魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ピエロは気を付けるんだ!

と叫ばずにはいられない。昔からピエロが苦手な私からの助言だ!(ガタガタ)


道化魔法師のマリオネット

 

 

 

 

 異様な容姿をした紳士風のピエロが現れ、この場に似つかわしくない含み笑いをしながらくろちゃん達を見続ける。

 

 

 くろちゃんとちゃにゃんは目を息をしていないシンバに釘付けにして、突然現れた紳士風の男、カバリンに問う。

 

 

 「あんたが…、シンバを殺したの…?」

 

 

 「ええ。そうですが、何かお困りでも?

  この者があなた達を襲ってましたので、助けてあげたのですが?」

 

 

 「助けた…?シンバはもう解放された後だった! どうして殺したの!!?」

 

 

 ちゃにゃんが涙を流し、怒りを混ぜた表情でカバリンを見つめる。その表情を見て、カバリンは興奮し、高笑いをする。

 

 

 「いいっ!! その顔、すごくいいです!! それを見たかったんですよっ!!

  はい、すみませんね~。嘘をつきました。謝るとしましょう。」

 

 

 そういうと笑いながら、丁寧にお辞儀をする。しかし、その顔は気さくな笑顔をしており、謝罪感がゼロだ。

 

 

 「いい加減な事を言うなっ! どういうつもりでシンバに、手をくだしたのっ!!!?」

 

 

 カバリンの態度に腹が立ち、くろちゃんがずっとシンバに釘付けにしていた視線をカバリンに向け、思い切り怒りを込めて睨む。

 

 くろちゃんの表情もまたカバリンには褒美のように興奮し、気さくな笑顔のまま話すが、顔半分のピエロの仮面がその気さくな笑顔をを嘲笑っているかのように見せる。

 

 

 「いや~、何簡単な事ですよ。使い物にならなくなったので、処分したのです。

  不用品をいつまでも持っているのは気持ちが悪いですしね~。

  お嬢様たちも嫌でしょ?」

 

 

 カバリンの告白にくろちゃん達は言葉を失う。

 シンバを道具として思っているカバリンに怒りが今までないくらいにまでこみあげてくる。

 

 

 

 「シンバは道具じゃないっ!! あんたみたいなやつのおもちゃでもないっ!!」

 

 

 「その償いを今、ここで払わせてあげるわよっ!!」

 

 

 二人はCADに手を翳し、いつでも戦闘に入れるだけの準備をする。臨戦態勢を取るくろちゃんとちゃにゃんを見て、カバリンは面白くないのと腑に落ちない気持ちを覚え、ため息を盛大にした。

 

 

 「困りますよ~。 私は戦いなどこれっぽっちもする気はありませんよ?

  私はね~、ちゃんと私のマリオネットが仕事をするか、観察と分析に来ただけですからね。あなた達みたいに準備とかしてませんから~。」

 

 

 と、弁解するカバリンはなぜか玉やスティックをジャグリングしながら会話し、ショーを見せるピエロを披露する。

 

 不可解な言動にくろちゃん達はカバリンが何をしたいのか理解できずにいた。

 

 訝しく思うくろちゃん達の顔を見て、カバリンが首を傾げる。

 

 

 「おやおや、どうしました?もしや、これは気に入りませんでしたか?

  それは困りましたね~。

  私の十八番なのに~。」

 

 

がっかりするカバリンだったが、すぐに気さくな笑顔に戻り、今度は玉乗りしながら話し出す。ただし、今度の話の内容は衝撃的なものだった。

 

 

 「やはり、シンバの最終形態みたいなマリオネットとのお遊びの方がよかったんですかね~。彼に『オーバーマリオネット』を組み込んでみたのですが、あれは今までのマリオネット実験体の中では最高作品でした!

  これまでの実験体はどうしてもすぐに壊れてしまいましたからね~。彼は異常に優秀でした!

 ガハハハハハハハハハハ八!!!!!」

 

 

 「実験体…。 お前はシンバ以外にもあんな姿にしてもてあそんでいたのっ!!」

 

 

 「下衆が…!」

 

 

 「おやおや、それは私にとっては褒め言葉ですよ。私はね、道化魔法師であると同時に研究者でもありますからね~。

  研究熱心に取り組んで完成した作品をお披露目したいと最高のショーをお見せした次第ですっ!!」

 

 

 「なぜこんな事を…!」

 

 

 「なぜって? 私は裕福にしている者達を地獄に落とすのが好きでしてね~。彼らが泣いて喚いて命乞いをしながら切り刻まれて血を吹き出し、息絶える瞬間が好きで好きで好きで好きで~~~~!!

  こういったショーを私は披露して、どんどん広めていきたいのですっ!!」

 

 

 カバリンの悪気がない笑顔での独白はくろちゃん達の背中に冷や汗を走らせる程の脅威を感じらせた。それと同時にこのピエロ紳士がシンバを操っていた事に実感が沸いてきた。

 豹変したシンバの性格がこのピエロ紳士の本性とまったく同じだっ!!

 

 

 「では、お嬢様達とのお話、楽しかったですよ~! 私はここで退場させていただきます。次なる実験もありますので、これにて。」

 

 

 マント代わりの白衣を翻し、この場を去ろうとするカバリンにくろちゃんは「待てっ!!」と叫ぶが、歩みを止めないカバリンを取り逃がす。

 

 しかし、颯爽と去るカバリンが急に動きを止めた。

 

 

 「これはこれは…。まったく精巧に作られたものですね~。」

 

 

 カバリンは目の前に壁があるかのようにノックする。

 

 実際にそこには壁があった。正確にはカバリンを囲むように球体の障壁魔法の改良版が展開していた。

 

 カバリンは捕獲されたのだ。

 

 

 「悪いけど、あんたをただで逃がすつもりはないよ?下衆野郎がっ!」

 

 

 「やっと正体を現してくれたんだから、待った甲斐があったんじゃない?」

 

 

 「じゃ、そういう事だから詳しく聞かせてもらおうか?バカリン?」

 

 

 そういって、くろちゃん達の前に現れたのは、頼もしい仲間達、暁彰、ホムラ、マサユキだった。

 

 




カバリンの野望が徐々に明るみになる…!
 
 やっぱりピエロは怖い!!

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