魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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久しぶりに響子たちが出てきました。


同胞の反応 その2

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分達の上司である独立魔装大隊を取り締まる隊長の風間大佐から回線が入り、響子と真田は敬礼する。

 

 

 『本日の報告を聞かせてもらう、藤林。』

 

 

 画面が真っ黒のまま、風間の指示が聞こえる。二人は敬礼を下ろす。普段なら風間からの連絡では互いにモニターに姿を映すのだが、今回は一方だけである。これには故障していて映らないという訳ではなく、故意で行っている。この回線は国防軍専用の回線を経由している。下手に情報漏えいに繋げるわけにはいかない。

 

 そのため、風間の姿は映らない。普段なら風間が敬礼を下ろした後に響子たちも敬礼を下ろすが、それができないため、風間が指示をする事で、合図を送ったのであった。

 

 

 「はい、本日の彼は、いつものようにFLT第三課へ向かって、研究員たちと今のプロジェクトを進めていました。真田さんの見解だともうじき試作品が完成する頃かと。」

 

 

 『ふむ。相変わらず次々と驚く様な発明をするものだな。まぁ、彼の成果もあって、我々も魔法行使には随分と助かっている。』

 

 

 「ええ、全くです。今では彼に私達の隊の武装CADのシューティングを頼んでいますしね。僕もそれなりに腕は上げたのですが、まだまだ彼に敵わないですね。」

 

 

 『真田、悔しがるよりも面白がっているように見えるな?…当然か。』

 

 

 分かりきった事をつい話してしまったと思った風間は疑問を投げかけてすぐに自分で終結させた。真田はというと、響子の報告の最中に会話を挟み込んできたのだが、悪気は感じなかった。これくらいの事は沖縄の時からの付き合いである風間との暗黙の了解であり、それが二人が親しみを互いに持っているという証拠でもあった。

 

 

 『それで、もう一つの動向は?』

 

 

 ”何を”は明らかにしていなかった風間の問いに響子はすんなりと答える。響子にとっては分かりきった事であるし、今、響子が与えられている任務にも関係している。

 

 

 「はい、彼が出演したCMの効果が絶大になりつつあり、注目度が鰻登りになっています。このままだとますます引っ張りだこになっていくでしょう。」

 

 

 何かの統計グラフも出し、説明する。彼らが話しているのは、達也がRYUというアイドルになって、芸能界デビューしてからの世間の注目の動向だったのだ。

 

 

 『…そうか。 これほどとはな。初めのうちは想像できなかったが、ここまでの人気になるものなのか?』

 

 

 唸り声も聞こえる風間の声を聴いて、響子と真田は風間が腕を組んで、真剣に考えているのが手に取るように分かった。男から見ると、歯に浮く様な台詞やストーリーになぜ女性達がうっとりするのか分からないのだろう。言うならば、”男は乙女心が分からない”である。

 

 

 「大佐、女性という生き物は、愛に飢えていたりします。日本の殿方たちは恥ずかしがってろくに愛情表現を口にしたり、行動したりしませんから。だから画面の中だと分かっていても、愛をささやいてくれたり、想いをストレートに言ってもらっていれば、自分に置き換えて飢えを満たすんですよ。」

 

 

 「それって現実逃避って言うんじゃ…」

 

 

 「……真田さん。

 

  ”愛している”と言われたいと思う事のどこか、”現実逃避”だというのでしょうか?」

 

 

 ジト目で睨む響子の威圧に思わず真田も口を竦む。その二人のやり取りを見ていた風間は、心の中で「女を本気で怒らすものではないな…。」と己の心得に深く刻む込むのであった。

 

 

 




女心を馬鹿にしてはいけませんよ~! 「乙女心が分かっていない!」って言われて別れを切り出されるかもしれないですよ~!

そうならないように、失礼な言い方はしないようにしましょう!!

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