魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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どれだけ待っていたんだ?真夜は…。


念願のお宝

 

 

 

 

 

 

 

 

 四葉本家、真夜の書斎室―――――。

 

 

 

 

 

 コンコン…。

 

 

 『奥様、葉山で御座います。ただいま戻りました。』

 

 

 「入って構わないわ、どうぞ?」

 

 

 いつものようにノックして、ドアを開け一礼すると、ドアを閉め、真夜がいる書斎机まで向かう。息抜きの紅茶の入ったポットとカップをワゴンに乗せて。

 

 

 「待っていました、葉山さん。…達也さんからいただいてきましたか?」

 

 

 「はい、奥様の仰られた通り、達也殿にはお願いして、御譲り頂きました。これがそのDVDで御座います。」

 

 

 「よくやってくれました!! それが達也さんの魅惑映像が入ったDVDね!! さぁ!!葉山さん!!それを早く渡してちょうだい!!」

 

 

 さっきまで当主らしく貫録の入った佇まいをしていたというのに、お目当てのものが目の前に現れると、態度を一変させ、達也のファン一号という真夜の本性が表に飛び出す。こんな真夜を使用人たちが(特に青山が)目撃すれば、絶句すること間違いなし。青山なら到底信じられず、達也が真夜になにか精神魔法を使ったのではないかとすぐに達也を尋ねに行って罵倒を浴びせる事だろう。

 

 (その時点で、青山の命があるかどうかは知らないが…。)

 

 しかし、この書斎室には基本真夜と使用人序列第一位である葉山さん以外はこの部屋には入れない。緊急時の報告で直接伝えるべき案件なら入る事も許される事はあるが、その場合は葉山さんも同行している。それ以外の場合は、この書斎室とは別に謁見室があり、そこで報告やら、実験やら、制裁やら…等を行っているため、真夜の達也ファンぶりを知られる可能性は低い。念のために初めは警戒していたが、誰も盗聴していない事を確認し、抑えていた感情が爆発したのであった。

 

 

 「はい、こちらで御座います。」

 

 

 主の命に逆らう事もなく、葉山さんがDVDを真夜に渡すと、それを天井に向かって掲げて、頬を赤らめたと思ったら、それを頬で擦り擦りする真夜。

 

 

 「ああ~~!! CMの仕事が入った時は驚いたけど、やらせてみて正解だったわね! だって達也さんのセクシーで、ワイルド感な所ってそうそう見られないもの!!」

 

 

 早く見たくて息が上がる真夜。目には血管が見え、充血している。

 

 

 「それにしても達也殿がすんなりとお渡しくださいましたのは予想通りでしたな。」

 

 

 「ええ~、そうね! だってこのDVDを深雪さん達に見せる訳にはいきませんもの! 達也さんに関してだけは非常な勘の鋭さを発揮しますから、もし見られればこの任務が御破産してしまう可能性があります。

  達也さんもそれを分かっていて、あえて私に渡してきたんでしょうから!!」

 

 

 「達也殿ならそうなるなら、いっそ消してしまおうとするでしょう。」

 

 

 「葉山さん、さすがね。そうね~、達也さんなら自分が映ったCMは、変装しているとしても、自分自身ですからね。目立つ事や芸能関係が好きではない達也さんだったら、消してしまった方がいいと思うでしょうね~。」

 

 

 「それを読んでいたから、奥様がそうなる前に入手した…という事ですね?」

 

 

 真夜を讃えて一礼する葉山さんの態度を見て、ご機嫌よい笑顔を見せる。

 

 

 「だって~!! もったいないでしょ! 普通なら絶対に達也さんはしないし、私にとってはレア中のレア物よ!! 究極のお宝と言っても過言ではないわ!絶対に護らないといけないのよ!!」

 

 

 熱く語る真夜を温かい目で見守る葉山さん。その視線に自分が少しエキサイトしてしまっていたと理解し、罰が悪そうに目を逸らす。

 そして逸らした先に遭った書類の内容が目に入り、早くCMが観たい衝動を何とか押して、葉山さんに話を振る。

 

 

 「…ところで葉山さん。今のところ、目立った動きはしていないのかしら?」

 

 

 「目立った、と判断するべきかどうかは定かには申し上げられませんが、確かに水面下で動き始めています。」

 

 

 「それは、達也さんの影響で?」

 

 

 「はい…、恐らくは。」

 

 

 「ふ~~ん……、やっと動いてくれたのね。」

 

 

 二人でしか知らない話の空気が漂い、真夜はいつもの妖艶な笑みを見せ、視線には冷徹なものを感じさせるものが浮かんでいたのであった。

 

 

 




乙女真夜<当主真夜が勝るくらいの事か…。なんだろうね~。

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