魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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本編もど~~り~~!!




いつもの修行へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 達也がアイドルになってからもう二週間ほど過ぎた。それまでには初仕事としてCM出演もあり、人気も鰻登りである。達也本人は不本意な事ばかりだが、これが任務の一環だと割り切ればそれほど気にするほどでもない。

 実際にアイドルの事は、金星や真夜に任せてある。達也は、「ただ真夜から与えられるオファーを受ければいい。俺はいつでもそれを熟せるように準備を怠らなければいい。」と、考えている。現に、CM出演が終わり、数日前に公開されてからまだ次の仕事は入っていない。しかし、これで終わりなんてことがない事は分かっている。次はCM出演のような仕事ではなく、もっと注目浴びる仕事が舞い込んでくる事は否応でも予測できる。だから達也は毎日深夜に日課の魔法研究の後、深雪や水波の眠りを確認した後、地下室のテストルームで基礎練からのダンスやボイトレをしているのだ。

 まぁ、そのためにただでさえ睡眠時間が少なく、健全な高校生としての過ごし方とかけ離れているのに、更に睡眠時間が減り、いいとこ仮眠程度の時間しか眠る事が出来なくなった。しかし達也は、そんな事は気にせず、深雪に気づかれずにいつもの生活を続けるために過酷なスケジュールをこなしていた。

 

 そして今日も一時間弱の睡眠をとり、朝早くからいつもの日課の体術修行をするために、高速ランニングで寺へと向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 寺の門前まで階段を上がっていき、門を潜ると、達也の身が引き締まり、辺りを鋭い視線で見渡す。門を潜った時から既に修行が始まっていた。

 姿は誰も見せていないが、十数人が息を殺して隠れている事は人の気配や視線に極度に敏感な達也にはすぐに分かった。隠れている者達も手練れで、達也でなかったら気づかれることは無いであろう技術で隠れている。その隠れ方から、この寺の住職である九重八雲の弟子たちだという事は分かる。この点から達也は今日の修業メニュー内容を理解した。

 

 

 (今日は”かくれんぼ”……というわけか。 さしずめ俺が全員を捕まえる役って事だな。)

 

 

 自分の役回りを知った達也は、それぞれ潜んでいる弟子たちの位置を確認し、最適な手順を瞬時に頭でシュミレーションを行う。闇雲に突っ込んで危機的状況に陥る事は愚か者のする事だ。まずは、『情報』を仕入れる。それが自分の生存へとつながるし、相手を出し抜く際の大きな原動力にもなる。これらは達也が今まで生きてきた経験から学び、一番身体に沁みこんだ教えでもある。

 

 できる限りの下ごしらえを行った達也は、軽く手首や足首を回し、柔軟運動をしておく。寺だと言っても、屋根や寺の周りに生えている樹木を足場にするなら、しっかりとしておいた方がいいという判断からだ。

 

 そして完全に準備が終わると、何の前触れもなく、地面を蹴り、高速で忍び走りしていき、次々と弟子たちを発見しては、組手を交わし、無力化していく。狩人化していく達也の目は、いつものように達観しており、目の前の動くモノを無力化する事だけ考えていたのであった。

 

 

 




達也ってちゃんと眠っているのか?眠りはいい方だとは知っているが、眠るのが大好きなうちには耐えがたい日常を送っているんだけど~!!

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