魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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もう一か月か~。どんだけ『友人たちの反応』を繋げるんだろう?だが~!それも今日でおしまい!…のはず。


友人たちの反応 深雪&水波編その7

 

 

 

 

 

 

 

 

 深雪の暴走が収まり、水波は深雪のモチベーションをこれ以上低下させないため、モリビングに設置されているモニターの電源をつける。すると、ちょうどドラマが放送されており、水波は「これは好都合です!」と心の中でガッツポーズを取る。

 …というのも、水波がやろうとしていたのは、テレビ番組をつけて、深雪に鑑賞してもらう事だった。こうしていれば、深雪は番組内容に集中するし、その間に水波がまだ片づけていない家事をこっそり進行できる。深雪も精神不安定になって、魔法の暴走を起こすリスクも減る。我ながら一石二鳥…いや、三鳥だ。

 達也がFLTに出かけてすぐ、洗濯やら掃除やら片付けやら、家事という家事は深雪と張り合いしながら行ったため、あっという間に終了してしまい、時間を持て余す事になってしまった。これが達也を待ち焦がれる深雪へと変貌させたのは、言わずもがな…である。

 しかし、深雪が暴走した事で、棚やテーブル等が曇っていたり、水滴が付いていた。メイドとしてのプライドを持つ水波は掃除のし甲斐があると狙いを定めていた。

 

 

 …という水波のちょっとした思惑によって、深雪は昔からよくお茶の間の主婦の間でも言われていたいわゆる『昼ドラ』という二時間ドラマを鑑賞する事になった。今日は既に学校からの宿題も予習も終わっており、分からない問題はいつも通りに達也に教えてもらわないといけないため、学生の本分を実行するのは無理だ。他にする事もないので、気分転換も兼て水波の提案に乗る深雪だった。

 

 ただその数分後、深雪はモニターを凝視したまま固まり、若干頬を赤らめる。

 

 紅茶と茶菓子を持って、戻ってきた水波もモニターを見て、思わず叫びそうになった。

 

 

 なぜならモニターに達也が映っているからだ。

 

 

 「……お兄様…?」

 

 

 ぼそりと出た尊称だが、まだ確証を得られなくて、疑問符がつく。水波もまさかこんな形で目撃するとは想像だにしなかったので、開いた口が塞がらないほど驚く。

 

 

 「……驚きました。まさか達也様に良く似ていらっしゃる方がいるとは思いませんでした。」

 

 

 頭の中で悩んだ結果、達也にそっくりな人物だと水波は位置づけた。深呼吸して、冷静に考えてみると、達也であるわけがない。

 だって、達也が灰色の天然癖毛のある髪や髪キスなんてしない!見ず知らずの異性には特に!

 

 二人が見ているのは、ドラマの合間に流れているCMで、女性に絶賛人気と画面上に出ている今売れ行きが凄いシャンプー『プリンセス』のMOONverだったのだから。

 

 

 未だに衝撃を感じる水波は、深雪をふと盗み見る。先程から固まった深雪の様子を観察するために。

 だが、視線を向けた瞬間、深雪が口を開く。

 

 

 「あの方はお兄様ではないわ。お兄様はもっと紳士ですから。確かにお顔はお兄様に大変良く似ていらっしゃると思うけど、お兄様はただお一人…。あの方もお兄様と同じだと考えられるのは嫌でしょうから。」

 

 

 「深雪様の仰る通りですね。申し訳ありません。」

 

 

 達也とCMの達也似の青年と重ねて見ていた事を反省し、深雪に謝罪する。また深雪が暴走しないように。それが効したのかは分からないが、ニコリと笑って謝罪を不要と首を振る深雪。

 

 

 「水波ちゃん、謝らなくていいのよ?私だって、あまりにもびっくりしちゃって、お兄様かもと思ってしまったもの。誰だってこういう事はあるわ。」

 

 

 「はい。」

 

 

 「あ、そうですわ。水波ちゃん、次のCMで先程のCMが出てきたら、録画しておいて頂戴。お兄様が帰ってきたら、見せましょう。

  きっとお兄様、驚きますよ?」

 

 

 ふふふ…と面白そうに花が零れ出るように笑う深雪の笑顔に女子である水波でも思わずうっとりとしてしまうほど、魅力的だった。

 

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 

 …という出来事があって、CM録画をしておいた。しかしそれを達也に見せることは無かった。

 今日の出来事をフラッシュバックさせたことで、夕食を多く作りすぎてしまった水波が達也に謝ると、「実は研究に没頭して昼は食べていなかったから、これくらい食べれる。ありがとう、水波。」と逆に感謝され、照れる水波。そんな水波を氷柱の如く冷たく尖った視線が水波を一瞬だけ貫く。その後は三人で美味しく夕食を堪能し、またいつものように後片付けで二人は揉める。

 

 そして数時間後、深雪と水波のそれぞれの部屋では、部屋に設置されている小型モニターを使って、頬を真っ赤にして、声を潜めて萌えていた…。

 

 録画しておいたCMのデータをコピーして。

 

 

 

 「RYUさま…ですか。」

 

 

 「…お会いしてみたいです。………また。」

 

 

 小さく呟く二人の声は、それぞれ自分の部屋だけで留まる。二人の興味を惹く事になったRYU…もといその本人の達也は、深雪と水波に影響を与え始めた事を知る由もなかった。

 

 

 




はい、終わりました~~!!
明日からは少しタイトルが変わります!

結局深雪も心の中で「キャ~~~~~!!!♥」なっていたという訳ですな。
あと無意識だと思うけど、RYUを見てから、口調が達也に話す時と大差ない者になっていたしね。(そうしたつもりだけど、変だった?)

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