魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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物語の重要?分岐点だ~。


仲が良いので

 

 

 

 

 

 

 響子に送ってもらいながら、深雪が待つ(深雪は達也が出かけている事は知らないので、待っているとは違うかもしれないが。)自宅へ続く住宅地街の道へと近づいてきた時、達也はいきなり響子に問い掛けた。

 

 

 「このまま帰宅してもいいのですか?響子さん。」

 

 

 「あら、どうしたの?達也君。いきなりすぎない?」

 

 

 「いえ、ずっと響子さんが言わなかったので、人が少なくなってきましたし、ここら辺で聞いておこうかと。」

 

 

 「私が何か達也君に言わないといけない事があるって言いたいのかしら?」

 

 

 「違いますか?」

 

 

 有無も言わさない鋭い視線に、響子はまるで首筋にナイフを突きつけられているような感覚を受けた。実際には達也は横目で見ているだけで、手は乗車した時からずっと腕を組んでいる。危害を加えられそうにないのは見ればわかる。それでも達也が身動きせずとも人を消す事が出来る術を持っている事を知っている響子にとっては何の安心材料にもならない。恍けるのも無理だと判断した響子はせめてもの反抗心から拗ねた表情を見せながら、話し出す。

 

 

 「本当に君と話している時は私まで年齢が付け上がった感じがするわ。」

 

 

 「俺も一緒にしないでくださいますか、俺はまだ十七になったばかりです。」

 

 

 「君は全然高校生に見えないわよ、言っとくけど今日だって観客席から『RYUってきっと二十代後半よね!だってあんなに大人の色気を出してるもの!!(きゃっ♥)』…って聞こえていたわよ?私以外からも同じこと思っているんだから、そこ辺りはもっと自覚してよね。」

 

 

 「……………年齢よりも経験からきている物だと思いますが。」

 

 

 響子からちょっとした事実を聞かされ、今度は達也が少しショックを受ける。やはり年齢よりもかなり大人的言動をする達也だからどうしても老けて見られる事が多く、達也自身その事にはちょっとした人間らしい悩みとして持てる数少ない気持ちを露わにできる中の一つである。かなりの間を空けるくらいショックを受け、何とか絞り出したような反論をした達也に、響子は心の中でちょっとした仕返しができたと喜んだ。

 

 前置きはこれくらいにして、と言わんばかりに響子が本題に入る。

 

 

 「で、私にききたい事って言うのは何かしら?」

 

 

 「俺がステージで…踊っていた時、響子さん…。何を調べていたんですか?あそこで実力を発揮しないといけない事はありませんでしたよね?」

 

 

 「あら、気づいてたの?」

 

 

 「ステージは良く周りが見えますから。響子さんが情報端末を使ってある人物を調べている事は視えました。」

 

 

 「…まぁいいわ。その通り、ちょっとこっちの仕事で極秘諜報任務が入っていて、そのターゲットと接触しそうな人物がいたから、探っていただけよ。」

 

 

 「それは、あのMCのことですよね。」

 

 

 「!!……達也君、君可愛くないわよ?」

 

 

 「よく言われています。」

 

 

 図星を突かれた響子は、居心地の悪い尋問を受けているような印象を受ける中、達也を乗せたまま車を運転するのであった。

 

 

 




可愛くない一面もあるけど、老けてみられてショックを受ける達也も可愛いと思うよ、うちは!!

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