魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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もっと文章力があればと最近思う。

この先はドロドロになるかも…?


涙の裏切り

 

 

 

 祭りの前日だけに、前夜会が帝都の各地で催され、盛り上がっていた。ROSEでもギルド内でプチパーティーが開かれてみんなで豪華な食事をしていた。もちろん、シンバも一緒に。

 

 ランクDになったシンバはアスカを追放され、最近は野宿していたらしい。

 

 くろちゃんとちゃにゃんはあんなに努力して強くなったシンバがあんな順位を取って追放されたのか考えても分からなかったが、とりあえず見つかってよかったし、この場で理由を聞くなんて空気の読めない事をする気がなかったため、落ち着いてたら話を聞こうと目線で確認し、二人はパーティーに没頭した。

 

 ギルドの皆もシンバの訪問には歓迎しており、一緒に踊ったり、歌ったりと盛り上がっていた。

 

 …途中からいつものように入浴の時間になり、NSTとの攻防戦を繰り広げたが。

 

 結果はもちろん、NSTの惨敗。ちなみに今回、くろちゃんは入浴チームに加わっていて、誰でも帰るお手頃ビリビリマット、ビリビリ床や粘々シートを各地に配置し、撃退した。

 

 

 (くろちゃんがこっち側に回るとか、新鮮だわ~!!)

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 夜も明けて、とうとう帝国の開国祭がついに始まった。

 

 

 ギルドのみんなは後で合流する事になり、先にくろちゃんとちゃにゃんとシンバが中心街に行き、遊びに出かけた。

 

 食べ物や飲み物の出店が長蛇の列の如く、左右に並んでおり、人の行き交い、活気溢れる風景は見ているだけでも、楽しさが心の奥底から湧いてくる。

 

 さっそく、目当ての食べ物を見つけ、三人は食べ歩きながら、満喫する。

 噴水広場では帝国中を旅する芸人が踊りや芸を披露して観客を魅了していた。中でも周りの風を自分の思うがままのように操り、花びらを体に纏わせながら可憐な舞を踊る踊り子の見世物はその後の芸が披露されても、鮮明に記憶し、感動が残るほどの圧巻なものだった。

 

 

 「はぁ~~。 あの踊り子の演舞はよかったな~。」

 

 

 「そうだよね~。 花の妖精かと思ったもの!」

 

 

 「確かに素敵でしたね~。 惚れ惚れするくらい…。」

 

 

 芸の披露が終わり、再び帝都中を歩きだした三人は先ほどの演舞の感想を言い合っていた。シンバの感想にくろちゃんとちゃにゃんは目を輝かせて、シンバをからかい始めた。

 

 

 「なになに? 『惚れ惚れするくらい』? もしかしてあの踊り子さんに一目惚れした?」

 

 

 「なっ!! 違っ!! そんなんじゃ!」

 

 

 「恥ずかしからなくてもいいよ…。気持ちは分かるよ。あんな色白で体型も左右対称の上、陶器のような脚線。花の妖精って言ったけど、あれはもう女神だね! 天から愛されてきた女神って感じだもんね!

  踊り子さんの舞を見ていた男共はみんな失神してたからね~。」

 

 

 「ぼ、ぼくはそんな疾しい事なんて!」

 

 

 「えっ。 私たちは疾しい事なんてこれっぽっちも言ってないけど?ただの事実を話しているだけ。

  もしかして…、シンバはどんな妄想していたのかな~?」

 

 

 シンバはこの事態をどうすべきが悩み、焦りだした。親友とはいえ、少女であるくろちゃん達の自分に対する印象を下心ありまくりのガキだと思われるのだけは阻止しようと弁解するが、すればするほどあらぬ方向へ進んで行っているようで、このループ状態から一刻も早く逃げたかった。

 結局、からかい満足したくろちゃんが出店のチーズケーキに目が止まり、出店の方に走っていった事でシンバは解放された。

 

 

 こうして一日中、祭りを楽しんだ三人はずっと歩き続けていたため、休憩する場所を探し、買い込んだお菓子等を食べようとベンチを探した。しかし、人通りも多いためか、空いているベンチが見つからない。

 

 

 「どうしよう。なかなか見つからないね。」

 

 

 「痛たたた…。もう足がパンパンだよ~。さすがに疲れた~!!」

 

 

 「…じゃ、この先の路地を通ったら僕のお気に入りの空き地があるんだ。そこなら誰も来ないし、ゆっくりと休めるよ。あと、祭りの締めくくりの花火ももしかしたら見れるかも。」

 

 

 「ホントに!! 行く行く!!」

 

 

 「では、お言葉に甘えて。」

 

 

 「わかった。じゃ、ついてきて。こっちだよ。」

 

 

 シンバの提案でシンバの秘密の場所ともいえる場所へ足を運ぶ三人。

 

 しばらく路地を歩くと、本当に人通りがなくなり、空き地に着いた。

 

 その空地には草一本も生えていなくて、両隣には数十メートルもする建物が空き地を挟んで建っていた。そして両隣の一階部分には店が開いていて、灯りが外の路地に零れていた。

 

 くろちゃんとちゃにゃんはこの不気味な空間にある空き地に違和感を感じ、ここに連れてきたシンバに尋ねてみた。

 

 

 「…ねぇ~、ここがシンバのお気に入りの場所?」

 

 

 「何か想像していたのと違い過ぎるというか…。」

 

 

 二人の質問にずっと二人に背中を向けていたシンバはそのままでくろちゃん達に話しかける。

 

 

 「今日は楽しかった…。本当にありがとう。こんなに楽しく過ごせたのは初めてだった。 僕もくろちゃん達と一緒のギルドに入ればよかったな…。」

 

 

 突然の告白に状況が把握できないくろちゃんとちゃにゃんは首を傾げる。

 

 

 「ちょっと、シンバ? 何言ってるの? 大丈夫?」

 

 

 「大丈夫…。 これが僕の最期の仕事だから…。

  今までありがとう…。 そして…、…っく! ごめんねっ!!」

 

 

 振り返ったシンバは涙を流して、泣いていた。それと同時に顔半分は口が裂け、嘲笑っていた。正反対の表情をするシンバは背中に背負っていた双剣を手に持ち、くろちゃんとちゃにゃんに襲い掛かった。

 

 

 

 「ごめんね~~~~!!!」

 

 

 そう謝罪し、涙をぽろぽろと流しながら、双剣をくろちゃんとちゃにゃんに目掛けて振り下ろした。

 

 




シンバの身に何が起きたのかは、次の戦いの後で!


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