魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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昨日の終盤の投稿の記憶がない…。読み返すと、????が並んでたわ~。


気になる視線

 

 

 

 

 

 

 

 

 「美月、どうだ。違和感があったら遠慮せずに言ってくれ。」

 

 

 「そ、そんな! 達也さんの調整は完璧です! ほのかさんや雫さん達が話していた事がやっと理解できました。」

 

 

 「何を?」

 

 

 「ほのかさん達、達也さんの調整してもらったCADの使い勝手が良くて、お金も払わずにしてもらえるなんて烏滸がましいんじゃないかって言ってました。雫さんに関しては、『本気で達也さんに専属魔工師になってもらおう。』って雫さんにしてはかなり本気が伝わる表情をされていて、意気込んでいました。」

 

 

 「………別に気にする事ではないと思うんだがな。友達なのだからいつでも調整鳴らしてもいい。ただし、専属魔工師なんて、俺みたいな未熟者がそう簡単になる訳にはいかないさ。」

 

 

 「達也さんは未熟者なんかじゃありません! 今だって私の精神状態の変化を正確に読み取っているかの様な微調整を行って、普段なら絶対に私が使えない魔法を見事に発動させていただきましたし、達也さんは凄いです! あの時の夢をかなえるために…。」

 

 

 手を組んでエキサイトする美月を持て余す達也は、なんとか苦笑にならないように必死に平常心を保つ。

 

 

 (この光景を見るのも、去年の今頃だったか?)

 

 

 …なんていう、デシャブ感に浸りながら、忘れていた記憶を読み起こす。

 

 

 しかしそれも一瞬の出来事で、達也は課題に意識を向け、美月に話しかける。

 

 

 「美月、そろそろ俺の分も始めてくれ。」

 

 

 「え…、あ!そうでした! ご、ごめんなさい。」

 

 

 顔を真っ赤にして頭を思い切り下げて、恥ずかしそうに縮こまる。そんなになるまで謝る必要は無いのだが、美月も赤くなっている顔をクラスメイト達に見せたくないのだろうと考える事にして、スルーする事にする。

 それに俯きつつも、すぐに達也の測定のために、準備に取り掛かっている美月。逆にここで声を掛けてしまうのは、申し訳なさが出てくる。…感じる必要もない罪悪感が沸き起こって来るが。

 

 その間、達也は測定器の前に設置されている椅子に座って、美月の準備を待つ。この課題は二人揃って課題を成し遂げないと終了にはならないのだ。いくら達也の技量が凄くて、一番乗りで終わったとしても、美月の課題終了をしないと、意味がない。達也がエキサイトしてしまっている美月に声を掛けたのもそのためだ。

 普段なら達也自身が現実復活をさせるようなことはしないが、課題が立て込むと、昼休憩まで課題に投資しなければいけなくなり、深雪の作ってくれた弁当を食べる事も、深雪と食べる事も出来なくなる…といった一番の理由があるからなのだが…。

 

 

 そんな訳で、美月の準備を手順に間違いがないか、見届けながら待っていた達也だったが、ふと自分を見つめてくる多数の視線が気になり、ざっと目を動かす。その時、向けられていた視線が一斉に逸れる。

 

 

 (……なんだ? そんなに課題が終わった俺が気になるのか?)

 

 

 課題が終わり、退屈そうにしているのが悪かったのか…。注目を浴びていた理由を考え、そう結論付ける。ちょうど美月も測定器の調整が終わったようで、達也の測定を始める。達也は視線の事を一切、意識から外し、課題に集中する。

 

 

 測定中の達也をまた、逸らしていた視線を向ける。

 

 

 このような行動をとっているのは、課題の最中、チラチラと見つめる同じクラスメイトの女子達だった…。

 

 

 




敵意の視線なら完全にシャットダウンできるのにね~。(意識的にも現実的にも)

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