もともと登場予定でしたがね。
「あらあら…、達也君こんなに注目されちゃって。有名人になったものね~。」
「四葉家のご当主様は作戦がうまく進んでいるこの状況にご満悦するんじゃないかな?」
「どうでしょう? あの方ならこれはまだ序の口かもしれませんよ?」
「確かにそうだろう。そうでないと達也君を目立たせるリスクを払ってまで仕掛けた計画にしてはあまりにも元が取れ無さ過ぎる。」
日も落ち、夜となった街のある高層ビルの地下駐車場に止まっている赤い車の中で若い男女が話し合っていた。防音性にもしているので、車内の会話は外には漏れないが、魔法で防音障壁を張る。しかし、街中で魔法を使えば、監視システムに引っ掛かりすぐに警察に知られる事になる。それにもかかわらず魔法を使っている訳だが、この状況は既に数時間も行っている。これなら巡回中の警官や刑事が来てもおかしくはないが、誰一人もやってこない。
それもそのはず。魔法探知や監視システムから自分達の魔法行使のデータをすっぽりとり払っているからだ。ハッキングして、魔法使用のデータを削除し、今この駐車場での監視システムはオフにして、偽の別のデータをリアルタイムで流している。
これらの作業を車内に搭載されたキーボードで指を走らせ、実行する。慣れた手つきで操作する女性は、顔を真っ直ぐ前を向いたまま、スクリーンとなった前方の映像を見る。助手席に座っている男性の方は、女性が操作するスクリーンを見ながら、腕を組んで面白そうに笑う。
「それにしても達也君がアイドルになるなんてね! 初めにこの事を知った時は思わず笑ってしまったよ! なんだって達也君とあまりにも相反するものだと思っていたからね。」
「それは言い過ぎですよ。確かに達也君もこの件に関して、強い抵抗はあったと思いますが、意外と…いえ、似合っていると思いますが?」
「……もしかして君も世の女性達と同じ考えだったりするのかな?」
からかおうとする気が隠そうともしない男性に女性はため息を見せつけるようにしてついて、ジト目で見返す。
「……私はどのような意見を持っていようとあなたには関係ないと思いますよ?これ以上無駄な口を叩くなら、こちらにもそれなりのやり方をさせていただきます。」
「え?」
車内がマジな緊張感が漂い始め、男性がミスったと思ったその時、車内に内蔵されている通信端末に着信メロディが入る。そのメロディを聞き、すぐに二人はこれまで砕けた感じでいた姿勢をきちっと直して、回線を繋げた。
テレビ回線であったが、相手の姿は映らず黒くなったままの映像が映るだけだ。それでも姿勢を崩させない二人を見ると、通信してきた人物が自分達より高い立場の人間だからだと分かる。そんな状態での空間が車内に作られた中、ついに相手が口を開いた。
「任務、ご苦労。 藤林少尉、真田少佐…。」
この言葉を聞き、二人同時に敬礼するのであった。
はい、最後になって同胞という人たちが独立魔装大隊だったことが判明。(* ̄∇ ̄)ノ
まあ、追々彼らの出番の意味が分かるはず。