魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ブラコンなエリカが見られるかも~…、ぐはっ!!

…チーン


友人たちの反応 エリカ編その2

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それではこれより修次さんとエリカさんの模擬決闘を執り行う!両者向かい合って前へ!」

 

 

 審判役の門下生が緊張しながらも道場での模擬決闘の慣わし通りに宣言していく。他の門下生たちはお手並み拝見と見る者や少しでも二人の技を盗もうと既に神経を集中させている者、二人に応援する者がいた。

 

 その中、道着に着替えた修次と向かい合う形でエリカも立つ。

 

 それからは二人の試合前の気迫にいよいよと感じ取った門下生たちはより壁際に下がり、掛けていた応援もやめ、道場内は静まる。

 

 

 「二人とも、礼っ!!」

 

 

 審判の掛け声で二人が互いに一礼する。そして竹刀を構えると二人の準備が整った事を確認した審判が息を大きく吸い込み、片腕を天井までしっかり上げる。

 

 

 「二人の悔いなき決闘を望む…! それでは始めッ!!」

 

 

 審判の腕が空を斬るように、一気に振り下ろされると同時に決闘の幕が開く。

 

 一番初めに動いたのはエリカだ。得意の瞬間移動で、姿を消し、修次に接近する。それに対し、修次は一切そこから動こうとはしなかった。

 

 エリカはチクッと胸が痛むのを感じたが、今は闘いの最中として余計な思考を振り落す。そして一気にケリをつけるために修次の斜め下に屈みこむ形で至近距離に入ると、そこから喉元目掛けて竹刀を振る。人間は死角を認識する際、左右上下に対する反応は早いが、それ以外からだと錯覚を起こし、認識しなくなる。完全に修次の死角を突いた一撃になる…はずだった。

 

 エリカの一撃は修次の竹刀が瞬時に首を捻らせ、首元とエリカの竹刀の間に入れこまれて凌がれ、逆にそのまま竹刀を払われた状態でカウンターを仕掛けてきた。

 慌ててエリカは大きく一歩後退する。しかし、それを許す修次ではない。

 

 エリカを追うように床を勢いよく蹴り、高速で突きを連続攻撃してきた。それをsyん間移動の応用で、突きを紙一片で躱し、時には竹刀で払って、修次の高速突きを交わし続けた。

 

 見物する門下生達は二人の攻防に感心する声を上げるが、エリカには苛立ちを覚える事しかならなかった。

 

 

 (みんな…何もわかっていない……!!)

 

 

 その気持ちがエリカに更なる闘志を募らせる。

 

 

 エリカは修次の攻撃を躱しながら機会を窺っており、修次の突きの攻撃速度が遅くなったのを見極めた瞬間、身をかがめて、一歩踏み出す。突きを繰り出していた事で、リーチが長いメリットがある分、身を護る部位が多くなるデメリットが生まれる。エリカは隙ができている腹部を目掛けて横一閃する。

 

 今度こそ手応えありと踏んだエリカ。

 

 しかし、エリカの攻撃が当たる寸前にエリカの手首を狙って修次の蹴りが命中する。それによって、エリカが竹刀を落してしまい、無防備になったエリカに修次が止めの一撃を振りかぶる。

 

 

 「そこまでっ!! 勝者は……修次さん!!」

 

 

 ………竹刀を逆手で握りしめ、横にした状態でエリカの首の寸手止めになった所で、動きを止めた修次。もちろん初めから寸手のつもりだったから、審判が止めに入らなくても、エリカの事だから勝負が着けば、自分から負けを宣言していただろう。

 

 

 互いに一礼をして、決闘を終えた中、若い門下生達が修次の元へ駆け寄り、先程の健闘を称えていた。一方、エリカにも親衛隊の面々が周りを囲んでいたが、当の本人であるエリカは兄と闘えて喜ぶ表情も、模擬戦に負けて悔しがる表情も、兄の強さに感銘を受けている表情でもなかった。

 

 今のエリカには、ただ修次に対する侮辱にも似た怒りしかなかった。

 

 そして修次に向ける怒り以上に、エリカはある人物にそれ以上の怒りが膨れ上がるのであった。

 

 




ブラコンぶりをみせようとしたら、エリカと修次の兄妹決闘だけで終わってしまった。

そしてエリカの気分が悪くなったような~…?

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