「わぁ~、終わった、終わった~!!」
「この解放感はたまらねぇ~ぜ!!」
「もうエリカちゃん…。」
今日は二年生になって初めの定期試験の最終日で、ついに最後の実技試験が終わり、一週間という長いような短いような(学生にしては長く感じるほうが当たり前だと言われているが)期間に本日の最後のチャイムが学校中に流れる。それを合図に生徒達も一気に真剣な表情から安堵の表情や後悔の表情、喜びの表情など様々な面持ちで友人達と会話をし始めた。
もちろんその中にはエリカ達も同じく、定期試験が終わって早々、達也と美月がいるE組、魔工科の教室へとやってきて最初の一声が先程の言葉だったという訳だ。
「二人してそんなにはしゃがなくてもいいんじゃないかな?まだ結果だってわかんないんだし。」
「何言ってるのよ、ミキ。はしゃいでいるのはこの馬鹿だけよ。あたしはここまでテンション高くないんだから。」
「誰が馬鹿だ、このアマ…。」
「終わった瞬間、『よっしゃ~!上手くいったぜ、ここまでてきぱきテストが進んだことは無いぜ!!』って叫んだくせに。」
「誰だってそうだろ?」
「そうやって思い込んで、はしゃぐからバカって言うのよ。」
「二人ともやめてください。せっかく試験も終わりましたし。」
険悪ムードに突入しそうになったエリカとレオだったが、美月の仲裁のお蔭でそうならずに済んだ。一方で、幹比古は突っ込むタイミングを逃したため、何やら不満顔になっている。突っ込めなかったためにエリカの”ミキ”発言を肯定してしまったのではないかという思考が頭の中を占めているからだ。
まぁ、エリカにしては…、それは決定事項であり、今更否定されたからと言って直すつもりもないからスルーするだろうが。
レオとも美月の仲裁が間に入ったため、一気に気が抜けたのか、ケロッとした顔で背伸びする。その姿は野良猫が背伸びをしているようにも見える。ただ腕を上げて背伸びした事で、美月ほどの大きさではないがそれなりに整ったエリカの胸が制服のブレザーからはみ出し、ネクタイは谷間の中に沈み、白い制服のワンピースは身体のラインを強調するかのように演出していた。そんなエリカを見て慌てて幹比古とレオは視線を逸らす。
二人が自分の事を今どう思っているのか、考えていないエリカはそのまま二人を放置し、学内メールを見ていた達也へ声を掛けた。
「ねぇ、達也君。テストも終わったし、帰りにみんなでパァ~と何か食べない?軽く打ち上げって感じで。」
「別に構わないが、俺と深雪はこの後生徒会室でミーティングあるんだ。」
「げ、テスト終わってすぐに会議って生徒会は大変なんだな。」
「まぁ仕方ないよ。もうそろそろ今年の九校戦の種目とか発表が近いし、その前に今頃から選手の選定や九校戦出場への練習時間を算出したりとかいろいろ計画立てていかないといけないんだしね。他の学校も動き出しているだろうし。」
「ああ、例年通りの種目なら選手決めもその練習時間や必要資源等も去年の資料を参考にできる。中条先輩はその方が準備しやすいから喜んでいたがな。」
「先輩らしいですね、あ、それならやはり別の日にした方がいいんじゃないですか?」
「いや、ミーティングと言っても軽くこれからの生徒会の予定を話して確認するだけだ。すぐに終わるだろうから後で合流する。」
「わかったわ、達也君。じゃ、いつもの場所で待ってるから。絶対に来てよね~!」
エリカに手を振られながら見送られ、それに背中越しで軽く手を上げて了承した達也は、生徒会に向かう前に深雪のクラスへと向かう。
達也を見送ったエリカ達は、今日は部活も休みなので、別クラスの幹比古も連れて、すっかり馴染の店となった喫茶店『アイネブリーゼ』へと先に向かうのであった。
(その前にちょっとした出来事があったが、それはみんな合流してからのお楽しみ…。)
一方で、達也は迎えに行った時、深雪とほのか、雫にエリカ達がテスト終りの打ち上げ会をする事を話し、二つ返事で深雪達も参加する事になった。そのためかは定かではないが、生徒会へと向かう深雪、ほのか、雫の会話では「何を食べようかな?ねぇ、雫はケーキ何する?」「私はほのかと同じもので良いよ。」「二人とも気が早いわよ。楽しみは着いてからにしたら?」…などという女子トークが達也を挟んで繰り広げられるのであった。
達也様の制服を模したパーカーもゲット。大事に拝ませてもらおうかな。