魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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今後の展開に備えて…。


同胞の反応 その3

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ごほんっ、二人ともそこまでにしておけ。』

 

 

 真田のデリカシーのない言葉で響子のご機嫌を損ねてしまったまま、気まずい雰囲気になり、脱線する。話を元に戻そうと風間が咳払いして二人の意識を切り替えさせる。風間が間に入った事で、すぐに姿勢を改め、前を向く。真田としては助け舟となったため、心の中で安堵していた。

 

 

 『本題に戻るが、達也が芸能活動をするのは夏までで間違いないんだな?少佐。』

 

 

 「はい、ゴールデンスター芸能プロダクションのパソコンにハッキングしましたところ、達也君…RYUがこの事務所と契約している期間は8月末で終了する事になっています。」

 

 

 『…つまり、芸能活動に本格的に動き出すつもりではないという事で捕えて問題という事か?』

 

 

 「そうです。そもそも達也君が長期の芸能活動を容認するキャラではないと思いますけど?」

 

 

 「最もだね。 達也君は芸能界について年頃の若者よりも知らなさすぎる。それは彼がそこまで興味がないという事に他ならないからね。そんな彼が好き好んでいきなりアイドルになろうとは到底考えられない。

  …とすると、残っている可能性の中で一番考えられるのは、四葉家当主直々の命令でそうせざる得ない事情ができたという事だろうね。」

 

 

 『……真田の読みは団長も全く同じ見解をされていた。間違いなく、その通りだろう。』

 

 

 「なら、こちらとしても、今は協力関係を結んでいるのだから、情報を渡してくれてもいいと思いますけどね~。…四葉家ご当主様は何を考えているのやら。」

 

 

 やれやれと言う顔で過振りを入れる真田に、響子は苦笑する。風間は何も言わないが、一番そう思っているのは、風間自身だろう。見えない画面の向こうで顰め面になっているんじゃないかと真田は想像する。

 

 

 そもそも彼らが国防軍に基地内で話すのではなく、街中の人目が少ない地下駐車場の一角で気密性高めにした国防軍回線を使って、達也の情報を手に入れようとしているのは、一つは四葉家の狙いを知るため、。そしてもう一つは達也を監視するためである。

 

 このビルは、達也と深雪、四葉家から来た水波という女の子が住む司波家から半径10㎞離れた街中にある。そこからエレクトロン・ソーサリスという異名を持つ響子のハッキング技術を駆使し、監視カメラから、達也の四月からの言動を監視していたのだ。しかし、達也自身に監視の目を向けると、すぐに達也に知られてしまう事は承知している。ましてや達也が唯一愛する深雪へ向ければ気づくだけにとどまらず、刃の如き鋭い視線が身を貫いた感触を与え、簡単に消される恐怖を感じる事になるだろう。

 だから、監視する対象から近くの他人に視線を逸らして、これまでひっそりと達也を監視していた。

 その理由はみんなもご存じのように、達也が日本では二人しかいない『戦略級魔法師 大黒竜也』だからだ。

 

 国防軍としては、達也を戦力に確保しておきたい。しかし万が一の場合に軍事機密扱いにした分解魔法や再成魔法を使用させたり、暴走させたりしないようにある程度の監視は前々から必須だった。そのために達也が独立魔装大隊での訓練や会合、FLTでの研究、妹のショッピングの付添以外に出かけるようになったため、達也専用の監視方法を駆使しまくって、ようやく何をしているのかを突き止めたのだ。

 

 四葉家からは何も連絡が入っていないため、あくまで状況理解しかできていないが、達也が目立てば、国防軍が隠している達也の正体が戦略級魔法師であるとバレる危険が増える。だから事前に達也に何をさせるつもりなのか、連絡を入れればいいのにと独立魔法大隊の幹部たちは口々に言葉を連ねるのであった。

 

 

 




独立魔法大隊の監視方法って原作でもちらっと書いてあったけど、実際はどうなっているんだろうね?

非常に気になるわ~。だって達也の視線レーダーに引っかからないなんてすごくない?

まぁ、今回は内密に調べるために役に立ってましたね!

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