魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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今回はセット扱いで。


友人たちの反応 ほのか&雫編その1

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……はぁ~、雫~。どうしよう…。やっぱり写真入れておいた方がよかったのかな?」

 

 

 「たとえそうしていたとしても、ほのかには無理。気絶するのが目に見えていた。今もそれは変わらない。」

 

 

 「うっ! …でも深雪がやっていたし。」

 

 

 「深雪と比べる必要は無い。ほのかはほのからしくアピールすればいい。」

 

 

 「その私らしくじゃ、ダメなんだってば~!」

 

 

 ほのかが助けを求める表情で雫に縋りついて嘆く。それを雫は無表情で見つめる。もちろん内心では呆れ感もあるが、親友の悩みも理解しているため、力になりたいという熱意も持っている。いつものポーカーフェイスで分かりにくいが。

 

 それよりも雫はここに自分とほのかだけしかいなくてよかったと思っていた。こんなほのかの姿を見せたくなかったから。

 

 二人が今いる場所は、雫の部屋だ。

 

 ほのかは幼少時から雫と仲が良い、親友同士なので、雫の部屋に突然訪ねてきても問題はない。休みの日はほとんど一緒に過ごす事が日課に思えるほどだ。ほのかが雫に会いに来る時は手作りのお菓子も持ってくることもある。笑顔も添えて。

 しかし今日は、違った。

 

 来る時は連絡をくれるほのかだが、今日はそれがなく突然訪ねてきた。でもこれだけなら雫は驚かないし、何事もなくメイドさんにお菓子と紅茶の用意をするようにお願いしただろう。たまに連絡を入れ忘れてくる事もあるのだから。

 しかし今日のほのかは、いつも以上に焦っているような、はたふたしている様子で現れ、目を潤ませてやってきたのだ。そこで、メイドさん達にはお菓子と紅茶の用意をさせた後、すぐに部屋を出てもらい、部屋に誰も入れないようにと念を押して、ほのかの話を聞く事にしたのだった。

 ……ほのかが悩んでいる事は長年の付き合いで分かっていたから。

 

 それで何に悩んでいるのかと思い、聞いてみると……

 

 

 「この前、私…達也さんの誕生日にプレゼント渡したでしょう?」

 

 

 「うん、渡したね。私があのまま背中を押さなかったら、緊張して渡せなかったのか思うと冷や冷やした。」

 

 

 「その節は、ありがとうございました…。」

 

 

 「うん、それで?」

 

 

 先を促す雫の有無も言わせない視線にほのかが恥ずかしいのか身体をもじもじさせながら話す。

 

 

 「そ、それで公開実験が終わった後、達也さんから改めてありがとうって言ってもらえたんだ!」

 

 

 「……達也さんに感謝されたのに、なんであんなに悩んでいたの?」

 

 

 ほのかが悩む事などない、寧ろ昇天しそうな喜びを感じられる思い出ができたのに悩んでいる理由がさっぱり理解できず、思わず首を傾げて、問いかける雫。

 

 

 ただし、話しかけるにはまだ早かった。

 

 

 「……この後が問題だったんだ~。 生徒会の業務の時に言われたんだけど、達也さんが部活連に報告書を届けに行って席を外した時に言われたの、深雪に…。」

 

 

 「深雪に?」

 

 

 深雪の名が出てきた時、身体が一瞬凍った感覚を覚えた雫。この先の話を聞くには用心した方がいいと判断するほど命の危険度が上がった気がした。

 

 

 「う、うん…。 深雪……笑ってこう言ったの。『お兄様へのプレゼントの懐中時計…、素晴らしかったですね。私もちらっと拝見しましたがとても見事な彫刻が施されていてお兄様にお似合いでしたわ。』そして一拍置いた後にこういったの。『ですが写真は入れていなかったのですね。ほのかの着飾った写真…見たかったですわ。』………って。」

 

 

 「…………それは、深雪の怒りを買ったみたい?」

 

 

 「あれは間違いなく、怒ってたよ…。 あんな笑顔…、見た事ないもん…!」

 

 

 ほのかがその時の事を思い出してブルブル震えるのを見て、雫も背筋が冷える感覚を感じた。

 

 (やっぱり深雪を相手に闘うのは、厳しい…。)

 

 

 雫は遠くを見るような目で先が思いやられると、達也とほのかの恋の成就の大きな壁である深雪の幻影にため息を溢すのであった。

 

 

 




深雪はやっぱりほのかからのプレゼントが気に入らなかったんだよ。でも達也の前でそんな不満など言えない。だからほのかにプレッシャーをかける策に出たんだな~。

笑顔でプレッシャーなんてしてきたら、ほのか…相当怖かっただろうな~。

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