魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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達也様~!! 勇姿をぜひ~!!


女豹の笑み

 

 

 

 

 

 

 

 

 軽くエキサイトしてしまった美月に落ち着くように進言しようかと思った達也は、食いを開く。しかし、言葉を紡ぐより先に早く、達也の後ろから声が飛んできた。

 

 

 「…美月、何エキサイトしちゃっているのよ?」

 

 

 「エ、エリカちゃん! わ、私…、あ、ごめんなさい!!」

 

 

 「あたしに謝られても、ね~。まぁ、元に戻ったみたいだしいいけど。あ、達也君遊びに来たわよ~!」

 

 

 「ああ、だがもうそろそろ次の授業が始まるぞ?」

 

 

 内心エリカが登場してくれたことに感謝しつつもそれを窺わせないポーカーフェイスで、エリカがいる廊下側の窓へ振り向く。エリカはというと、気配を殺して達也の背後から(廊下側の窓を開けて話しかけているが、今達也は隣の美月へ身体を向けているため、完全に死角になっている)声を掛けてみたが、驚いてもいなくて寧ろエリカが来ることが分かっていたような態度で変わらず話しかけてくるので、達也を驚かせる事には諦めているエリカだったが、やはり自分の得意分野である気配なく相手に忍び寄る事が出来ない達也の気を抜かない返しにちょっと拗ねるのであった。それでも若干構ってくれたからか、エリカの頬には少し赤らんでいた。

 

 それを瞬時に気を立て直すのはさすがだと言える。達也の問いに間を置かずに返事するのだから。

 

 

 「大丈夫、次は座学だから、移動もないしね。教室が隣同士だし、ギリギリで滑り込めば何ともないわよ。」

 

 

 「そう言うものか?」

 

 

 「そうよ、それにしても達也君、美月に何かした?」

 

 

 「なぜそんな事を聞いてくるんだ?美月には先ほどの授業について話していただけだ。」

 

 

 達也は視線で美月に同意を求める。それを美月は正確に受け取り、首を必要以上に縦に振って、エリカに応える。

 

 

 「達也さんの言うとおりだよ、エリカちゃん。達也さんは私に勉強教えてくれていただけで…、私が勝手に感動していただけだから…。」

 

 

 「ふ~~ん…、なるほど~。」

 

 

 間延びしたエリカの返事に、あっさりと納得したエリカの態度に首を傾げる美月だったが、深くからかわれなかった事に安堵したからか、それが勝って特に気にしなかった。だが、達也の方はエリカの瞬時に動いた視線に気になっていた。そんな達也が自分を見つめる視線に照れ臭さを感じ始めたエリカはなんとなく視線を逸らして、美月に話しかけた。

 

 

 「じゃあ、美月~! 今日の授業が終わったら、また来るから待ってなさいよ~。あ、達也君もね!」

 

 

 ついで感で達也にもそう言うと、満面の笑みを浮かべて自分の教室に戻っていった。その数秒後、次の授業の合図となるチャイムが鳴る。それと同時にE組に担任のスミス教師が入室してきたので、少し慌ただしかった教室も一気に勉学モードに切り替わった。

 

 

 スミスがまずは報告としてこの前一高で行った恒星炉実験についての魔法大学の教師達からのコメントや論評を生徒達に話している間、達也は先程のエリカの笑みを思い浮かべていた。

 

 

 (エリカのあの笑み…、まるで美味しそうな獲物を捉えたような女豹の笑みだったな。)

 

 

 エリカの猫っぽい雰囲気と笑みがマッチしていたので、表現もそれっぽくなったが、達也は放課後に何が起きると思う事で、今日の予定を若干修正する(もちろん脳内スケジュールで)のであった。

 

 

 




エリカは何をしようとしているのか~…。

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