魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

317 / 453
パソコンが使えない…!!
投稿が無理!! …という事態でなんとか家族のパソコンを懇願して借りてできた~~!!
物凄い安堵感に包まれているうちです!


波乱な四角関係

 

 

 

 

 

 

 

 

 RYUに会えて嬉しそうな顔で駆け寄ってくる美晴の額には若干汗が見える。しかもほんのり頬も赤みがみられる。相当探しまくったことがわかるだけに、RYUは翔琉のように突き放す態度はとれない。ここは多少自分が急ぐことになったとしてもしっかり対応しておくべきだろう。

 

 

 「お疲れ様、美晴。 よく頑張ったな。」

 

 

 「あ、ありがとうございます!RYUさん。 これもRYUさんのおかげです!」

 

 

 「いや、俺は大したことはしていない。美晴が努力した結果だ。」

 

 

 「そ、そうですよね………、あ、RYUさんに聞きたいことがあって探していたんです!」

 

 

 「俺に?」

 

 

 てっきり合格したという事を伝えに来たと思ったRYUは、こちらの様子を窺い見ながら話をどう切り出すか戸惑っていた。(審査員だったRYUが美晴の合格を知らないはずはないが、美晴なら合格したことをRYUに言いに来て、感謝してくるだろうと読んでいたためだ。まぁ言われるのは次に会った時だと思っていたが。)

 何を切り出すのかわからないが、美晴の話を待っていたら、決心したようで、勢いよく問いかけてきた。

 

 

 「あの! 私が合格したのは、RYUさんがお力添えして決定したんですか!?」

 

 

 「…………は?」

 

 

 「私、聞いたんです! 本当は私は選ばれる事はなかったって。 実力で合格したわけじゃ…ないんですか、私…。」

 

 

 悲しい顔を覗かせ、RYUの顔を見上げる美晴は、何を言われても受け入れるという態度で返事を待つ。

 

 

 

 (なぜそう思うんだ? 俺みたいな新参者が決定できるものではないだろう?……誰かに吹き込まれたか?それなら美晴の事だ、すんなり信じて、それを確かめるために俺を探していた…ってことか。

  本当に面倒なことをしてくれる。)

 

 

 RYUは美晴に余計な事を告げた顔も名も知らない(当たり前だ)人物に不快感を感じながら、質問に答える。

 

 

 「俺はそんな真似していないぞ? もう一人採用することになってお前の名を言ってみただけで、すぐに全員一致で決まったんだ。 俺一人でしていたら、美晴の合格はなかったと思うな。」

 

 

 「え、でもRYUさんが私を強く推していたって…。」

 

 

 「……誰に何を言われたか聞かないでおくが、俺はそこまでキャストに関してこだわりとか興味はない。俺はただ与えられた仕事をこなすだけだ。

 

  美晴…、お前は自分の力で合格したんだ。もう少し自信持った方がいいぞ?」

 

 

 「私…、実力で受かったんですか?」

 

 

 「ああ……、お前はよく頑張った。 演技でもしっかりと何を伝えたいか、目的もしっかり捉え、弁えていたのを審査員たちは見逃していなかった。それが高く評価されたんだ。」

 

 

 「え?」

 

 

 「…ん? 美晴、演技の時、シャンプーを使って洗っているシーンをしていただろ?」

 

 

 「あ、うん。」

 

 

 「演技の課題を身近に感じ、共感を与えただけでなく、CMで紹介したい商品も演技に取り入れていたのが、ポイント高かったらしい。 

  だからお前の演技の魅せる技が為したおかげだな。」

 

 

 RYUの話を聞いて、美晴は驚く。そして傍から見ていた鈴蘭も。翔琉は「え、そうだったのか?」と戸惑いを見せる。

 

 美晴は誰も気付かれないと思っていたが、少しでもCMに出演したときに商品の良さを理解しようとふととった行動だった演技が実を結んだと知り、嬉しさが込み上げてくる。

 

 

 それが堪えていた不安な気持ちを感動でいっぱいにし、笑顔が溢れていく。

 

 

 「私…! 本当に受かったんですね! やった~~~~!!」

 

 

 思わず飛び上がる美晴を苦笑しながらも、優しく見守るRYU。

 

 

 余程緊張していたのだろう。その気持ちが爆発して、はしゃぐ美晴は、RYUの手を取ってぶんぶん上下に振る。

 

 

 「やっぱりRYUさんは私の恩人だ~!!ありがとうございます!!」

 

 

 (どこから恩人という思想が出てきたんだ?)

 

 

 美晴の喜びようにさすがに持て余すRYUがどうするべきか思案しようとしたその時、後ろから声をかけられる。

 

 

 「…美晴さん良かったですね。 その嬉しさは見ていて微笑ましいですけど、そろそろお静かになった方がいいと思いますよ?」

 

 

 「あ、ごめんなさい! つい…」

 

 

 「気にするな。」

 

 

 声をかけてきたのは、鈴蘭だった。

 

 RYUは、美晴から解放され、心の中で安堵する。しかし、そう簡単に解放されるわけではなかった。

 

 

 鈴蘭が美晴を威圧しているのだ。しかしその表情は笑顔を浮かべていて、一見は何もないように見えるが、空気や視線等に敏感なRYUは鈴蘭から発せられる不穏な雰囲気に頭をひねる。

 

 

 「もう美晴さんの用事は終わりましたわね。では、私もRYUさんにお話があるのでお借りしますね。」

 

 

 「え…?」

 

 

 (話はもう終わったと言わなかったか?)

 

 

 「そ、天童さん! 俺もぜひ君と話したいな~。まだ途中だったし!」

 

 

 「あ、じゃあみんなでおしゃべりしましょう! 私、鈴蘭さんとお話ししたいです!」

 

 

そこにさらに翔琉も加わってきたため、話が膨らんでいく。逸脱する時を逃したRYUは、疲労感が蓄積される感覚に陥るのだった。

 

 

 




ややこしい関係になりそうだ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。