魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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達也が~!! ギャグっぽくなった!?


奇妙な茶会の始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 「達也さん、いらっしゃい。 よく来てくれましたね。さぞ大変…………だったみたいね。」

 

 

 達也が席についた時、奥の控室のドアが開き、真夜が応接室に入ってきた。開かれたドアは葉山さんが閉じ、いつの間に用意したのか、紅茶を淹れるためのポットやカップ、洋菓子を乗せた台車を押して接待を始める。

 それをよそに、真夜は一瞬達也を見て、言葉を失ったが、すぐに愛想笑いを浮かべて、葉山さんに引いてもらった椅子に座る。

 

 

 「達也さんもお掛けなさいな。」

 

 

 「……失礼いたします。」

 

 

 さっきから案内された椅子の隣に立ったままだった達也は、真夜に言われてやっと座る。真夜のように葉山さんに椅子を引いてもらうようなことはせず、一人でする。

 招待されたとはいえ、真夜の命令なしで勝手に椅子に座るなんて真似は使用人にとって、決してしてはならない事だ。それは達也が今まで四葉で生きてきた中で身に付けた使用人としてのマナーであり、当然真夜も葉山さんもそれが達也の取るべき行動だと考えている。

 だからこの二人のやり取りは何も問題ではなく、これが日常であるのだ。

 

 

 「皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。まずは今日のために葉山さんが特別な茶や菓子を取り揃えております。さぁ、召し上がってくださいな。」

 

 

 真夜がそう言いだすと、葉山さんが白いテーブルクロスが敷かれている長テーブルの上に飾りつけされた茶菓子や淹れたての紅茶の入ったカップをそれぞれの目の前においていく。その動作に思わず達也も動きそうになったが、葉山さんが視線で座っていてもよいと伝えてきたので、浮かしかけた腰を椅子に留める。葉山さんが言うなら、それは真夜の言葉という事になるのだから。

 

 

 真夜の言うとおり、なかなかの美味の菓子が並んでおり、響子は食べる度に目を輝かせて頬に手を当てたり、うっとりした目をした。時には、真夜ともお菓子で意気投合してしまい、話が少し盛り上がった。その際、浮いてしまっている風間と達也は視線で

 

 

 「女性はこういうのが好きなんだな…。」

 

 

 「そうですね…。ケーキバイキングに行けば、こんなふうになります。」

 

 

 「…達也、まさか行った事があるのか?」

 

 

 「はい、深雪と一緒に何回かは。ですが、大抵の客が女性ばかりでしたので。あまり居心地が良いという印象はなかったですね。甘い物が特に好きだという人が行くような印象を受けました。」

 

 

 「お前がそう言うなら、そうなんだろうな…。考える必要があるな。」

 

 

 「…何を考えるというのですか? もしかして少佐も行かれているのですか?」

 

 

 「いや、まだ言った事はないのだが、今度親戚が田舎から観光にやってくると言うのでな。前もって行きたいところをリストアップしてもらったんだが、その中にケーキバイキングとあったから、どういう所なのかと考えていた最中だったんだ。藤林に聞こうと思っていたんだが、どうにも切り出しにくくてな…。」

 

 

 「お気持ち察します。」

 

 

 …等と言った会話は行われていた。(視線だけでこんなに濃い話をしている訳がない!!…という人もいると思います。そうです、二人は視線のみならず足で床を鳴らしたり、擦ったりしてモールス信号を発し、時には指も使って音を出して会話をしていた。)

 

 

 そんな世界が二分するような事もあったが、女子トークを終えた真夜と響子が紅茶を飲んで、喉を潤わせた所で、達也はずっと来てから疑問に思っていた事を口にした。

 

 

 「ところで、皆さんはどうして俺から目を逸らすんです?」

 

 

 さっきから話していると目を合わせてくれるが、終わると元に目を逸らした状態になるし、たまに我慢できなくなったからなのか、突然含み笑いをし出す。

 

 

 「…いや…」

 

 

 「ご、ごめんなさい、言いたくないわ…。」

 

 

 「……達也さん、似合っていますわよ?」

 

 

 何を言っているか、さっぱりだったが、真夜の斜め後ろに控えている葉山さんが手持ちの鏡を取りだし、達也に見せる様な形で持つ。そこには達也の姿が映っていて、目の良い達也はそれを見て、絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

 (しまった…!!!

 

  …俺は、女装したままじゃないかっ!!?)

 

 

 

 

 

 

 




えええええ~~~!! 達也が女装~~!!?? つまりカツラをしてますよね!?化粧も!? どういう事!?

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