魔法科の御伽魔法書   作:薔薇大書館の管理人

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ははは~、タイトルからもう既に交戦が始まりそうな?


相応しいのは私!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 スタッフからの説明や聞きたい事は全て聞いた美晴と鈴蘭。(主に鈴蘭が問いただして美晴はそれを聞くという流れだったが。) 与えられた仕事が終わったため、名残惜しそうに部屋を出るスタッフの背中を人付き合いの良さそうな笑みで見送る鈴蘭。そして美晴はその背中に「ありがとうございました!」と、椅子から立ち上がり、深くお辞儀してお礼を言う。

 

 スタッフが姿を消し、廊下で大きなため息を吐いて、肩を落としがっかりしているのはよそに、部屋に残った鈴蘭は、友好的な笑みは一切なくし、その代わりに冷たい視線で嫌悪感を示す。

 隣にいる美晴には一切口を利かず、帰ろうと身支度を始める鈴蘭に美晴が慌てて声を掛ける。

 

 

 「鈴蘭さん、お疲れ様でした! お互いCMに合格できてよかったですね! CM撮影の際は、またよろしくお願いしますね。」

 

 

 笑顔で挨拶する美晴。CM撮影に入ると、他の場面で重なったりするかもしれないと説明を受けていたため、今後も一緒にCM製作に関わることになり、会う事がある可能性がある。だから同じオーディションを合格した者同士、助け合っていきましょう!という意味で話しかけたのだった。

 美晴の話しかけた意味を美晴の浮かべる笑顔で察した鈴蘭は、眉間に皺を作り、怪訝な顔を浮かべる。元々顔立ちも整っている鈴蘭だが、怪訝な顔をしていても、美しさが残っているのは生まれつきの美貌を持っているからか、はたまた子役時代からの表情の演技を熟しているためか。いずれにしても鈴蘭は美晴に対して良い感情は持ち合わせていないという事は理解できる。

 美晴は、そんな鈴蘭の表情を見て、不自然なところがあったのかな?と思うものの、何が悪いのか分からず、話を続けるしか方法が見つからなかった。

 

 

 「私…、アイドルとしてまだデビューは出来ていないんですけど、この仕事でもっと力をつけたいと思ってます! そしてこのCMを成功させて、CMを見てくれた人たちが元気になってくれたら嬉しいです~!」

 

 

 力説する美晴は、完成したCMを見て、微笑む人たちを脳裏で想像して喜びを感じる。しかし……

 

 

 

 

 

 

 ドンッ……!!!

 

 

 

 

 

 何かが力強く机に叩きつけられた音を聞き、脳裏の世界から戻ってきた美晴の眼には、鈴蘭が舌うちし、固く握りしめた拳をテーブルに置いている姿が入った。いや、拳はまた上へ振り上げられ、再び鈍い音を出してテーブルに叩きつけられた。先程の音はこれだったのだ。

 

 この光景を見て、激しく驚いた美晴は、慌てて鈴蘭に話しかける。

 

 

 「ど、どうしました!? 鈴蘭さん! そんな事してはせっかくの綺麗な手が腫れますよ!」

 

 

 「貴方は黙ってなさいっ! 」

 

 

 「!!………」

 

 

 突然の怒りのこもった鈴蘭の言葉に美晴は思わず固まる。そして美晴を見つめる鈴蘭の目は鋭く、否応なく怒っているのは明白だった。

 

 

 「貴女……、何もわかっていないのね!

 

  何で貴女が選ばれたのか…、理解できないわ! 確かに他の子達よりかはいくらかましな演技は出来ていたと思うわよ!? でも私ほどの力量を見せたわけでもない。はっきり言って、小学生の楽劇並みの演技よ。一般人が誰でも思うような演技じゃ、誰だって出来て当たり前よ。それだけの事で、私一人が受かるはずだったのに、貴方と同等に扱われるなんて…、信じられないわ!

 

  それにRYUの計らいで合格したようなものじゃない!? RYUが貴女を推さなかったら受かっていなかったわよ! 自分の実力で勝ち取ったモノじゃないわ!お情けで合格した貴女と一緒にしないでちょうだい!

 

  この仕事で一番ふさわしいのは、私です!

 

  その事を貴女に分からせてあげますから!」

 

 

 言いたい事を言ったいう顔で息キレを多少起こす鈴蘭は、素早く身支度を整えると、颯爽と部屋を後にした。余程この場にいたくなかったのか、早歩きで去っていく。

 

 

 その後ろ姿を呆気に見送る美晴は、ただただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 

 

 

 




とうとう怒りが爆発してしまったようです、鈴蘭。
美晴…、大丈夫かな?

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