CMアンケート、まだ実施中ですよ~!どんどん下さいな~!!
事務所内の薄暗い駐車場の一角で向かい合うRYUと葉山さん。二人がいる所は監視カメラの死角であり、いつもより蛍光灯を弱くしているため、姿は映らない。警備員も今だけは巡回ルートから外すように仕込んでいる。それから防音障壁も念のため発動する。街中で魔法を使うと、探知されてしまうが、その警告音もならない。完全にこのビルを四葉家の力で手中に収めているのが分かる。
「ここまで念を入れるのでしたら、俺が本家に直接尋ねに行きましたが?」
「いえ、それほど重要な用件でもないですし…、いえ、奥様にとっては重要な用件ですが、気になさらず。
今日、達也殿を尋ねに参ったのは、お渡し頂きたいものがあり、それを受け取りに参った次第です。」
「…別にあの方が欲しがりそうな物を持っているつもりはないのですが。」
若干訝しく思いながら、達也は答える。達也はこの場が二人だけだと分かっていても、気を許してはいない。常に警戒心を持っている。葉山さんもそれは同じ。互いに共通する人に対して関係を悟られるような事は口にしていない。もちろん今は一見してRYUであるため、本名も伏せた形だ。その事をしっかりと意識して話が進む。
それでも互いに内側で腹の探り合いをしているのは、二人に張りつめる空気から察する事が出来た。
葉山さんへの回答に本心から答える達也は、二人が公にしない人物…、真夜が欲するような物を持ち合わせていないと頭を回転させて改めて考え、結論が変わらないと再認識する。
「いえいえ、RYU殿は既に持っていらっしゃいます。 」
しかし、葉山さんは達也のその考えを否定する。
更に意味が分からなくなる達也が眉を上げる。
「…何を俺が持っているというんです?」
マッドサイエンティストな一面がある真夜だが、新たに開発し、披露する魔法はない。今は、完全思考型CADの開発をしている。その企画はFLT本部を通して研究しているため、既に真夜の耳にも入っているはずだ。
それ以外に真夜が自分から取り上げてまで欲する物があるとはどうしても思えない。
達也が訝しく思うのは無理はなかった。しかし、葉山の次の言葉でその思考は途切れえ、逆に脱力感に襲われるのであった。
「先程届いたと思いますが、今回RYU殿がオファーされたCMが収録されたDVDで御座います…。」
「……DVD、ですか?」
「はい…、そのRYU殿の手にお持ちのDVDです。」
まだ持っていたDVDを思わず凝視するほど、驚いた達也だったが、すぐに冷静さを取り戻す。
「…分かりました。それではこれは葉山さんにお渡しいたします。」
「……ありがとうございます、RYU殿。」
達也から葉山さんに手渡したDVDは、そのまま葉山さんの胸ポケットへと入れられる。その動作を眺めて改めてこれが現実だと認識した達也は、口にするつもりもなかったが、思わず本音が漏れてしまう。
「それにしても、あの方がそれを欲しているとは…。意外でした…。」
「私も同感で御座います。ですが何分、奥様が至急持ち帰ってくるようにとおっしゃられましたので…。」
葉山さんも達也と同じ心境だったようで、苦笑しながら達也と共感する。しかし、苦笑しつつも楽しんでいるようにも見えるため、達也はお世辞が半分入っているんだろうと捉えるのであった。
真夜がDVDを急ぎで手に入れたいほど欲するとは信じられなかったが、このDVDの処分の手間が省けてよかったと思う事で、気にする事は少なくなった。
それに、このDVDで真夜が何かを企んでいるとしても、それが今後の任務に対して必要な事だろうと考える事で自分を納得させた。…真夜がこの任務に対してまだ達也に話していない事があり、今後の行方次第で知る事になると読んでいるからだ。
そんな事を内心考える事で、もうDVDの事はすっかりと切り捨てた達也は、今頃真夜が待ちわびているであろうそのDVDを持って、人がいない暗闇へと歩いて消えていった葉山さんの背中を見送った。
『精霊の眼』でもここから消えた事を確認した達也は、ヘルメットを被り、深雪が待つ自宅へと愛車を走らせるのであった…。
アンケート結果が出るまでは、CM公開された後の女の子&女性達の反応を投稿していきたいと思います!!
どんどんアンケート待っています!!