ほのかが何やら悩んでいるようなので、話を聞いてあげている雫がほのかに話を続けさせる。
どうして悩みを抱く事になったのかという経緯は理解できたが、何で悩んでいるかはまだわからないからだ。話を聞く限り、深雪と関係ありそうだが…。
「私…、家に帰ったらふと思って。深雪は達也さんと一緒に住んでいるんだし、プレゼントを見る事も出来たと思う。でも…、私が懐中電灯に写真を入れなかったって言ったのが少し引っかかったの。」
「うん、入れなかったね。本当は入れてもよかったんだけど、彼女でもないのに異性の誕生日プレゼントに写真を添えるのはどうかって話して、なしになったね。」
「雫っ! い、今更そんな事言わないで! は、恥ずかしいよ~!」
「だって本当の事。ほのかが暴れてまで写真を入れるのを止めたのは事実。」
「うわぁ~~~~~!!!(汗)」
その時の再現をしているように手を大きく振りながら、記憶から抹消しようとするほのかに、やはり積極的なアプローチに欠けるほのかをフォローしなくちゃと考える雫だった。
「それで話を纏めると、達也さんにあげたプレゼントを深雪に見られて、深雪の反感を買ってしまったけど、写真入れなかったからもっと積極的なアプローチを心懸けたい……っていう事?」
「う~ん、半分当たっていて、半分違うかな?」
「どこが違うの?」
「深雪が達也さん命なのは知っていたし、負けたくないって思ってたから雫にもプレゼント選び協力してもらったじゃない?
プレゼントはよかったと思っているし、雫には感謝しているよ?でも、あの深雪の笑っていない目を向けられた上に背後に吹雪を纏わせた圧迫感と強烈なストッパーを感じさせる満面の笑顔を見せられた後じゃ、当分達也さんに近づくどころか、話しかけるにも勇気がいるわ…。」
「そんなに…?」
「うん…、だから写真を入れなかった事は後悔していない。それよりも綱一本繋ぎとめたって感じで安堵しているくらい。」
「それは分かる。深雪の達也さん愛は常識を超えているから。」
「でも深雪が忠告してきたけど、自慢も入ってた。
わざわざ写真を入れなかったって言ってきたもん。多分深雪はプレゼントで写真入りの何かを送っていると思う。だから、その点で後れを取っていると私に遠まわしで行ってきたんだと思う…。」
「そうか、深雪ならあり得る。」
「私も達也さんの事が好きっ! だから、深雪というライバルに後れを取った事が悔しいの。だから、私なりのアプローチをやってみようって思って!
……でも、なかなか私らしいアプローチっていうものが思いつかなくて。それで雫に相談に来たの。」
つまりは、深雪の忠告と挑発で、後れを取ってしまったと気づいたほのかが深雪に負けないために自分なりのアタックをする事に決心したんだけど、全然思いつかなくて助けを求めてきたのだった。
それを聞いて、納得した雫は、洋服箪笥からジャケットを取りだすと、ほのかの手を取って、部屋のドアに向かう。慌ててほのかが脱いでいた上着を掴んで、引っ張られるまま雫についていく。
「ちょっと、雫~!!? 如何したの? いきなり!?」
「ほのかのために出かけるの。」
「え!? 今から!?」
「そう、今から。」
当たり前じゃないという雰囲気で頷く雫に連れられて、ほのかはいきなりの展開に驚きつつも、雫に連れて行かれるまま、北山家を後にし、外出していくのであった。
雫は見送りのためにいつの間にか玄関で待っていたメイドに部屋に置いている茶菓子達を片付けてほしいと言い残すと、運転手の送迎を断って、歩いて最寄駅まで向かって行く。
こうしてほのかの悩み解決?のために、雫はほのかを連れ出し、どこかへと向かって行く…。
やっぱり乙女だから! 深雪と達也が兄妹だと分かっていても、ライバルの深雪に後れを取ったとなれば、ほのかも闘志をむき出しにするしかない!
…原作と繋げる感じでほのか&雫編が進行中ですよ。