魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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 大丈夫! ROSEが付いているから!!(私)


 そう言葉を掛けずにいられない真実。


ちゃにゃんの心の叫び

 

 

 

 

 

 今までの話で言うべき時が来たと一層覚悟を決め、マサユキはついにちゃにゃんと出会ってからずっと隠してきた真実を明かす。それはちゃにゃんにとっては残酷な真実だった。

 

 

 「ちゃにゃん、私はちゃにゃんの目の前で君の婚約者を殺した…!!」

 

 

 マサユキの告白はみんなが一切言わないと口を閉ざしていたため、静かな部屋の中でマサユキの告白がはっきりとこの場にいる全員の耳の中に入った。

 

 

 突然の衝撃的な告白に瞳孔が開き、口が開きっぱなしのくろちゃんがしばらくして声を震わせながら、マサユキに問う。ちゃにゃんは口を閉ざして、顔を俯かせたままマサユキの話の続きを待つ。表情から今の心境を捉えるのは無理だった。

 

 

 「ど、どういう事なの?マサユキ。 目の前で殺したって…。マサユキはそんな事する人じゃないじゃん!嘘に決まってるよっ!!」

 

 

 問いかける内にどんどん声を荒げたくろちゃんはマサユキの襟元を掴み、大きく揺さぶる。

 

 くろちゃんのされるがままに揺さぶられたマサユキは襟元に掴まれているくろちゃんの手に自分の手で包み、強い眼差しでくろちゃんを見つめ返した。

 

 

 「嘘じゃない…! あの時、私はまだ会って間もない君達の目の前でちゃにゃんの婚約者の首を斬って殺したっ!! くろちゃんも見ていたはずだっ!!私が殺した所をっ!!」

 

 

 「そんな殺人現場を見ていたら、このROSEに入っていないよっ!!何かと勘違いしてるんじゃないの!?」

 

 

 「いや、確かに君達の前で私は殺した…。くろちゃん、覚えているでしょ?私たちが初めて会ったあの時の事を…。

  鉄の鎧を身に着けた亡者と遭遇し、くろちゃんとちゃにゃんが連携して戦ったけど、止めが不十分で、私が斬って止めを刺した…。」

 

 

 「そうだけどあれは亡者だったんだよ!!人間じゃないっ!! あんな巨大な亡者と人間を見間違えるはずが……ない…じゃない………か……?」

 

 

 マサユキに抗議をしていたくろちゃんは反論しながらある事を考えた。それは今までの経験から結びついた結論だった。その結論はあまりにも残酷で、そして悲しい物だった。

 だから、口にするのも恐ろしかった。もしそれを口にすれば肯定されそうで否定したい気持ちに裏切られるから。このまま気絶したい気持ちで胸がいっぱいになる。

 いつの間にか涙が溢れだし、大粒の涙が頬を伝って落ちていく。

 マサユキの襟元を掴んでいた手が力を失くし、ずるずると落ちる。くろちゃんはあまりにも酷い運命を呪わずにはいられなかった。心の中で身が引き裂かれる思いに駆られ、泣かずにはいられなかった。終いには嗚咽を漏らし、拳を強く握りしめる。その拳からは強く握っているため、血が流れ出る。

 

 そんなくろちゃんと対照的に当の本人のちゃにゃんは俯いたままただ黙っていた。そして、ちゃにゃんの口からくろちゃんが言えなかった結論を言う。

 

 

 「……その私達を襲った亡者が私が探していた婚約者だったんですよね?」

 

 

 ちゃにゃんの口から真実が語られ、マサユキもゆっくりと頷く。ちゃにゃんは口にするのも憚れたはずなのに事実を受け止めるため、あえて自分で言った。そんなちゃにゃんの心情をくろちゃんは痛いほど理解した。だって今までずっとちゃにゃんと一緒に過ごしてきたから。ちゃにゃんはイベントクエストや魔法試合、依頼の仕事の合間を縫って、帝都中を探し回ってたし、婚約者の情報を聞きまわっていたのも一緒に手伝っていたくろちゃんは知っている。心から婚約者を愛していたちゃにゃんの事を考えると居た堪れなかった。

