魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ROSEのメンバーそれぞれが覚悟する…。この後、どんな展開になるかわかっているから…。

負けるな!!


覚悟の時

 

 

 

 

 開国祭が終わり、人々が遊び疲れ、道端でも酔って寝ている風景が帝都中で見られる中、ROSEギルド内だけは祭りの色には一切染まらず、昨夜の一件での重苦しい空気が立ち込めていた。

 

 

 あれから、くろちゃんとちゃにゃんを連れて帰ってきたマサユキ達をギルド内で待機していた他のメンバーが出迎えた時、くろちゃん達の曇った表情で何かあって、どこまで知られたのかを瞬時に察した。

 

 できれば知らさずに過ごしたかったが、それはもう無理だとROSEメンバーは悟る。

 

 とうとう話す時が来たのだと今まで言わなかった、言えなかった秘密を話す覚悟をメンバーはそれぞれ心に決めた。

 

 

 しかし、話は後にする事をみんなが一斉に賛成した。

 

 まずは、くろちゃんとちゃにゃんもゆっくり安静させ、身体を休ませようとみんなが動き出す。

 

 けががないか確認したり、疲労回復や栄養摂取を考えた特製ドリンクを渡したり、身体を揉み解してあげたり(この時、マサユキは身体に刻み込まれたヘムタイ魂に無意識に火をつけ、揉み解されるちゃにゃんを見て、鼻血を出しながら手を厭らしい動きをさせ近づいていく。そんな場を弁えないマサユキにギルドメンバー全員が鉄拳や蹴り、雷撃、襷等で動きを封じる事になった。)をした。

 

 

 そんな中、ちゃにゃんは涙を流しながら、床に倒れ、気絶した。

 

 

 慌ててみんなは駆け寄り、ちゃにゃんの様子を暁彰が診察する。

 

 

 「……熱があるな。 戦闘によるダメージでの発熱ではない。寧ろ…」

 

 

 診察しながらちゃにゃんの状態をみんなに報告する暁彰はだんだん険しい表情になっていった。

 

 

 「相当深くまで精神的にストレスを感じたため、発熱したようだ。このままだと、ちゃにゃんは立ち直れなくなるかもしれない。」

 

 

 「暁彰!! 何とかならないのっ!!」

 

 

 御神がひどく心配しながら暁彰に尋ねる。

 依然険しい表情のままの暁彰は額に汗を滲ませつつ、CADを操作する。

 

 

 「俺が持つ精神干渉系魔法でストレスとなっている物をある程度までは薄められると思うが、その後の事は正直分からない…。ちゃにゃん自身の問題だから。だから、ちゃにゃんが馬鹿な真似をしないようにしないと。

  まずはこの高熱を何とか体温を下げて行って、精神安定剤も注入しないと。」

 

 

 「わかった!!ちゃにゃんをベッドに連れて行くぞ!!

  部屋を喚起してから、ベッドに寝かせて、点滴を投与。後の処置で困ったことがあったら、暁彰に相談して!

  俺は解熱薬とリラックス効果のアロマを作るっ!!みなっち!手伝って!!」

 

 

 マサユキがみんなに指示した後、一斉にギルドみんながちゃにゃんの介護の準備に動き回る。

 

 

 それから1週間、ちゃにゃんは高熱を出しながら夢に呻き、苦しみ続け、目を覚まさなかった。それでも、ギルドのみんなは一生懸命に介抱して、

 

 

「ちゃにゃっち、負けないで!」

 

 

「大丈夫!俺たちが傍にいるから!」

 

 

「ちゃにゃんの好きな食べ物、いっぱい作っているからね!」

 

 

 等々のちゃにゃんを気遣う言葉が部屋に響き合う。そのROSEの仲間を大事に思う気持ちが伝わったのだろう。

 ついに、ちゃにゃんが目を覚ました。ちょうど、ちゃにゃんの額のタオルを交換しに来たサガットが目を覚ましたちゃにゃんを見て、急いで廊下へ行き、ちゃにゃんの意識が回復したことを大声でみんなに伝えた。その声を聞きつけ、ギルドにいたみんなが一斉にちゃにゃんの部屋に続々と集まり、「ちゃにゃん!大丈夫か!」と声を掛ける。しかし、みんな目を覚ましたちゃにゃんの顔を見たいがため、ドアの前で取っ組み合いとなり、ついには部屋に入ろうと割り込みに割り込んで、ドア淵でみんなの肉で埋まってしまい動けなくなるほどになってしまった。

 

 「く、苦しい…!! 」

 

 

 「ちょっと!!誰!?私を今押したのは!」

 

 

 「身が挟まれる~~!!」

 

 

 …なんて、挟まってなお喧嘩するみんな。その光景を呆れながらも嬉しさで見続けるちゃにゃんの耳にみんなで遮られている向こうから不穏な声が聞こえてきた。

 

 

 「いい加減にしろ…! 私は早く中に入らないといけないんだがな~!!強硬手段に出るぞ!」

 

 

 すると、みんなが豆鉄砲の如く、見事にちゃにゃんの左から右へと飛んでいき、顔を壁に埋めに突撃した。そのみんなの尻には焼け焦げた跡があり、煙を吹いている。

 そして破壊されたドアから炭と化したドアを踏みながら暁彰が入ってくる。肩にはなぜかバズーカを掛けて持っていた。

 

 

 「どうだ?ちゃにゃん。気分は悪いか?」

 

 

 そう問診しながら、熱や吐き気等がないか診察していく暁彰。

 

 身体的にはもう大丈夫だと判断し、よく頑張ったと暁彰はちゃにゃんを褒め、頭を撫でた。

 

 

 「ただし、熱は引いたが、まだ体調は万全ではないからな。しばらくは安静にしておくように。この部屋から出たらだめだ。食事等がみんなに行ってくれたらいい。

  じゃあな。」

 

 

 暁彰がそういうと、ちゃにゃんの部屋に押し掛けた他のメンバーはちゃにゃんの容態にほっと安心し、暁彰の後ろを追って、部屋を後にしようとした。

 

 

 「待って…。みんな、看病をしてくれてありがとう。私はこのギルドが…、ROSEが好きだよ。だから………、」

 

 

 みんなを引きとめ、深呼吸して、ちゃにゃんは覚悟をして、みんなに話す。

 

 

 「だから、みんなが言っていない事全て教えて!!」

 

 

 ちゃにゃんの覚悟を表情から読み取ったみんなはお互いの顔を見合わせてから、とうとう来たかと苦笑し、再び部屋に入り、各自座り込む。

 

 

 

 

 まず、みんなの代表としてマサユキが話す。

 

 

 「どんなことでも最後まで聞けると約束できる?」

 

 

 「うん…! 私はそれを受け止めないといけないと思うから…!」

 

 

 「私もちゃにゃんと一緒に聞くから!!」

 

 

 ベッドに面した壁に背もたれしているちゃにゃんの傍にくろちゃんは座り、ちゃにゃんの手を握るくろちゃん。

 

 

 ついに来たROSEが隠してきた秘密が明かされる事になる。

 

 




ROSEは全員仲間思いなのだ!! (本当なのだ!!)

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