魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

327 / 453
達也が夜遅くに出掛けられた理由が…


人知れず帰宅…

 

 

 

 

 

 

 

 

 CM撮影が何とか無事に終わり、尾行されないように遠回りしながら、愛車を走らせ、上手く撒いた所で、帰宅した。ただし玄関正面から堂々と…ではなく。

 

 

 まず、家の800m時点でエンジンを切り、愛車を押しながら家の裏手に回り込む。そこには侵入されないように達也の身長の倍以上の高さがある壁で囲われている。そこに誰にも気づかれていないのを確認した達也は、壁に右手を翳す。そのまま押してみると、壁が一部へこみ、裏路地と壁が音も立てずに静かにスライドしていく。動きが止まると、そこには地下へと延びる階段があった。壁際にはバイクも降りられるように段差が除外されている。さっき達也が触れた場所は、どうやらこの秘密通路を開けるためのスイッチだった様だ。

 そこへ達也は愛車を押しながら入っていき、達也が入ると入り口はすぐに閉まった。

 

 

 人工的に作られた階段を下りると、目的場所に着いた。そこは食品や最低限の家電一式、そして整備された数多くの拳銃や戦闘ナイフ、防弾チョッキ等の戦闘装備品が置かれていた。一言で表すなら、まさに「スパイの隠し部屋」だ。

 この部屋と今通ってきた秘密通路は、もしここが奇襲を受けた場合、即時に応戦や避難ができるように用意されたものだ。四葉の血を引いている以上、情報が洩れて四葉に仇なそうとするものが、刺客を送り込んだり、奇襲を行いに来たり、暗殺を受けたりする可能性がある。そのためにこの家の設計図にも記されていないこの部屋と秘密通路を作り上げた達也だった。この部屋の存在を知っているのは、達也だけだ。なぜならその奇襲を仕掛けてくる者として、四葉本家も入っているからだ。敵でもなければ、味方でもない相手に知らせれば、いざという時に逃げ場を封じられることになる。切り札は最後まで取っている方がいい。

 

 

 …まぁ、そんな訳で、作られた隠し部屋だったんだが、今は設計した時に考えていた使用法ではなく、私事で使用する羽目になるとは達也自身も考えていなかった。しかし、この使用法しか方法がなかったのだ。

 

 

 その理由とは…言わずもかな、深雪だ。

 

 

 深雪にも水波にも今回の任務であるアイドル活動については、何も言ってはいない。…というより言いたくない。だが、堂々と玄関から出掛けるとしたら、夕食を食べ終わった後にどこに出かけるのかとリビングを出る前に問い掛けられるのが関の山だ。その理由として、「今から撮影現場に行って、仕事してくる。」なんて言えるわけがない!

 少し言葉を言い換えたりして「今から任務だ。」と言うなら、真夜からの命令だと考えた深雪が困ったような、申し訳なさそうな顔で見送ったり、「一緒に参ります。私区もお兄様のお役に立ってみせます。」と連れてけアピールをするかのどっちかになるだろう。

 だから、常套手段をとる事が出来ない達也は、策を講じ、深雪達に気づかれる事なく、そしていつもと同じ生活を過ごせるように…という事から、裏手に伸びる階段から外に出られる隠し部屋を使う事になったのだ。

 こっそり何も言わずに出掛けるという案も考えたが一瞬に自分の考えを却下した達也。深雪に何も言わずに外出するのは気が引けるからだ。後ろ髪を引かれすぎて逆に心配して外出できなくなると瞬時に判断した達也が相変わらずのシスコンぷりを感じる…。

 

 

 そのシスコンぷりに呆れるかもしれないが、達也自身は真面目に考えた末での判断なので、軽く流してしまった方がいいかもしれない…。

 

 この場に友人たちがいればこの反応になるかもしれないが、達也は隠し部屋にあるRYUの衣装の横にある自分のいつもの服に着替えると、ドアもない壁の方へと歩いていく。するとドアの大きさ程の空間が現れ、達也は潜り抜けていった。

 

 

 その時、達也はようやく司波達也へと戻った気がしたのであった。

 

 

 




そうなんです。実は地下に隠し部屋があり、そこから抜け出していたという自己設定になってます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。