(さて、これだけでうちの現在の財布の中にはいくらかな?)(やけくそになっている)
響子は自分の調べている事が達也にも知られ、達也だから仕方ないかと納得する一方、もう少し子供らしくいてもいいのにという不満が込み上げていた。しかしそれも次の達也の一言であっさりと消えてしまう。
「あのMCが国防軍が追っている人物と繋がりがあるか、調べていたんですよね。それで結局クロだったんですか?」
「……私はあくまで君のマネージャーとしているのよ?どうして国防軍の任務をしないといけないのかしら?」
「先程ご自身で任務だと言ってましたよね?」
「…………」
「俺達は芸能界では”魔法師ではない普通のアイドルとそのマネージャー”としてあそこにいたんです。魔法は必要最低限で、どうしてもという時以外使わない事は決めていたはずです。俺がステージで踊っている間も魔法で演出する様なプランはなかったですし、そもそもそれをすれば俺達が魔法師だとバレます。あの時は、響子さんが魔法探知システムをハッキングして作動停止させ、嘘の記録を作っていたようですけど、魔法を使わないといけない場面ではありませんでした。
…なら他に何か別の、俺とは関係ない事に魔法を使わざる得なかったという事になります。」
達也が一旦言葉を切って、響子の反応を見る。響子は何も答えず、ただ黙って運転している。理解できていない訳ではなく、反論する気がないのだ。響子が話を聞いているのを確認し、達也は話を続ける。
「響子さんは”電子の魔女”と言われるほど、情報収集には天性の才能があります。それを使えば、何重にもセキュリティをかけられている暗号メールやファイルも相手に気づかれる事なく手にする事が出来る…。それをする必要があったという事は、調べなければいけない極秘情報があったという事になりますよね。しかも響子さん度々情報端末を操作しながら、MCの顔色を窺い見てましたし。」
「もう、わかったわよ。そうよ、私はあの中年男を調べていたわよ?それが何故国防軍に重要な事だって事になるのよ。”任務”っていうなら、貴方のトコから受けたものかもしれないじゃない?」
響子は『四葉から依頼された仕事なんだし、普通はそう思うでしょ?』という裏の問いかけが達也に向けられる。それを達也は苦笑し、首を振る。横にだが。
「響子さん、例え今回の事を叔母上から言われたからと言って、それを国防軍が受け入れ、協力することは無いです。逆はあっても。
俺とのことで、叔母上と国防軍は互いに干渉しない事を契約しているはずです。…共通の目的がない限り。」
「つまり…?」
「今回の響子さんの情報収集は、俺のアイドルの活動の中の計画に含まれているのではないですか? 叔母上と国防軍が手を組まないといけないくらい。」
達也の鋭い視線を受け、響子はもう隠す事は出来ないと悟り、その気持ちを吐き出すためにため息を吐くのだった。
正解は…、ピーーーー円でした!(あれ?掻き消された?)
まぁいいさ、もうじき諭吉二人、受け取りに行くもんね~!!(ATMという出会い系にて)