 

 

 「その事を知ったのは、帝都に向けて帝都への道を君達と暁彰とで、歩いていた時だった。くろちゃんとちゃにゃんが帝都に行く目的を教えてもらった時、ちゃにゃんは言ってたよね?『連絡が取れなくなった婚約者を探すため人帝都へ行く』って。

  それを聞いて理解したんだ。あの亡者が君の探していた婚約者だって事を。」

 

 

 「でも…!あれだけでは分からないよ!?」

 

 

 「いや、理解できたんだ。私たちはあの仕事を受ける前に、人を媒体とした化成体や亡者、モンスター等に変化させ狂暴化させているという確かな情報を掴んでいた。そして、最近の失踪者や行方不明者の数と帝国の各地で出現するようになったモンスターや化成体等の数を調べるとほぼ同じだった。魔法師によって退治されたモンスターを調べに行ったメンバーからも情報をもらって、失踪した魔法師の中の内の一人とまったく同じの小物を身に着けていたと分かった。更に、変化した際に人間の肉体も変化してしまう事で自我も消え、本物のモンスターになってしまう。元に戻す事は不可能だった。

 

 だから、あの時、君達を襲っていた鎧の亡者の息の根を止める事しか助ける事は出来なかった…。くろちゃんも、ちゃにゃんも、そして亡者にされた婚約者も…。」

 

 

 あの時の事を思い出し、マサユキは婚約者を救えられなかった自分を蔑んだ。

 

 

 そんな自虐するマサユキの肩に手を置き、暁彰はくろちゃん達…、特にちゃにゃんに向かって話す。

 

 

 「…マサユキだけじゃない。俺もちゃにゃんの婚約者を殺した一人だ。いや…、いきたえた婚約者の身体を跡形もなく『術式解散』で消し去った。

  俺にもその責任はある。」

 

 

 暁彰はそういうと、土下座をする。

 

 

 そんな二人にちゃにゃんは今まで俯いていた顔を上げ、二人を見る。顔には静かに泣いていたのだろう、涙を流していた跡と泣き腫らした瞼がくっきりと浮かんでいた。

 

 

 「…何となく、言われる前に分かってた。カバリンもそれっぽく私に言ってたし。

  多分、今まで寝ていたのは、マサユキから本当の事を聞くための覚悟を受け止める準備をしてたんだね…。」

 

 

 そういうと、唇を噛み締めて、大粒の涙で泣きじゃくる。

 

 

 「仕方のなかったこととはわかっているつもり…。でも、やっぱりあの人がもうこの世にいない…っていうのは! まだ私には耐えられない!!

  マサユキも暁彰も大好きっ!! でも、でもっ!!

  ぅうううぐぐぐぅうああああああああああ~~~~~~!!!!」

 

 

 真実を聞かされ、思いが複雑に交差するちゃにゃんは気持ちを整理する事が出来なくなり、心苦しい叫びを上げながら、泣き始める。

 そのちゃにゃんの叫びは聞く人にも伝わる悲痛の叫びだった。嗚咽を漏らし続けるちゃにゃんは泣き疲れて寝落ちするまで泣き続けた。

 

 

 そのちゃにゃんにくろちゃんはしっかりと抱きしめて一緒に泣いて寝落ちした。

 

 

 

 

 

 

 この日、ちゃにゃんに明かされた真実はちゃにゃんの心に深く突き刺し、その後しばらくして、ちゃにゃんは飛び出すようにして、ROSEを去っていった…。

 

 

 

 

 




ずっと言えなかった秘密…。


 ちゃにゃんの事を考えるともう泣かずにはいられないっ!!(号泣する私)←本気

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