魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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カバリンの独白はやばす。


仕組まれていた…

 

 

 

 

 

 

「おやおやあなた達も隠れて観察ですか? 私と同じですね~。」

 

 

 障壁魔法で囲まれ、逃げ場を絶たれてなお、断然余裕を見せるカバリンは気さくな笑顔で顎に手を置きながら、事態を楽しんでいた。

 

 

 「お前と一緒にしてほしくはない。 見守っていたと言ってくれ。」

 

 

 「暁~。それは求めなくていいと思うよ。ていうか、求めても意味ないと思う。」

 

 

 暁彰は少し苛立ちながら、くろちゃんとちゃにゃんの元へ行き、二人の傷を回復する。そして、横たわるシンバの遺体を診て、バッグから布を取り出し、シンバに寝かしつけるように掛けた。

 

 

 「それにしても、薄情というものですよ?お嬢様達がピンチでしたのに、助けずに見守る?なんて。よほど大切にしていないって事ですね~。」

 

 

 カバリンが三人にそういい返す。くろちゃん達へ動揺を与えるためだ。

 

 

 「大切にしてるからこそだよ。仲間としてそばで見守ってきて、二人が特訓し、強くなって成長していく姿をずっと近くで見てきた。だからこの程度なら倒せない訳がないと思った。信じていたからこそ、この戦いを託したんだ、君には分からない事だろうな~。バカリン?」

 

 

 真面目にカバリンに話すマサユキの言葉にくろちゃんとちゃにゃんは嬉しさが込み上げてくる。

 

 

 「…あなたは先程から失礼な方ですね~。私は”カバリン”と申します。お間違えないようにしてください。」

 

 

 

 「なるほど、バカリンさんですね。そう呼ばせてもらいますよ。名前通りに馬鹿な真似をしてくれますね。」

 

 

 無論わざと挑発しているマサユキは声や顔では笑っているが、目は笑っていない。蔑んだ瞳でカバリンを見つめる。

 カバリンも先程までの気さくな笑顔ではなくなり、笑っているピエロの片仮面と正反対の無表情でマサユキを見つめる。

 

 

 「…あなたみたいな生意気で、私に刃向う人は私の最も嫌いな人種ですよ~。そういう輩は斬り刻んでやりたくなるんですよっ! そうさせてくれませんかね?」

 

 

 「答えは聞かなくても分かってるでしょ?もちろん”NO”だ。逆に返り討ちにしてやるけど?」

 

 

 「口数が減らない餓鬼ですね~。」

 

 

 「そんな餓鬼にまんまと策に嵌ったのはあんただけどな~、バカリン?」

 

 

 「…………………」

 

 

 「まぁ、とにかくようやくあんたを拝む事が出来たし、あんたのショーもここまでだ!」

 

 

 そういうと、マサユキは暁彰からシンバの双剣を受け取り、カバリンの鼻先を斬るように剣を振り降ろし、目の前で剣先を止める。カバリンの紳士帽子の唾に剣で切れた跡が残り、前髪も一房さらりと落ちる。

 

 

「…へぇ~、私の事は随分と前から知っていたようですね、その口調だと。」

 

 

 「そうだよ。色々とROSEの周りを嗅ぎ回してくれていたからね。気付かないほど勘は鈍くないんだ。俺達は。」

 

 

 「そうですか…。それは残念です。何せ私は道化魔法師ですから。種を見破られてはショーが面白くなりません。ですが、全てバレているのなら仕方ありませんね~。」

 

 

 わざとらしくため息を吐き、くろちゃんとちゃにゃんに顔を向け、気さくな笑顔を作り、見つめる。ただしその眼には実験体を見るかのような眼差しだった。

 

 

 「お嬢様達には言っておかないとですね! 実はそこに倒れている不用品は…」

 

 

 「「「黙れっ!!」」」

 

 

 カバリンが何かを言おうとする言葉をマサユキ、ホムラ、暁彰が同時に制する。鬼の形相でカバリンを睨みつける。その三人の顔を見て、カバリンは含み笑いをし、制止を聞かず、くろちゃん達に爆弾発言をする。

 

 

 「そこの不用品は私の命令でお嬢様達に近づくように仕組んだマリオネットなんですよ~!!

  そして、あの時の人型戦車は私の殺戮兵器の最新型でした。その実験も兼てあの戦闘を作り出したんです!

  いいデータが取れて私は超ハッピーでした! 更に実験体も補充できましたし、嬉しい限りでした!! がハハハハハハハハ!!」

 

 

 カバリンの独白を聞いて目を大きく開け、あの時の…シンバと出会った時の事を思い出すくろちゃんとちゃにゃん。

 

 

 確かに、あの時はおかしいと思ったこともカバリンの独白ですべて納得した。

 

 なぜシンバしかあの場にいなかったのか?どうして救援要請ができなかったのか?なぜ戦闘場所が市街地だったのか?

 あの人型戦車の戦い方も今回の化け物と化したシンバの戦い方に酷似していた。

 

 

 「…じゃ、全て…仕組まれていた事だったの…? シンバと友達になったのも??」

 

 

 思考が追い付かない状態でくろちゃんが呟いた言葉を肯定するようにカバリンは頷く。

 

 

 「市街地の住人の姿が見えなかったのは、あんたが実験体として連れ去ったから?」

 

 

 冷静であろうとするちゃにゃんは聞かずにいられなかったあの時の疑問を恐る恐る問う。そうでないように祈りながら。

 しかし、ちゃにゃんの祈りはあっさりと途絶えた。

 

 

 「ええ、しっかりと今も実験達として活躍してくれてますよ?

  特に女子供はいいですね~。私の欲する悲鳴や言葉を言ってくれるんで、癒されますっ!!」

 

 

 興奮し、カッコよくポーズを決めるカバリンの言葉に耐えられず、くろちゃんは小銃型CADを取り出し、『フォノンメーザー』を発動する。いや、しようとしたが、それを暁彰の『術式解体』で起動式が霧散に散った。

 

 

 「……くろちゃん達の怒りは分かる…! 俺も同じだ…! だが、もう少し待ってくれ。こいつには聞かなければいけない事がある。」

 

 

 そう言って、くろちゃんを宥めた暁彰にくろちゃんとちゃにゃんを任せ、ホムラが雷撃魔法の起動式が組み込まれたロープをカバリンにきつく縛り上げる。

 

 

 

 

 

 そして、マサユキがカバリンに質問する。

 

 

 

 

 

 

 「お前の雇い主…、黒幕は誰だっ!!!」

 

 

 

 

 

 




ギルドの時とは違うマサヤンに感動!!

(順番間違えて投稿したため、再度投稿しています)

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