魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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やっと遂にここまで来たな。


意固地と苛立ちの衝突

 

 

 

 

 

 

 達也の最初の講義(?)が終わり、エリカ達が『やっぱり達也に教えてもらって正解だった(ぜ/わね/です)…!!!』と心の声でシンクロさせていた。教師に教えてもらうより断然いいと思うくらいの納得感と根拠ある説明や事例でさっきまで分からなかった事が嘘のように今は理解している現状による影響だ。

 しかし、レオとエリカはそもそも二科生のため、指導教師自体がいないから『教師に教えてもらうより断然いい』と思うのは可笑しいかもしれない。それでもそう思うのは、エリカたち自身が教師に対してそんなに深い信頼関係を持つほど話したことは無いし、元々教師に対して不信感があったが、先程の問題の学校が取るかもしれない対応で更に好感は薄れていた。最も例外として、小野先生や安宿先生、廿楽先生のような分け隔てずに生徒に接してくれる性格の先生がいる。レオも小野先生を「遥ちゃん」と呼んでしまうほど。(この事に関して、エリカや美月達は苦笑したり呆れたりしている。…たまに機嫌が悪い時は軽蔑した視線を投げる事もある。)

 

 まぁ、そう言う訳で、達也の講義に果然勉強への取り組み姿勢が高まり、勢いに乗り出した。

 

 

 「じゃ、達也君!次はここを教えて。」

 

 

 「あ、俺も同じとこ、聞こうとしていたんだ。」

 

 

 「残念でした~。私が先に聞いたんだから待ってなさい。」

 

 

 「一緒に聞いていてもいいだろうが。達也だって同じ説明しなくても済むだろ!?」

 

 

 「あんたはもう教えてもらったんだから、次は私の番です~。」

 

 

 「二人とも、集中しろ。喧嘩するなら教えないぞ?」

 

 

 達也の不機嫌に装った声音で二人を停止すると、さすがにまずいと思った二人がいつもの絡みを止めて、勉強に取り組む。

 

 

 「…ばっかみたい。 そいつに教えてもらっても意味ないのに。」

 

 

 ………いや、乗り出そうとしたのだった。

 

 

 「…は?」

 

 

 エリカは今まさにメモを取ろうとして持っていたペンを静かに机に置き、先程暴言を呟いた少女へ鋭い視線を投げつける。達也は、やっと勉強が捗るかと思った矢先の出来事だったため、溜息がこぼれる。頭痛はしていないが、錯覚するくらい面倒事が増えたと思うのであった。

 対してエリカはなぜか臨戦態勢が整っていて、その少女へ苛立ちが垣間見える声音で再び問い掛ける。

 

 

 「それで何? 言いたい事があればはっきり言えば?」

 

 

 「そいつに教えてもらっても意味ないって言ったのよ。これで聞こえたでしょ、耳が悪いんじゃなかったら。」

 

 

 エリカの問いかけにそう答えたのは、横目でエリカを見る…訳ではなく達也を睨む平河千秋だった。さっきからずっと達也達の勉強会に憎らしげに睨んでいただけだったが、ついに嫌味を言いだしたのだ。もちろん千秋が睨んできている事はみんな知っていたし、もうお馴染みの言動だったので放置していたが、さすがにエリカの我慢も難しくなった。

 

 エリカは無言で立ち上がる。その雰囲気には怒気が身に纏っているかのようになっており、このままいけばまずい事になる事が容易に想像できる。それくらいいつもあまり人に興味を持たないエリカには珍しいくらい怒っている証拠だ。それなのに千秋も意固地になって喧嘩を受けようという志を見せる。この教室に居合わせている全員が

 

 

 (((((やめてくれ~~!!!)))))

 

 

 

 …と、とてつもない雰囲気でとても突っ込めない中、心の中で悲鳴を上げるのであった。

 

 

 




何で千秋は空気を読まないんだ!? エリカも落ち着いて?

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