魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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いや~、最新刊もいいですな~、それにしても達也様がますます孤立に追い込まれて…、

状況や影響力がある人の発言に翻弄されるのは人の避けられない性だとは思うけど、それだけを見聞きしただけで、人を判別するのはどうかと思うのだよ、うちは。善人が悪人だったり、悪人が善人だったり…。やはり物事だけを見るのではなく、実際に自分の目と耳で感じ取ってから判別しないとこの世界は腐った人間だらけになるのだよ。ほら、九校戦が中止になったのが達也の所為だとほざく奴とかさ!!(怒)


邪な怪談(上)

 

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 

 『申し訳ありません、見失ってしまいました。』

 

 

 「見失っただと?どういう事だ?」

 

 

 『彼が乗った車を尾行していましたが…、突如姿が消えてしまいまして…』

 

 

 「そう簡単においそれと姿が消えるものか…!みっともない言い訳をするな…!!」

 

 

 『!!も、申し訳ありません!!』

 

 

 「……もういい。ご苦労だった、休め…。」

 

 

 『はい、ではこれにて…』

 

 

 通信が切れ、会話が終了した。しかし、連絡を受けた側である者はすぐ目の前に正面を向く形で座っていた人物に聞こえるように(むしろ聞かせるつもりでと言った方が正解だろう)、話しかけた。

 

 

 「そうだ、休め…、永遠にな。 …という訳で君には迷惑をかけるが、よろしく頼む。」

 

 

 「それは構わない。私も使えない駒は嫌いだからね! すぐに廃棄した方が利益になるもんさ!」

 

 

 話しかけられた方はそう言うと、すぐにどこかへと回線を繋げ、一言だけ告げると、あっさりと回線を切り、目の前の人物に心配いらないというような笑みを浮かべ、ソファーの背にもたれかかった。

 

 

 「いつも君には頭が上がらん。」

 

 

 「いやいや、そんなに恐縮してくださらなくてもいいんですよ?年は貴方の方が上ですし、こちらとしても大いに助かっていますから。」

 

 

 「…それなら話の続きといこうか。」

 

 

 一見頭を低くしていた男は、すぐに頭を上げ、同じようにソファーに背をもたれかけ、突然入った不愉快な電話の所為で中断を余儀なくされた話の続きを行う。

 

 

 「さてどこまで話したかな…。」

 

 

 「例の新人の事だ。」

 

 

 「ああ、そうそう。君の見立て通り、なかなか面白そうな奴だった。あれを手元に置くのはお前の利益にもなるだろう。」

 

 

 「貴方がそれほど絶賛するとは、相当使えそうですね~!! 表では意気揚々と褒めまくる貴方ですが、裏では使えないものはバッサリと斬り捨て、毒舌を吐き捨てると言うのに…!」

 

 

 「この業界で生きていくなら、それなりに演技力も必要さ。そのお蔭で今はこうして良い思いをしている。」

 

 

 「ハハハ~~!! それはそうだ! ますますこの手に欲しくなってきたぜ~!!」

 

 

 「…ただし、だ。」

 

 

 「は?」

 

 

 「ただし、使い方を間違えるな…、いや違うな…。今までの手段は止めろ。慎重に手に入れろ。これができなければ手に入るどころではなくなる。」

 

 

 男の忠告で、機嫌がよかった表情が固まり、すぐに眉を上げ、訝しげな表情へ変化する。

 

 

 「それはどういう事だ?今まで通り、弱みを見つけ出して脅せばいいだろう?それがなくても、でっち上げて罠にはめるなり、合成するなりして材料を突きつければいい話だろ?それをするなというのか?」

 

 

 「ああ…、これは私が抱いたものなんだが、あいつは確かに手に持っておけば皆が注目せざる得ない逸材だ。まるで隠された秘法のようにな。しかし、それの扱いを荒くすれば、たちまち使い物にならねぇ石ころになりかねない。いや、まだそれなら捨てるだけでいい。だがあれはただの石ころなんてレベルで収まるような可愛げのある石にはならないだろう。あれは慎重に見極め、機嫌を壊さないようにしないと、呪いの石になる…、そんな感じを受けた。 この表現していても、居心地が悪いと思うくらい、奴の冷たい視線は背中の筋まで震えてしまったほどだ。この私が、だ!」

 

 

 話でいる内にその時の事を思い出したのか、熱も入り、最後にはソファーに預けていた背を浮かせ、前のめりになって訴えてくるほどだ。いつもと違って尋常じゃない態度に、若干圧倒されるのであった。

 

 

 




まだ人物の名を明記していないけど、この後分かりますよ~。…」というより分かった人もいるかもしれないけど。

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