あ、そう言えば今日、第二弾特典もらいに二回目見てきました!!達也様、相変わらずカッコいい!!
RYUの楽屋内でビリビリした空気が流れる…。
「大体リーダーに一度勝ったからって言って、偉そうにしすぎなんだよ!」
「そうだ、まだ新人のお前が勝ったのだって、まぐれだ!リーダーの方が芸能界で過ごしてきた年月は長いんだ!実力だって十分にある! それなのにリーダーが負けるなんて、きっとお前が裏で金でも貢いだに決まってる!」
翔琉の仲間の内、二人がRYUに反論する。熱くなるあたり、翔琉に影響を受けているのは分かるが、少し暴走気味な気がする。そんな二人を見て、翔琉が目を潤ませて、「お前ら…そこまで俺の事を…!」と歓喜極まっているので、更にRYUには理解不能だった。
まるでスポーツ選手と熱血コーチが試合に勝つために熱く語り合っているような熱気が立ち込める中、残る二人の仲間が対照的に冷静にかつドSで話す。
「まったく同じチームメイトがこんな幼稚な事しか言えないなんて情けなく思う…。」
「こら、言い過ぎだぞ。大きな声で影口をいうものではないよ。本人達も幼稚だという事は自覚しているんだしね。ここは堂々と注意してあげるべきなんだ。
………『顔だけイケてるからいいんじゃね?』とか思っている中身だけ小学生三人の面倒を見る気も話す気もない。即刻マネだけでなく、社長、知り合いのアナウンサーにハイスピード解散と伝えようかい?」
「……お前達の方が酷くね?」
「相変わらずの口の悪さだけど、今はなぜかこいつの肩を持ってる気がしてならねぇ~!!」
「それは違うけど、でも君達の空気に染まりたくない…。」
「僕もだね。僕は一応紳士としてファンの子達に応援してもらっている身だし。」
…このハイスピードたちの会話が流れる中、RYUはリーダーは翔琉だが、実質的このメンバーを陰で支えているのはこの二人かもしれないと感じた。…今の段階で、だが。
自分の楽屋内だというのに、完全にアウェー感を感じていたRYUに、その影のリーダー的存在(仮)の二人がRYUを見つめる。
「こいつらが暴言吐いた。ごめん、一応謝っておく。」
「僕からもね。許してやって欲しい。この二人はリーダーに憧れているから、リーダーに関する事になると熱くなりすぎるところがあるんだ。」
「…別にいい。あんた達が仲が良いのは分かった。だから、早くここから出て行ってくれないか。こっちも忙しい。」
「ああ、ごめんよ。すっかり僕たちの楽屋のようになっていたね。」
申し訳なさそうに苦笑すると、一人は自分より体格のいいさっき暴言を吐いていた二人の首根っこを両手で掴み、無言で二人を引きずりながら楽屋を後にしていった。姿を消してから引き摺られている二人が喚いていたが、呻き声が二度聞こえたと思ったら、突然喚き声が聞こえなくなったのであった。
それからその後、もう一人が翔琉を肩にひょいと担ぎ上げ、暴れる翔琉をがっちりと固定する。その姿から相当鍛えている事が分かる。
RYUはこの男は警戒するべきかもしれないと思った。
その矢先に楽屋を後にしようとする彼が笑顔を張りつけたような顔のまま、顔だけ振り返った状態でRYUに話しかけた。
「……でもあいつらは馬鹿でも、言いたい事は分かるんだよね。リーダーは熱血漢だし、血の気が早いし、負けず嫌いだし、面倒な一面はあるんだけど…。
アイドルとしても、芸能人としてもかなりの実力を持っているのは事実。それは何年にも積み重ねてきた努力のたわもの。それを僅か約一か月前に芸能界入りしたアイドルに負けるとは信じられないのもまた事実なんだ。
……だから君が実力だけでリーダーに勝ったのか、今回の収録で僕たちが判断させてもらうから。くれぐれもよろしく頼むよ~。」
一時真っ直ぐRYUを睨んだが、それが嘘のように笑みを浮かべて消し、翔琉を担ぎ上げたまま、楽屋を後にするのであった。
なんだかんだ言って、メンバー全員リーダーが好きなんだな~。