魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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助け舟、登場~!!


友人たちの反応 美月編その5

 

 

 

 

 

 

 

 

 ずっと心の中で助けを求めていた美月は、願いがかなったと喜んだ。そのために現れた友人に対し、安堵と嬉しさが相まった表情を見せる。

 

 

 「エリカちゃん…! 会えてよかったです!」

 

 

 「え、あ、うん。そうね~、まさかここで会うとは思わなかったけど。」

 

 

 「ところでエリカちゃんは何でここに? 一人でショッピング?」

 

 

 安心した美月がきょとんとしながらエリカに問い掛ける。それに対しエリカは目を泳がせて罰が悪そうな顔を作る。

 

 

 「ははは…、ちょっと色々あって気分転換に街を歩いてたんだよね~! それより!

  あたしの事はいいから、美月こそどうしてここに? もしかしてミキに見せる下着でも買いに来たの~?」

 

 

 「エ、エリカちゃん! そんな訳ないでしょ!」

 

 

 「ええ~? そうなの? それは残念!!」

 

 

 「もう…! エリカちゃん、からかわないで。」

 

 

 「は~い、ごめんなさい。」

 

 

 舌を少し出して謝るエリカ。悪気を感じているような素振りには見えないが、学校でこのようなやり取りは繰り返されていただけにもう慣れている。美月は苦笑して受け入れると先程の問いかけに答える。

 

 

 「じ、実は先輩からぜひ見ておいた方がいいよってメールが来て、このセールに来てみたんだけど…」

 

 

 この先をなぜか言いにくくて、美月が口籠ると、美月の困った表情と熾烈な争いが今もなお続くセールのカオスを見て、エリカは察した。

 

 

 「ああ~、なるほど。確かにあの中を美月が行くのは止めた方がいいわね。でもちょっと意外だったな~。美月もこんなイベントに来るなんて。」

 

 

 「私も? もしかしてエリカちゃんも?」

 

 

 「え? あ…、私はさっきCMを見て、買ってみてもいいかな~って思ってきただけだから。別に限定バージョン?ってやつが欲しかったわけじゃないんだから!」

 

 

 そう…、エリカはビルの大型モニターでCMを見て、帰る前にシャンプーを買おうと思って、ショッピングモールに来たところ、たまたま目的のシャンプーの限定大量セールと出くわし、たまたま美月を見つけて、声を掛けただけだ。エリカが言ったとおり、女性達が必死になって欲している限定版じゃなくてもいいぐらい。

 

 

 「………でもまぁ、どうせなら手に入れてみるのもいいかもね。」

 

 

 しかし、争っている現場を目撃すると、血がたぎるエリカは、参戦してもいいと考え始める。カオスに視線を向けたまま、舌なめずりしそうなくらいに微笑んでいるエリカを見て、参戦しようとしていると察した美月は慌ててエリカの腕を掴んで、止めに入る。

 

 

 「だ、だめだよ、エリカちゃん! 怪我してしまうよ!」

 

 

 「大丈夫だって~。 一見観察してみても、それほど腕力強い女の子はいなさそうだし、さらっと行ってさらっと帰って来るから~!」

 

 

 「…エリカちゃんだって女の子だよ。」

 

 

 エリカを説得できそうにないと自覚した美月は、溜息がこぼす。それと同時に売り場のスタッフが拡声器を使って放送する。

 

 

 「間もなく商品がなくなります! 商品の補充もありません! お求めの方はお急ぎください!」

 

 

 「あ、早く行かないと!」

 

 

 「エ、エリカちゃん!?」

 

 

 「心配しなくても大丈夫! 美月の分も取って来るから任せなさい!」

 

 

 そう美月に言うと、小走りにカオス空間に突っ込んでいく。人混みの中へ消えたエリカを心配して目を見開いて祈るように手を組む美月。怪我しないようにと、願う美月の前に一分後、何事もなかったようにエリカが二人分の商品を持って帰ってきた。

 

 

 「エリカちゃん! 大丈夫だった!? 怪我は……ないみたいだけど?」

 

 

 「うん、ない。 あれくらいなら避けれるからね。」

 

 

 「そ、そうなんだ……。」

 

 

 ケロッとして心配無用と言い切り、寧ろ面白そうに笑顔を浮かべるエリカにつられて、美月も笑みをこぼす。

 

 

 「ありがとう…、エリカちゃん。」

 

 

 「どういたしまして。 さ、美月、行くわよ!」

 

 

 「え?どこに?」

 

 

 「もちろんショッピング! 美月のためにミキが好きそうな洋服を選んであげる!」

 

 

 「ええええ~~~~~~!!!」

 

 

 無事に目的の物をゲットしたのはよかったが、エリカに連れ回される事になり、美月がエリカが別れて帰ってきた時には既に体力を使い切り、疲労しきっていた。

 

 それでも楽しかったし、ショッピング中に今描いているオリジナル漫画の話をして、今度見せる事になった美月は創作意欲を高める事が出来たのであった。

 

 

 (今日は色々あったけど、お蔭で良いアイデアが浮かんだし、良い漫画が描けそう!! うん! 頑張って完成させてみせます!!)

 

 

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 余談だが、この後完成した美月の漫画は夢麗しい姫と王子の間に突如として現れた影のあるもう一人の王子が割り込んで、姫にアプローチしてきて、姫の取り合いをするというファンタジー恋愛ストーリーであり、正反対の二人の王子のアプローチやその行動の裏に潜む王子たちの抱えた闇を見事に垣間見せる事でドキドキだけど、ハラハラ感もあって、先輩たちとの漫画討論会では絶賛された。

 

 

 




エリカ編と美月編をくっ付けてみた!

実はエリカは千葉家に帰る前に寄ったショッピングモールで美月と会ってたんだよね~。
次はだれを書きましょうか?

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