魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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とうとうアイドルだけでなく、先生までなるとはな…!


教えてからの、快挙?

 

 

 

 

 

 満点を取ろうとか、優秀な成績を収めないといけないとか、そんな事を考えてはいない達也だが、手を抜くつもりもない。それは定期試験でもそうだし、日頃の授業でもそうだ。他の生徒の実技や回答等を聞いて、他人の考え方を知る事で、自分の研究に役立つ場合もあるためだ。手を抜くのは定期試験に真剣に取り組もうとしている生徒達にも悪いし、教師の採点基準でどこまでが採点可能か確かめる事もできる。(筆記試験ではほぼ満点の達也だが、あまりにも魔法に対する知識が飛びぬけているため、教師達の認識を超えてしまい、採点に困ってしまうのだ。現に、達也の点数がほぼ満点と述べているのも、教師達が世間一般で知れ渡った魔法常識で採点する訳だが、それが誤りだと達也が知っており、それを決定的証明や解析結果等を丁寧に添えて解答したとしても、世間に広く知れ渡っていない、まだ未知なるものであるが故、確認しようがなく、達也がまだ魔法師として未熟な魔法科生徒である事を理由にして、達也の解答自体を誤りだと判定するのだった。この採点の結果には、教師としてのプライドを折られた嫉妬や妬みがこもっている可能性もあるかもしれないが。)

 

 まぁ大人の事情というものがあったとしても、達也にとってはさほど気にするようなメンタルでもないし、いいデータが取れるメリットもあるので、満点に拘っていない。そんな心理状態で定期試験を迎えようとしていた達也の元に、隣から美月が申し訳なさそうに声を掛けてきた事から、流れは変わる。

 

 

 「あの…、達也さん、先程の授業での内容が分からなくて…。教えていただいてもいいですか?」

 

 

 「何処が分からないんだ、美月。」

 

 

 この時の達也は、友人の頼みを断れば、せっかく勇気を出して自分と友達として接してくれている美月に失礼だと考え、突然のお願いにも関わらず、教える事になった。今は、ちょうど午後から始まる一番初めの授業が終わったところだ。次の授業で終わりだが、始まるまでの休憩時間内で説明可能なため、分かりやすく覚えられるように自分の端末を立ち上げ、キーボードで何かを打ち込んでいきながら口では先ほどの授業で問題となる点や気を付けておく観点等を注意して、画面上で図を作りだし、解説するのだった。美月も真剣に達也の解説を聞き、さっきまで抱いていた問題の違和感や疑問が解消されていく。

 

 

 「そういう事だったのですね。私そんな穴があったなんて知りませんでした…。」

 

 

 「これは一般的には認知されていない事だからな。美月の場合、この魔法式の構築内容は出来ているし、手順もセオリー通りだ。だが、従来のやり方だと美月が抱いていた疑問の答えにはたどり着けないからな。少し違う観点から述べてみた。しかしこれはテストには出ないから安心してくれていい。」

 

 

 「いえ、そんな訳には!だってこれは凄い発見ですよ!誰もこれが正解だと疑わなかった魔法式がまさかこれで新たに生まれ変わるなんて思いませんでした!」

 

 

 「いや、これは美月が疑問に思わなかったら改名されなかったわけで、そもそもその疑問に行き着いただけで、御手柄だと思うぞ?美月。」

 

 

 無事に納得できた美月だったが、達也の違った観点からの解説のお蔭で理解もでき、何より誰も認知しなかった問題解決にも立ち会った事に感動もしていた。そのため、達也と話す中でも興奮が収まらず、軽くエキサイトしてしまうのであった。

 

 

 




達也のたった一度でも理解できるように従来と異なった方法でやってみたのはいいけど、これは教師達に認知されないだろうな~。

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