魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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「さぁ、はじめようか…小娘共~!!」(誰か)

 私のコーナーに入ってくるな~!!


予想外の救援要請

 

 

 

 

 飛行魔法で信号弾があげられた市街地まで飛んできたくろちゃんとちゃにゃん。あまりにも酷い土煙で視界が悪い中を自分たちに空気の層で作った障壁魔法を展開する事で、視界をクリアにする。救援要請をした魔法師と接触するために応援に来たことを告げながら探していると、倒壊した家屋の瓦礫の影に蹲っていた。

 

 

 「大丈夫!? けがはない!? 君が救援要請した魔法師だね。」

 

 

 「助けに来たよ。 立てる?」

 

 

 くろちゃん達は蹲る魔法師の状態を見て、ダメージが少ないことを確認し、共闘を持ちかける。だが、蹲る魔法師は身体を震えさせ、一向に動こうとしない。怖気づいたのだ。その状況に腹立ったくろちゃんがその魔法師にビンタする。

 

 

 「怖気づくくらいなら、何でこんな場所でエクストリームレベルを呼び出した!!?

  帝都中がフィールドでもこんな一般人が多い中で戦えば、どうなるか分からないわけないよね!!?

  呼び出した責任を負えないくらいなら、このイベントから降りるべきだっ!」

 

 

 くろちゃんの激昂でビンタされた魔法師は頬を抑えながら、くろちゃんを目を真ん丸にして、見つめ返した。そこへ、呼び出されたエクストリームレベルの人型戦車が姿を現す。腕に仕込まれた散弾銃が此方を向く。

 

 

 「ちっ。 ちゃにゃん、行くよ!!」

 

 

 「あれで行きましょう! …君はどうします? このまま、見学するもよし。逃げるもよし。くろちゃんの言葉を考慮して考えてね。」

 

 

 ちゃにゃんが言いたい事を言ったという顔でくろちゃんと人型戦車の方へ走り出す。

 

 「ちゃにゃん、お願い!」

 

 くろちゃんの掛け声を頷きで返し、ちゃにゃんが『蟻地獄』と『地雷原』を発動。

 『蟻地獄』で足場を崩され、転倒する。そして、『地雷原』の振動で装備する火機が損傷し、使用不可となる。動きと厄介な武器がなければ、後はこっちが攻撃するのみ!

 

 くろちゃんは手のひらサイズの小型銃携帯CADを取り出し、得意な魔法の一つである『フォノンメーザー』を一発、ど真ん中に命中させた。命中した箇所には熱線によって空いた穴の回りが融けていた。これで操縦席を格納する部分を狙ったため、終わったと思った。しかし先程攻撃した箇所も見る見ると直っていき、何事もなかったかのように動き出した。これには、二人とも驚き、口をぽかんと半開きにする。そして、ターゲット捕捉された二人は散弾銃の雨から逃げ出した。

 

 

 「ちょ、これってありなの~~!!」

 

 

 「喜ばしておいて突き落とすとか、趣味の悪い戦車だよ!」

 

 

 「えっと、この場合は”趣味の悪い設計者”だと思うよ~!!」

 

 

 全力全開逃げるのみとなる二人は一旦作戦を練り直ししようと瓦礫の陰に身を隠す。それにしても、この人型戦車は今まで戦ったエクストリームレベルの人型戦車とは違う。さっきの連携攻撃で仕留める事が出来たから、今回もした訳だが、損傷が何事もなく直る事がなかった。それを二人は不思議に思った。

 

 

 「ねぇ、くろちゃん、これはもしかしてイベントクエストに見せかけた戦闘なんじゃない?」

 

 

 「…そう思う根拠は?」

 

 

 「いくら市街地でもこんなに暴れてたら、さすがにイベント運営委員が来てもおかしくないよね?でも、運営委員は来ないばかりか、市街地に住む人ひとり見かけないもの。害はないって言っても、危ないからね。この場を離れようと逃げる人はいるはず…。なのに、誰一人いない。それに念のため、ギルドのみんなに救援要請をしておいたんだけど、結構時間が経っているのに誰も応援に来ない。 

  ねぇ? おかしいでしょ?」

 

 

 「…確かに。戦闘に集中していて気付かなかったけど、言われてみれば人の気配がないな~と思った。 それにしてもさすが、ちゃにゃんだね! ほーちゃんの観察力並みだね。」

 

 

 「まだまだほーちゃんやくろちゃんには及ばないけどね。

  …だから、これが故意に仕組まれた空間だったとしたら、さっきの人型戦車に起きた現象も理解できるかもって思ったんだけど。」

 

 

 ちゃにゃんの推理を聞き、顎に手を当てて、考え込む。そしてゆっくりと口を開く。

 

 

 「大丈夫。ちゃにゃんの推理、多分合ってる。私もおかしいと思っていたけど、あの怖気づいてた魔法師はまだ初心者だった。一人前の証のバッジを身に着けておくのが義務付けられているのにそれが見当たらなかった。

  だったら、一人前の魔法師だと認められないと参加できないこのイベントクエストにエクストリームレベルを呼び出すどころか、参加すらできないよ!」

 

 

 くろちゃんの言葉にはっと何かに気づき、頷きがえす。

 

 

 「つまり、この救援を頼んだのはあの魔法師ではなく、別の誰かってことだね。でも、一体どこに?」

 

 

 「ちゃにゃんも言っていたようにこの近くに人の気配は感じられない。ってことは遠隔操作しているのかな?」

 

 

 「それなら、あれを操作できなくなるまで、叩けばいいんじゃない?」

 

 

 「…それで行きますか!!」

 

 

 こうして二人は再チャレンジと勢いよく立った。しかし、いきなり二人を大きな影が包み込む。日陰になった影をじっと二人は見つめ、顔を上げると、殆どゼロ距離に人型戦車が立っていた。

 

 

 「は、はははは。 くろちゃん…、これって…」

 

 

 「はは…ははは。 うん。 やばす!!」

 

 

 最悪の展開に固まる二人に人型戦車の腕の銃が向けられる…。

 

 




なんだかピンチ~!!

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