「さすが奥様です。 予想されていたという事は、今後の達也殿の作戦上重要な駒になるとあらかじめ計画に組み込んでいたのですね。
この葉山、感服いたしました。」
恭しく頭を下げ、真夜を褒める葉山さんに、まんざらでもなさそうに笑って見せる真夜だったが、すぐに興が冷めたように冷めた顔をする。その変化を見て、葉山さんも姿勢を直立にする。
「葉山さんにそこまで褒められるような事はないわ。葉山さんだって考え付く事でしょうし、達也さんもあの方たちの自分への対応の仕方を知っていたら、瞬時に利用していたはずです。…あの子はそういう子よ。」
遠くを見つめる様な目で語る真夜の横顔は、葉山さんの脳裏にもう一人の面影が映し出される。真夜の双子の姉であり、既にこの世を去った達也や深雪の母親である司波深夜。旧姓、四葉深夜。同じ容姿を持った双子だから、面影が重なると言った事があるかもしれないが、もっと根本的なところがシンクロしたのではないかと思うほど、生き写しのようだった。葉山さんは真夜には決してこの事を言うことは無かったが、このお蔭で真夜が言った事が全て納得できたのだった。
「こちらの思い通りに達也さんが予定にないスケジュールを送るようになってから、国防軍は敏感に反応してくれたわ。お蔭で、こちらの要求を通させるのに大義名分が作れたのだから、結果はよかったと思うわ。
だってここからは、人手を増やさないとスムーズには上手く進まないから。」
「奥様の作戦で彼らの出方は一つしかありません。すんなり駒をゲットできるでしょう。」
「それにはまずあの人に連絡を入れた方がいいと思わない?」
「佐伯殿に、で御座いますね?」
「そう、彼女なら私のお願いもきっと理解していただけると思いますし、そろそろ説明しても問題ないでしょう。」
「ではそのように手配させます。」
「そうしておいてくださいな。」
独立魔装大隊を利用する、表面上は手を組む事を提案する四葉に対し、この後、佐伯が真夜からあの連絡を受け、想像通りに真夜の言うとおりに動く事を了承した。
後日、改めて作戦会議という名の集会を設ける事になったので、そこに真夜がまず要求した風間と響子の二人が参加が決まる。佐伯には事のきっかけは大体伝えているが、風間たちにはまだ言っていない。まだ役者がそろっていないからだ。二人が知る事になるのは、その集会でのこと。二人以外にも集会には呼ばれている者がいた。その者と一緒に説明するため、葉山さんに場所や準備等を任せる事にした。
「楽しみね。」
何が楽しみだとは言わなかったが、言葉通りに悪戯が成功するかわくわくしている子供のような無邪気な笑みをこぼすのであった。
また寝落ちしてしまった。意識が~!!