煩悩になっていた。なまくらとか、色欲とか萌えだよ!!とか出てたけど、これって言うのが出てこないで悩んでいたら、いつのまにかこうなっていた…。
八雲の弟子たちを一掃した達也は、最後の相手であり、体術の師匠でもある八雲の姿を探す。忍術に優れている八雲は、達也も骨が折れるほどの隠れ身ができる。数年前から八雲の元で修行しているが、まだはっきりと居場所を把握する事は出来ていない。
しかしそれだけだ。初めの頃は、気配さえ感じるのも憚れ、背後を取られ、悪戯された事がある。(まだ中学に上がりたての頃…、沖縄事変のすぐ後だ。達也自身はまだ子供だったから仕方ないと思っている。…今でも年齢的には子供の範疇かもしれないが。)それでも修行を重ねる内に、気配を掴む事は出来るようになったし、逆に背後を取るようにもなった。
今の達也なら、息を潜めている八雲の位置もある程度絞れる…。
そして気配を感じ取った達也は、装備していた飛び道具を指ではじいて自分では死角になっているやや斜め左後ろへと飛ばす。飛び道具を飛ばす仕草を全くせず、辺りを窺いながら歩いている最中にしたため、達也が飛び道具を投げた方から「ほっ…」という、驚きつつも、なぜか楽しそうな声が聞こえた。その声と同時に消していた気配が一気に存在感を持ち始める。
「いきなり投げつけてくるとは達也君、ひどいんじゃないかい?」
「気配を消している事をいい事に、陰でこそこそ笑いを堪えながら付いてこられたので、いい加減姿を見せればいい、と思っただけですが?」
「ええ~? 僕はそんな事はしていないけど? 過剰反応ではないかな?」
「どの口がそんな事を言えるんですか? それならその手にある物はなんですか?」
「…あ。」
達也に指摘されて、しまったな~…と呟きながら頭を掻く八雲の手には、小さな石つぶてが拳一杯に握られていた。
それらは達也が弟子たちを捕獲する際に、度々隠れている八雲へと向けて放った石つぶてだ。付いて来ていないというのなら、持っているはずはない。たが、八雲は生粋の忍術使いであるため、敵の道具を収集する癖があり、思わず無意識に反応していたのだった。
「まいったね~」と言いながらも、ますます面白くなってきたと言わんばかりに微笑んでいる八雲を見て、呆れる達也。
「うんうん、君とはそれなりの付き合いだけど、ますます面白い展開を運んでくれるね。」
「別に俺はそのつもりはないのですが?」
「君にとってはそうでも、僕にとってはいい刺激になるからね。
……じゃ、話はここまでにして、いつものように腕を交えてみようか。
……かかってきなさい。」
掌を見せて、自分の方へ数回手を招く。達也は一度深呼吸して、気を引き締めたのち、地面を蹴って、八雲との組手を行う。
両者、なかなかの腕前を見て、既に達也に捕まってしまった弟子たちが円を囲んで、観戦する。感嘆を漏らしながら、二人の組手を見て、気合を引き締めるのであった。
いつもにこにこ笑う八雲って、違う角度から見たら裏があるキャラに見えるよね~。
裏と言えば、今マックで裏メニューしているね~。