゃんもそれに倣ってくろちゃんの隣に座る。

 

 

 しばらく夜景を見て心を和ましていた二人は沈黙が続いていた静けさを断ち切る。

 

 

 「「あのね!!」」

 

 

 二人同時に話を切り出す。完全にハモッた二人は可笑しくて笑った。

 

 

 そしてくろちゃんがさっき言おうとしていた事を言う。

 

 

 「あのね、前にもこんな事があったよね?

  ほら、私が初めてアスカと戦った時、惨敗したその夜、ギルドを飛び出した時の事、覚えてる?」

 

 

 「うん、はっきりと覚えてる。実はさっきこの事を言おうと思ってたんだ。本当に気が合うね。」

 

 

 「ははは。ギルドのみんなからは”シスター(姉妹)”って言われてたもんね!」

 

 

 「ずっと帝都に来るときに出会ってから一緒だからね。性格が似てくるのかな?」

 

 

 ROSEにいた時の事を思い出し、あれから1ヵ月経つのについ最近のように感じるちゃにゃん。

 

 

 「でね? その時もこの時計台に来て、ちゃにゃんに悩みを聞いてもらったよね。ちゃにゃんが一緒にいてくれて、悩みも聞いてくれて私、あの時嬉しかったし、胸がス~ってガス抜きで来たんだ。

  だから…。」

 

 

 ずっと夜景を見つめていたくろちゃんがちゃにゃんに顔を向け、目線をちゃにゃんに合わせる。

 

 

 「だから、今度は私の番。今度は私がちゃにゃんの悩みを聞く。あの時、『もしちゃにゃんが悩んでいる時は今度は私が悩みを聞いてあげるよ』って約束したから!!」

 

 

 「…ありがとうっ!!」

 

 

 あまりにも嬉しくてちゃにゃんは号泣する。そしてすっきりしたちゃにゃんは今まで溜めていた気持ちをくろちゃんに打ち明ける。

 

 

 「実は…、私…、迷っているんだ。これからどう生きていけばいいのか…。」

 

 

 ちゃにゃんのこの言葉は夜風に乗っていくように響いていった。

 

 





自分が分からなくなる時ってあるよね。

そんなときは誰かに相談した方がいいんだよっ!!ただし相談する相手は慎重にっ!!

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